CDP 気候変動質問書にプラスチック関連の質問追加を検討 内容を解説

CDPは、気候変動質問書にプラスチックの使用や生産に関する質問項目の設置を検討し始め、項目の原案に対するパブリックコメントを7月8日まで募集していました。なお、今回のコメントを反映した完成版は2023年度から導入される見込みです。


この記事では、今回CDPが設置を検討しているプラスチック関連の質問項目を解説します。

全体向けの質問項目

質問項目としては全体向けが5つ、個別の質問が4つ想定されています。全体向けの質問は下記5つのカテゴリに分けられます。

  1. 事業活動におけるプラスチックの生産・使用
  2. バリューチェーンにおけるプラスチックの使用・生産の特定
  3. 環境への潜在的な影響
  4. ビジネスへの影響
  5. プラスチックに関する目標

1.事業活動におけるプラスチックの生産・使用

1つ目は、自社の事業活動におけるプラスチックの生産・使用についての設問です。プラスチックの生産・使用状況について、自社が「プラスチックの生産をしているか」「耐久性のあるプラスチック(iPhone等の機械に使うような)の生産をしているか」「耐久性のあるプラスチックの生産や販売を行っているか」「プラスチック包装の生産や販売を行っているか」「プラスチックに包装された商品を生産しているか」「小売や飲食などで提供しているか」などの状況を選択し、会社がどのような活動を行っているのかを定性的に答えさせる質問です。

2.バリューチェーンにおけるプラスチックの使用・生産の特定

2つ目は、自社のバリューチェーン上のどの箇所においてプラスチックを使用・生産しているかの特定についての設問です。プラスチックの使用について、「自社操業」「サプライチェーン上」「製品仕様段階」において特定しているか、あるいは「まだ特定していないが2年以内に特定する予定である」「特定しておらず、2年以内に特定する予定もない」といった選択肢から当てはまるものを全て選択します。また、具体的な特定箇所や特定していない理由などの詳細な情報を記述欄に記載します。

3.環境への潜在的な影響

3つ目はバリューチェーン上においてプラスチックが与える環境への潜在的な影響についての設問です。こちらも、2つ目の設問と同様に、「自社操業」「サプライチェーン上」「製品仕様段階」のいずれかもしくは全ての段階においてプラスチックの使用や生産が自然環境に与える潜在的な影響を評価したか、あるいは「まだ特定していないが2年以内に評価する予定である」「評価しておらず、2年以内に評価する予定もない」といった選択肢から、当てはまるものを全て選択します。また、具体的な評価箇所や未評価の理由などの詳細な情報を記述欄に記載します。

4.ビジネスへの影響

4つ目はプラスチック使用がビジネスへ与える影響ついての設問です。こちらも同様に、プラスチック関連のリスクが「自社操業」「サプライチェーン上」「製品仕様段階」において財務上または戦略上重大な影響を及ぼす可能性があるか、もしくは「可能性はない」かについて回答します。「まだ影響を評価していないが2年以内に評価する予定である」「影響を評価しておらず、2年以内に評価する予定もない」などの選択肢も設定されています。また、具体的なリスク評価箇所や未評価の理由などの詳細な情報を記述欄に記載します。

5.プラスチックに関する目標

5つ目はプラスチックに関する目標の項目です。ここでは目標の種類を3つに分けています。
下記の目標値や進捗などの開示が求められます。

(1)プラスチック生産に関する目標設定

  • 石油由来のプラスチック生産を減らす
  • 石油由来のプラスチック生産を行わない
  • リサイクルプラスチック由来の生産を増やす
  • 再生可能な原料由来の生産を増やす

(2)プラスチック包装やプラスチック製品の製造に関する目標設定

  • すべてのプラスチック利用を減らす
  • 個人がリサイクル可能なリサイクルプラスチック由来の割合を増やす
  • 再生可能な原料由来の割合を増やす
  • 製品に含まれる無駄なプラスチックをなくす
  • マイクロプラスチックの使用をなくす
  • 製品に含まれるプラスチックやマイクロプラスチックの使用を減らす

(3)プラスチック包装やプラスチック製品の循環に関する目標設定

  • リサイクル可能な製品割合の増加
  • 個人がリサイクル可能なプラごみの割合の増加
  • 地域の中で回収などされることが可能なプラスチックの割合の増加
  • リユースが可能なプラスチック製品割合の増加
  • 堆肥化可能なプラスチック製品割合の増加


個別の質問項目

上記5つの質問項目のうち、設問1への回答に応じて、下記の4つの質問項目が設定されています。

6. プラスチックの生産に関する指標
7. 高耐久プラスチック製品・部品に関する指標
8. プラスチック包装に関する指標(販売量や原材料等)
9. プラスチック包装に関する指標(リサイクル性等)

6. プラスチックの生産に関する指標

1つ目の設問で「プラスチックの生産をしている」と答えた企業に対して回答が求められます。
販売したプラスチックポリマーの総重量と原材料を記載します。
プラスチックの生産量を時系列で追跡できるようにし、プラスチック生産における再生材の需要や予想される傾向を示すことが目的です。

7.高耐久プラスチック製品・部品に関する指標

1つ目の設問で「耐久性のあるプラスチックの生産」「耐久性のあるプラスチックの生産や販売」をしていると答えた企業に対して回答が求められます。販売した高耐久プラスチックの総重量を記載します。高耐久プラスチックの生産量を追跡できるようにし、プラスチック製品のリサイクル率に関する傾向を示すことが目的です。

8.プラスチック包装に関する指標(販売量や原材料等)

1つ目の設問で「プラスチック包装材の生産・販売」「プラスチックに包装された商品の生産」「小売や飲食などで提供」をしていると答えた企業に対して回答が求められます。
販売または使用されたプラスチック包装材の総重量と原材料を記載します。

9.プラスチック包装に関する指標(リサイクル性等)

1つ目の設問で「プラスチック包装の生産・販売」、「プラスチックに包装された商品の生産」、「小売・飲食での提供」をしていると答えた企業に対して回答が求められます。
自社で販売または使用したプラスチック包装材の循環利用可能性を定量的に示します。プラスチック包装の循環性の可能性を時系列で追跡できるようにすることと、プラスチック包装の再利用性とリサイクル性についての傾向と進歩を示すことが目的とされています。

個別の質問項目はやや複雑で、実際何を開示すればいいのかが分かりづらいですが、まとめると下記の様になります。

プラスチック生産や耐久性のあるプラスチック生産をしている企業向け

  • 販売量
  • 原材料の割合(石油原料やリサイクル原料、消費者から回収したリサイクル原料の割合など)

プラスチック包装の生産や販売を行おこなっていると回答した企業向け

  • プラスチック包装の販売量や使用量
  • 原材料の割合(石油原料やリサイクル原料、消費者から回収したリサイクル原料の割合など)
  • リサイクル率(リユースできるプラスチック包装、(理論上技術的に)リサイクルできるプラスチック包装、大規模にリサイクルできるプラスチック包装割合など)


まとめ

以上この記事では、来年度のCDP気候変動質問書に導入が予定されているプラスチックに関する質問項目について解説しました。7月8日まで募集されていたパブリックコメントを反映し、2023年に最終的な質問書が完成する予定です。

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カーボンニュートラルやネットゼロ、TCFDと言った気候変動に関わる課題を抱える法人に対し、「社内勉強会」「コンサルティング」「気候変動の実働面のオペレーション支援/代行」を提供しています。

執筆者プロフィール

  • リクロマ株式会社代表。2017年5月より、PwC Mexico International Business Centreにて日系企業への法人営業 / アドバイザリー業務に携わる。2018年の帰国後、一般社団法人CDP Worldwide-Japanを経て、リクロマ株式会社(旧:株式会社ウィズアクア)を創業。大学在学中にはNPO法人AIESEC in Japanの事務局次長として1,700人を擁する団体の組織開発に従事。1992年生まれ。開成中・高等学校、慶應義塾大学経済学部卒業。