目次
  • 要旨
  • お断り
  • 累積CO₂排出量と温度上昇
  • カーボンバジェット
  • 参考URL
要旨

2021年8月9日に公開されたIPCC第6次評価報告書の第一次作業部会担当部分に関して複数回に分けてポイントを説明していきます。今回は、気候変動と累積CO₂排出量の関係について解説しています。今回の報告書では、累積CO₂排出量と気温上昇はほぼ比例していることを示しており、それをもとに計算したカーボンバジェットを紹介しています。

お断り

AR6:第6次評価報告書のこと

WG1:第一作業部会のこと。自然科学的根拠の部分を担当する作業部会に当たります。

SPM:政策決定者向け要約のこと

累積CO₂排出量と温度上昇

IPCC『Climate Change 2021 The Physical Science Basis Summary for Policymakers』を元に筆者作成

上のグラフは横軸が1850年以降の累積CO₂排出量、縦軸が1850年~1900年以降の地球表面温度となっており、1850年以降の状況をプロットしていた結果のグラフとなります。ここで特筆すべきことは、累積CO₂排出量と温暖化が比例しているということです。因果関係を考えると、累積CO₂排出量を維持(新たな排出を抑制)し、温暖化レベルも維持をしていく必要があるのです。

カーボンバジェット*

IPCC『Climate Change 2021 The Physical Science Basis Summary for Policymakers』を元に筆者作成

「累積CO₂排出量と温度上昇」のセクションで述べたように、累積のCO₂排出量が決定すれば温度上昇もある程度予想できます。そこから、1.5℃、1.7℃、2.0℃上昇にとどめるためにあとどれだけのCO₂排出量が許容されるのかを示したのが上図です。

例えば、83%という高い確率で1.5度上昇にとどめるためには、2020年初頭以降であと300GtCO₂しか使ってはいけないということが分かります。参考までに、2018年におけるCO₂排出量は33.5GtCO₂となっています。高い確率で1.5度上昇にとどめるための残りのカーボンバジェットは300GtCO₂であるのに対して、単純計算で2030年の段階で335GtCO₂が排出されることになります。ここからも、1.5℃目標の達成の難しさがうかがえます。

*カーボンバジェット:気温上昇をあるレベルまでに抑えようとする場合、温室効果ガスの累積排出量(過去の排出量+これからの排出量)の上限が決まるということ

参考URL

IPCC(2021). Climate Change 2021: The Physical Science Basis
https://www.ipcc.ch/report/sixth-assessment-report-working-group-i/

環境省(2021). 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドライン・ステートメント)http://www.env.go.jp/press/109850/116628.pdf

環境省(2021). 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)と従来の IPCC 報告書の政策決定者向け要約(SPM)における主な評価http://www.env.go.jp/press/109850/116629.pdf

環境省(2019). 世界のエネルギー起源CO 排出量(2018年)http://www.env.go.jp/earth/201222_co2_emission_2018.pdf

記:江波 太

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