Last Updated on 2025年3月31日 by YoshimotoRemi

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・EcoVadisは主にバイヤー企業向けに、サプライヤー企業のサステナビリティパフォーマンスを評価する世界的なプラットフォームの評価サービスを提供しています。
・本コラムでは、EcoVadis評価の概要を説明するとともに、評価を受けるメリットについて解説します。

<サマリー>
・EcoVadisとは?
・評価システムの基本構造
・ESG・CSRとの関係性
・なぜEcoVadis評価が重要なのか


EcoVadisとは?

EcoVadisの概要

世界175カ国、15万社以上の企業を評価

EcoVadisは主にバイヤー企業向けに、サプライヤー企業のサステナビリティパフォーマンスを評価する世界的なプラットフォームの評価サービスを提供しています。

出典:EcoVadisホームページ(https://ecovadis.com/ja

EcoVadisの対応企業

1,200社を超えるバイヤー企業がサプライヤー評価に活用

EcoVadisは、世界で1,200社を超えるバイヤー企業がサプライヤー評価に活用しています。

日本で対応している具体的な企業名の一例には、以下が挙げられます。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン
鈴与シンワート株式会社
株式会社オカムラ
株式会社不二家システムセンター
東西石油化学
オリエント商事株式会社
住商コスメ
三菱商事ケミカル
堺化学工業株式会社
株式会社レゾナック(旧 昭和電工株式会社)

EcoVadisでは大手企業や創業100年を誇る老舗の工業会社など、さまざまな企業の評価を行っています。

評価システムの基本構造

評価手法の基本原則

7つの基本原則

EcoVadisの評価は、以下の7つの基本原則に基づいて行われます。

1.国際的な専門家による評価
2.業種、国、企業規模に合わせた 評価
3.信頼性の高い評価のために、情報源を多様化し豊富なデータを確保
4.安全かつ機密性の高いプロセスと サイクルタイムの短縮を実現するためのテクノロジーの活用
5.文書の追跡可能性と透明性
6.証拠に基づく評価
7.継続的な改善による精度向上

スコアカード

4種類のメダル

上記に基づいて包括的に評価した0~100までのスコアと、企業ごとの強み・改善点をまとめたものが、スコアカードです。

スコアカードには、スコアに相当する4種類のメダル(ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナ)も記載されます。

評価を受けた企業は、評価内容や改善点をもとにさらなるスコアアップを目指していくことになります。

4つのテーマと21のサステナビリティ基準に基づいて評価

環境

事業活動
・エネルギー消費と温室効果ガス
・水
・生物多様性
・大気汚染
・原材料・化学物質・廃棄物

製品
・製品の利用
・使用済み製品
・顧客の健康と安全
・環境に優しいサービスと持続可能な消費の促進

労働と人権

人事
・従業員の安全衛生
・労働条件
・社会対話
・キャリアマネジメントと教育

人権
・児童労働・強制労働・人身売買
・多様性、平等、包括性
・外部の利害関係者の人権

倫理

・腐敗行為
・反競争的慣行
・責任ある情報管理

倫理

・サプライヤーの環境慣行
・サプライヤーの社会慣行

ESG・CSRとの関係性

ESGとの関連性

EcoVadisは、企業のサステナビリティを評価するためのグローバルな認証機関であり、主にESG(環境・社会・ガバナンス)の視点から企業を評価します。
特に、サプライチェーンのサステナビリティ評価に強みを持ち、国際的な企業がサプライヤーのESGリスク管理に活用しています。

出典:Ecovadis https://ecovadis.com/ja/glossary/esg-environmental-social-governance-investing/

CSRとの関連性

企業のCSR活動を数値化・可視化し、CSRの実施状況を評価
例:ISO2600の6つの中核主題
・人権
・労働慣行
・環境
・公正な事業慣行
・消費者課題
・地域への貢献と発展

なぜEcoVadis評価が重要なのか

評価対象企業は、親子会社での連携を円滑にし、サプライヤーへの調査の負担を軽減することできます。また、自社のリスクを適切に把握するとともに、取引先や投資家への信頼性を向上することができます。

バイヤー側のメリット

Ecovadisの評価をサプライヤー側に促すことで、バイヤー側には以下のメリットが考えられます。

・サプライチェーン上のリスク回避・改善を継続的に促せる
・信頼性の高い第三者機関であるEcovadisの評価を得られる
・取引先のCSRパフォーマンスを監視できリスク管理を行う
・リスクを把握でき、自社の強みや改善点、KPIが把握できる

Ecovadisをサプライヤーに依頼するバイヤーの大きなメリットとして、サプライチェーン上の包括的なリスクを把握し管理できることが挙げられます。

サプライヤーの取り組みが明確になるため、環境問題への取り組みや規約違反などの課題が起こりそうな取引先を、早期に発見しやすくなります。

また、信頼性の高いEcovadisの評価により透明性が向上し、バイヤー・サプライヤーともに強固な信頼関係を生むことも期待できるでしょう。

サプライヤー側のメリット

Ecovadisの評価を受けることで、サプライヤー側には以下のメリットがあるでしょう。

・強みと改善点を理解できる
・取引先とのエンゲージメントを深められる
・自社のベンチマークを確認し、他社と比較できる
・継続的な改善を期待できる
・Ecovadisのプラットフォーム上で、CSRパフォーマンスを取引先に共有できる

サプライヤーがEcovadisの評価を受けるメリットとして、自社のサステナビリティへの取り組みを可視化し、強みと改善点への理解が深められることが挙げられます。

可視化によりバイヤーとの関係がより強固なることや、自社のサステナビリティへの取り組みがひとつのブランドになることも期待できるでしょう。

また、自社のCSR評価結果をEcovadisのプラットフォーム上で共有できるため、旧来必要だった説明や報告の労力や時間を省くことも可能です。

スコアカードにより自社が取り組むべき課題や問題点が見えるため、やみくもに環境問題解決に手を出すことなく、サステナビリティの向上を目指せます。

まとめ

本コラムは、Ecovadisについての基礎知識と、対応するメリットについてまとめました。

Ecovadisは世界的に信頼され、的確にサステナビリティの評価や課題を明確にしてくれる評価機関です。

信頼度の高い第三者機関であるEcovadisの評価により、バイヤー側は信頼を勝ち取ることができ、サプライヤー側は自社の弱点を明確化し継続的な改善などが期待できます。

Ecovadisの評価を利用してサステナビリティにおける漠然とした煩慮を解消し、さらなるビジネスチャンスに活かしましょう。

参考文献

EcoVadisホームページ(https://ecovadis.com/ja
EcoVadis「レー ティング評価手法ー概要と原則ー日本語版」2023年
EcoVadis「企業の社会的責任」(https://ecovadis.com/ja/glossary/corporate-social-responsibility/、2025年3月26日情報取得)
EcoVadis「ESGスコア:定義、使用例、重要性、改善方法」(https://ecovadis.com/ja/glossary/esg-environmental-social-governance-investing/、2025年3月26日情報取得)

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  • 大学では気候変動の経済学を専攻し、リクロマ株式会社には創業初期よりコンサルタントとして参画。 情報開示支援を中心に温室効果ガスの排出の算定や高度なシナリオ分析の業務を担う。

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