目次
  • 要旨
  • ESG関連ファンドの拡大とパフォーマンス
  • 参考URL
要旨

金融庁は2021年6月25日、資産運用会社の現状や課題をまとめた「資産運用業高度化プログレスレポート2021」を公表しました。ESG関連ファンドの数や規模は順調に拡大しているものの、現状は他ファンドと比べてパフォーマンスに大きな差は見られないと結論付けています。この差に関しては、長期的な視点でも見ていく必要がありそうです。

ESG関連ファンドの拡大とパフォーマンス

金融庁(2021)『資産運用業高度化プログレスレポート2021』より

ESG関連ファンドの拡大

ESG関連ファンドの数はグラフAのように2018年から急速に伸びています。21年は上半期だけで39本設定されているので、昨年比で倍増しそうな勢いとなっています。

各ファンドにおける純資産額に関しても、グラフBのように、18年以降に500億円以上のファンドが現れだしました。2020年には、アセットマネジメントOneが設定した「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」が登場し、現在では1兆円を超えているほどです。

ESG関連ファンドのパフォーマンス

グラフCでは、ファンドのリスク(リターンのばらつき)に対するリターンの大きさを表すシャープレシオについて、ESG関連ファンドと他のファンドを比較しています。このグラフからは、ESG関連ファンドの優位性は読み取れません。

ESG関連ファンドとそれ以外のファンドで有意な差が見られたのが、表Dの信託報酬の部分です。信託報酬とは、ファンド運用の管理コストとして投資家が運用会社に払う報酬のことで、この値が大きいほど投資家のコストとなります。ESG関連アクティブファンドがその他のファンドと比べて高い値となっているので、ESG銘柄の選定等に比較的高いコストがかかっているものと想像されます。

さらに、下記のグラフのように、ESG関連ファンドとその他ファンドのESGスコアの違いを検証しています。ESG関連ファンドのスコアがその他のファンドをわずかに上回りました。しかし、ESGとは関係ない日経平均連動ETFのスコアがESG関連ファンドをわずかに上回っています。これを踏まえ、このレポートはESGスコアに大きな違いは見られないと結論付けています。

金融庁(2021)『資産運用業高度化プログレスレポート2021』より

参考URL

金融庁(2021)『資産運用業高度化プログレスレポート2021』

https://www.fsa.go.jp/news/r2/sonota/20210625_2/01.pdf

半沢 智 (2021)『ESG投資信託、2021年倍増も運用成果の優位性は見えず』日経ESG

https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/080500105/?P=2

記:江波 太

リクロマ株式会社<br>
リクロマ株式会社

当社は「気候変動時代に求められる情報を提供することで社会に貢献する」を企業理念に掲げています。

カーボンニュートラルやネットゼロ、TCFDと言った気候変動に関わる課題を抱える法人に対し、「社内勉強会」「コンサルティング」「気候変動の実働面のオペレーション支援/代行」を提供しています。

  • 有報における気候開示が義務化へ 現在の議論を整理
    2022年3月、金融庁は、2023年度より有価証券報告書における気候変動開示を義務化する方向で検討していることを発表しました。この記事では、有価証券報告書におけるTCFD開示の動向を、2022年3月24日の第7回 金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの事務局説明資料と議事録をもとに当社が解釈した内容をお伝えします。
  • CDSB
    SASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ 会計基準審議会スタンダード)とは、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素に関する開示基準を設定している非営利団体です。
  • NZAO
    SASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ 会計基準審議会スタンダード)とは、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素に関する開示基準を設定している非営利団体です。
  • アジアに進出する日系企業の6割が脱炭素への取り組み
    脱炭素への取り組みが、アジア・オセアニア地域に進出する日系企業で広がっています。 独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO:Japan External Trade Organization。以下、JETRO。)が20 […]
  • ESG関連の投資信託の数が数年で倍増 金融庁調査
    ESG関連の投資信託(以下、ESG投信)の新規設定本数が、過去数年で倍増していることがわかりました。 2022年4月公表の金融庁の資料によると、ESG投信の新規設定本数は、2017年時点では6本だった一方、2020年に4 […]