目次
  • 要旨
  • お断り
  • 背景
  • 「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査」の調査方法
  • 「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査」の結果
  • 参考URL

要旨

2021年11月30日に、株式会社日本取引所グループ(JPX)は、「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査」を公表しました。プライム市場への上場の要件でTCFD提言に沿った開示が求められる中、開示に難航している企業が少なくないことが明らかとなりました。

お断り

株式会社日本取引所グループ
東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所を管理・運用する会社

背景:東証再編によるTCFD開示要請

2022年4月には、東京証券取引所の市場再編が行われます。この際、実質最上位となる「プライム市場」に上場するには、TCFD提言に沿った開示が求められます。3月期決算を行う企業は、2022年6月の株主総会後に提出するコーポレート・ガバナンス報告書から開示が必要となっています。

以下改訂コーポレートガバナンス・コードの該当部分

上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。

特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。

               (JPX(2021) 改訂コーポレートガバナンス・コード 3-1③)

これを受けて、現時点でプライム市場上場を考える企業がどの程度TCFD開示を進めているのか実態を整理したのが本調査となります。

「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査」の調査方法

対象企業は、2021年3月末時点でTCFDに賛同を表明し、TCFD公式ウェブサイトにTCFD Supportersとして社名が掲載されていた259の上場会社です。

これらの対象企業の有価証券報告書、統合報告書/アニュアルレポート、ESG/CSR/環境/サステナビリティレポート、TCFDレポートにおいて、TCFDが2017年に公表した最終報告書で開示が推奨されている11項目が記載されているかどうかを確認しています。各社の公式ウェブサイトに該当する名称で掲載されていた 2021年6月末時点で最新のものを調査対象としています。ただし、開示の質は考えず、開示の有無のみを評価しています。

「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査」の結果

TCFDに賛同している企業でも、なかなかTCFD開示を行えていない状況がうかがえます。確率の高いリスクと機会の開示に関しては、74%の企業が開示に成功しています。しかし、専門的知識が必要となるシナリオ分析を伴う項目の開示に成功している企業は、34%にとどまっています。(詳細はJPXの『TCFD提言に沿った情報開示の実態調査』をご参照ください。)

(JPX(2021)『TCFD提言に沿った情報開示の実態調査』より、筆者により表示方式改変)

次に、開示項目数別の企業数を見てみましょう。プライム市場上場の条件である11項目の開示を行えている企業数は42社にとどまっており、開示すら行っていない企業は36社にも及んでいます。

TCFD提言に沿った開示を拡充させていく必要がありそうです。

参考URL:

株式会社日本取引所グループ(2021/11/30)『TCFD提言に沿った情報開示の実態調査』https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0090/nlsgeu00000610sr-att/TCFDsurveyJP.pdf

株式会社日本取引所グループ(2021/6/11)『コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)』https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000005ln9r-att/nlsgeu000005lne9.pdf

記:江波 太

リクロマ株式会社<br>
リクロマ株式会社

当社は「気候変動時代に求められる情報を提供することで社会に貢献する」を企業理念に掲げています。

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