Last Updated on 2024年11月20日 by HaidarAli
企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方の中には
「経団連カーボンニュートラル行動計画の概要について知りたい。」
「2050年カーボンニュートラルに向けた各業界のビジョンについて知りたい。」
「日本の事業活動における削減実績について知りたい。」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
当記事ではこのような悩みを解決していきます。
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
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経団連カーボンニュートラル行動計画とは
経団連カーボンニュートラル行動計画について理解したいと思われている方は、日本経済団体連合会の概要についても理解しておく必要があります。
日本経済団体連合会とは
経済団体連合会と日本経営者団体連盟が2002年に統合し誕生した、日本の代表である総合経済団体です。
略称で、日本経団連もしくは経団連と呼ばれています。
「総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、わが国経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与すること」を使命として掲げています。
2023年4月1日現在で、日本における代表企業1,512社、製造業・サービス業など主要な業種別の107にも及ぶ全国団体、47の地方別経済団体などにより構成されている団体です。
会員の企業に対して「企業行動憲章」等を遵守するよう働きかけ、企業倫理の確立およびCSR普及に取り組んでいます。
参考文献:日本経済団体連合会「経団連とは」
経団連カーボンニュートラル行動計画の概要
産業界で1997年に「経団連環境自主行動計画」が発表されてから、温室効果ガス排出量を減らすために定められた計画です。
自主的に各業界の団体が温室効果ガス削減量の目標を定め、実現するために実際に対策に取り組むものです。
第1の柱では、国内事業活動からの排出抑制と2030年目標の設定、第2の柱では主体間連携の強化、第3の柱では国際貢献の推進、第4の柱では2050年カーボンニュートラルに向けた革新的自術の開発があります。
参考文献:日本経済団体連合会「経団連とは」
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2050年カーボンニュートラルに向けたビジョンの策定状況
2050年カーボンニュートラルに向けたビジョンの策定状況では、第1部においては2050 年カーボンニュートラルに向け基本方針などの策定状況に関して報告されています。
2050年カーボンニュートラルに対し、世界的に関心および期待がさらに高まっていることに加え、経済界では、その実現に向け内外にビジョンを示していくことが必要とされ、参加業種に向け、2021年度よりビジョン策定が呼びかけられています。
2023年度に実施した調査においても回答したほぼ全業種で、ビジョンをすでに策定済み、もしくは策定を検討中・予定していると報告され、検討する予定がないと答えた業種は、わずか1業種でした(図表1)。
すでにビジョンを策定している業種数は、昨年度に比べ40業種であったのが45業種と5業種増加しています。
また、45業種における温室効果ガス排出量は、参加している業種の温室効果ガス排出量全体のうち、約97%でした(図表2)。
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2050年カーボンニュートラルに向けた各業界のビジョン
2050年カーボンニュートラルに向けた各業界のビジョンは、以下画像の通りです。
電力業界では、S+3E同時達成が期待されているエネルギーミックスを求めつつ、脱炭素電源を最大限活用したり、ヒートポンプを活用したりすることで、電気の低炭素化と電化促進の両輪で取り組みを続けます。
さらに、電力供給サービスをより高度化するために、イノベーションを通じ革新的技術の実用化を目標に掲げ取り組みが行われています。
このように、各業界で2050年までにカーボンニュートラルが実現できるよう、着実に取り組みが進められている状況です。
日本の事業活動における削減実績
実際の日本の事業活動における削減実績について解説します。
これは、第1の柱である国内事業活動からの排出抑制と2030年目標の設定において、重要になってくる部分です。
2022年度において、産業・エネルギー転換・業務・運輸の全部門における、CO2合計排出量は、2013年度に比べ20.1%減少しています。
2022年度におけるCO2排出量は、前年度の2021年度と比べ、産業部門は6.3%減少したものの、業務・運輸・エネルギー転換部門では増加する結果となりました。
特に増加が激しかったのが、運輸部門であり、前年度の2021年度と比べ2.6%の増加です。
増減の要因分析
増減の要因としては、以下3つが考えられています。
経済活動量の変化
CO2排出量が変化した1つ目の要因は、経済活動量が変化したことです。
-6.1%減少した産業部門では、原材料やエネルギー価格が高騰したこと、半導体不足に伴う需給変動が長期化したこと、外需縮小などがあります。
また、エネルギー転換部門は、コロナからの回復でエネルギーの需要が増え、都市ガス製造量が減少したことで経済活動量が変わったことによる増減はありませんでした。
その一方で、業務部門ではコロナの影響を受け在宅時間が増加したことで、通信量が増大し+6.6%、運輸部門ではコロナからの回復で人流や物流が増加したことで+1.9%増加しています。
CO2排出係数の変化
CO2排出量が変化した2つ目の要因は、CO2排出係数が変化したことです。
-0.2%減少した産業部門では、経済活動量が減少したことによるエネルギー構成の変化に加え、エネルギー回収や燃料転換が進んだことが要因です。
また、エネルギー転換部門は、火力高効率プラントを導入したことで-0.8%減少しました。
運輸部門も購入電力におけるCO2排出係数が微増しましたが増減はありませんでした。
その一方で、業務では購入電力におけるCO2排出係数が微増したことで+0.6%増加しています。
経済活動量あたりエネルギー使用量の変化
CO2排出量が変化した3つ目の要因は、経済活動量あたりのエネルギー使用量が変化したことです。
-0.1%減少した産業部門では、生産量が減少したことでエネルギー原単位は悪化しましたが、省エネ努力は継続されています。
また、-6.3%減少した業務部門では、設備や機器、運用が効率化されたことが要因です。
主体間連携の強化
主体間連携は、その4つの柱の中の第2の柱です。
製品による削減などを含める「主体間連携の強化」には、社会全体におけるCO2排出量を削減するには、自社が排出するCO2の削減だけでなく、省エネ製品やサービスの使用・消費を含めた、ライフサイクル全体においてCO2排出量を削減することが重要という想いが込められています。
多数の業種が事業バリューチェーンでCO2排出量の削減に貢献しています。
また、社会全体におけるCO2排出量の削減に貢献する製品やサービスの認知を拡大させるため、削減量の定量化によりコンセプトブックなどを利用し積極的に情報発信が行われています。
製造するまでのCO2排出量ができる限り少ない製品の調達取り組み事例では、日本製薬団体連合会によるバイオマスポリエチレン製容器などです。
参考文献:日本経済団体連合会「経団連カーボンニュートラル行動計画」
国際貢献推進
国際貢献推進は、4つの柱の中の第3の柱です。
多数の業種で、日本産業界の優秀な技術を海外に移転するだけでなく、製品やサービスを普及することで、世界における温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。
第2の柱での取組みと同じように、国際貢献を通じて海外における排出削減に関しても、各業種において定量化を推進しています。
2050年カーボンニュートラルに向けた革新的技術の開発
2050年カーボンニュートラルに向けた革新的技術の開発は、4つの柱の中の第4の柱です。
2050年カーボンニュートラルに向け、CO2排出量を大幅に削減するためには、これまでの取組みを延長するだけで足りず、新たなイノベーションを創出する必要があります。
民間だけではなかなかコミットできない中長期的な研究開発では、政府と連携し継続的に取り組んでいくことがポイントです。
日本経済団体連合会では、各業種や企業において、革新的技術の開発・導入のロードマップ例が以下のように記されています。
まとめ
日本経済団体連合会とは、経済団体連合会と日本経営者団体連盟が2002年に統合し誕生した、日本の代表である総合経済団体です。
経団連カーボンニュートラル行動計画は、産業界で「経団連環境自主行動計画」を1997年に発表してから、温室効果ガス排出量を減らすため、自主的に各業界の団体が温室効果ガス削減目標を定め、実現するために対策を行うものです。
2022年度におけるCO2排出量は、前年度の2021年度と比べ、産業部門は6.3%減少したものの、業務・運輸・エネルギー転換部門では増加する結果であり、増減の要因には、経済活動量の変化やCO2排出係数の変化などがあります。
企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方は、これからの社会ニーズに対応するためにも、経団連カーボンニュートラル行動計画の概要や、各業界のビジョンについて十分理解しておくことが大切です。
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参考文献
[1]日本経済団体連合会「経団連とは」
[2]日本経済団体連合会「2050 年カーボンニュートラルに向けたビジョン(基本方針等)の策定状況」
[3]日本経済団体連合会「2050年CNに向けた各業界のビジョン」
[4]日本経済団体連合会「経団連カーボンニュートラル行動計画」
参考文献
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