Last Updated on 2024幎7月8日 by Moe Yamazaki

近幎、䞊堎䌁業の脱炭玠経営が匷化されおいたすが、䞭小䌁業が察策を行うビゞネス芖点でのメリットは広く知られおいたせん。しかし、脱炭玠化をはじめずする気候倉動察策は䞭小䌁業にずっおも倧きなメリットがあり、他䌁業ずの差を付ける䞊でも非垞に重芁です。

本蚘事では、ビゞネス目線での䞭小䌁業における、「脱炭玠化の朮流」「なぜ気候倉動に関する情報開瀺が求められるのか」「脱炭玠経営を行うメリット」「䜕から着手し始めるべきか」の4点に぀いお解説したす。

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目次

䞭小䌁業の脱炭玠経営の朮流

パリ協定や近幎の動向を受け、脱炭玠化ぞに向けた取り組みを行う䌁業が急激に増えおいたす。

日本貿易振興機構ゞェトロの調査によるず、囜内で「すでに取り組んでいる」ず回答した䞭小䌁業は38.5でした。1幎前ず比范するず8.8%の増加が芋られ、脱炭玠化に着手する䌁業が倧幅に増加したこずがわかりたす。

たた、「ただ取り組んでいないが、今埌取り組む予定がある」ず回答した䌁業も䜵せるず、
7割近い䞭小䌁業が脱炭玠経営ぞの蚈画を進めおいるこずがわかりたす。


䌁業の脱炭玠化調査
出兞日本貿易振興機構 JETRO

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なぜ䞭小䌁業に気候倉動に関する情報開瀺が求められるのか

珟圚、プラむム垂堎では気候倉動に関する情報開瀺が矩務化されおおり、今埌䞊堎䌁業党䜓に枡っお矩務化されるず予想されおいたす。

そんな䞭、䞭小䌁業にも気候倉動に関する情報開瀺を求める圧力がかかっおいたす。投資家らは、開瀺内容の評䟡を行うCDPを通じ、非䞊堎䌁業ぞの気候倉動に関する情報開瀺を芁求しおいたす。
たた、COP26に合わせお開催されたパネルディスカッションでは、䞖界最倧の資産運甚䌚瀟であるブラックロックのラリヌ・フィンク氏が非䞊堎䌁業にも気候倉動リスク開瀺を求めるこずを明蚀しおいたす。

このように䞭小䌁業にも匷く情報開瀺が求められる理由ずしお、䞻に以䞋の二぀が挙げられたす。


①脱炭玠化はサプラむチェヌンにも及ぶため

地球枩暖化防止策においお「脱炭玠化」は䌁業に求められおいる重芁なポむントの䞀぀であり、倚くの䌁業が蚈画や目暙蚭定を行っおいたす。

脱炭玠経営は䞊堎䌁業単䜓ではなく、サプラむチェヌン党䜓で取り組む必芁がありたす。
そのため、䞭小䌁業は気候倉動に関する情報開瀺が矩務付けられおいないからずいっお
脱炭玠化の察象から倖れるこずは決しおないのです。

スコヌプずは

サプラむチェヌンを考慮した脱炭玠経営を進める䞊で、「スコヌプ」ずいう枩宀効果ガス排出量を枬定する範囲を瀺す芖点が重芁ずされおいたす。Scope3では「原料調達・物流・販売などのバリュヌチェヌンにおいお発生する排出」を指したす。

スコヌプの芖点が広たったこずにより、サプラむダヌ・顧客・小売業者ずの連携が必芁ずなり、䞭小䌁業においおも排出量の算定ず削枛を求められるようになりたした。


Scope1,2,3
匊瀟䜜成

Scope1: 自瀟での燃料の䜿甚等による盎接的な排出
Scope2: 自瀟が賌入した゚ネルギヌの䜿甚に䌎う間接的な排出
Scope3: 原料調達・物流・販売などバリュヌチェヌンで発生する排出


②䞊堎䌁業のみの開瀺ではグリヌンりォッシュになりかねないため

珟圚、気候倉動に関する情報開瀺は䞻に䞊堎䌁業に集䞭しおいるこずを理由に、情報開瀺が広く行われおいない䞭小䌁業に環境ぞの負担の高い事業を売华するずいう構造的問題が指摘されおいたす。事業の売华により、脱炭玠化に向けおの取り組みを行うこずができおいないにも関わらず、
䞊堎䌁業は情報開瀺においお自瀟の排出量をごたかすこずが可胜になっおしたいたす。

このように、環境に配慮した経営を行っおいないのにも関わらず、取り組んでいるように芋せかける粉食行為は「グリヌンりォッシュ」ず呌ばれ、批刀されおいたす。

グリヌンりォッシュの構造
匊瀟䜜成

このようなグリヌンりォッシュを防ぐためにも、䞊堎しおいるか吊かに関わらず、気候倉動に関しお情報開瀺を行っおいく必芁がありたす。

䞭小䌁業が脱炭玠経営をするメリット

①機䌚の獲埗

倧手䌁業から受泚する可胜性が高たる

䞊蚘で玹介した「スコヌプ」の芖点により、サプラむチェヌン党䜓での脱炭玠が掚進されたこずをきっかけに、倧手䌁業は自瀟の事業に関連する䌁業すべおの枩宀効果ガス排出量を考慮する必芁が出おきたした。

倧手䌁業においお、CDP(評䟡機関)の質問曞にお、「自瀟のサプラむダヌにSBTを取埗しおもらうこず」で埗点が埗られるため、サプラむダヌにSBT(削枛目暙)の取埗を芁請するような事䟋が増えおきおいたす。芁請は今埌も広がっおいくず予想されるため、早めに枩宀効果ガスの削枛に着手する必芁がありたす。

たた、倧手䌁業は枩宀効果ガス排出量の削枛を既に実行しおいる䌁業ずの連携を匷化し始めおいたす。
あらかじめ脱炭玠化を進めおおくこずで競争力が䞊がり、倧手䌁業ずの取匕機䌚が高たるず考えられたす。

資金調達の可胜性が広がる

金融機関や銀行がサステナビリティを重芖する傟向は匷く、それぞれの銀行が具䜓的な取り組みを公開しおいたす。資金調達の偎面では、サステナビリティを融資の刀断基準に眮いたり、積極的な取り組みを行う䌁業に優先的に融資を行ったりなどの取り組みが芋られたす。

【サステナブル融資】
銀行が脱炭玠に取り組む䌁業に察し積極的な融資を行う

【ESG融資】
銀行が融資先を非財務情報から刀断する融資です。
䞻に「サステナビリティ・リンク・ロヌン」「グリヌンロヌン」「グリヌンボンド」などがありたす。
これらはSDGsやESG戊略、環境分野に基づいた目暙・指暙(SPTs)の達成状況に応じお適応金利が発生するロヌンや債暩のこずです。
グリヌンロヌンずグリヌンボンドで集めた資金は必ずグリヌンプロゞェクトに利甚しなければなりたせん

このように融資や補助金など、資金調達の可胜性を広めるためには、積極的に情報開瀺を行い、気候倉動察策ぞの取り組みや目暙を定めおいく必芁がありたす。

若い人材の確保に効果的

新卒孊生向けの就職情報サむトキャリタスによる調査では、
就職先䌁業を決めた理由の30項目のうち、最も高かったものは「瀟䌚貢献床が高い」(30.0%)であり、孊生のサステナビリティぞの関心が最も高いこずが分かりたす。

たた、NHKによる䌁業の瀟䌚貢献床の高さの志望ぞの圱響床に぀いおの調査では、
65.2%の䌁業の孊生が「ずおも圱響した」「やや圱響した」ず回答しおおり、
「党く圱響しなかった」ず回答した孊生はわずか6.8%でした。

䌁業の瀟䌚貢献床の志望ぞの圱響
出兞NHK就掻応揎ニュヌスれミ

このように、孊生は瀟䌚貢献をしながら働くこずを重芖しおいる傟向が匷く、瀟䌚貢献は䌁業ず切り離せない課題ずなっおいたす。
サステナビリティに関する取り組みは自瀟の人材の確保に盎結しおきたす。

たた、自瀟の埓業員の脱炭玠経営を求める声に応えるために着手する䌁業も増えおいたす。


②リスクの䜎枛

脱炭玠化および気候倉動察策が遅れおしたった堎合、以䞋のようなリスクが考えられたす。

競合に事業機䌚を取られるリスク

脱炭玠は消費者にも浞透しおきおいるため、「顧客の賌買条件により䜎炭玠な補品を調達する」ずいうような遞択がなされる堎合、より䜎炭玠な補品を販売する競合にずられおしたうリスクがありたす。

サプラむチェヌンから倖されおしたうリスク

䌁業のサプラむチェヌン党䜓の脱炭玠化をしなければ、倧手䌁業はESG投資などにおいお䞍利になっおしたいたす。そのため、既に取匕のある䌁業であっおも、察応を進めなければサプラむチェヌンから倖されおしたう可胜性がありたす。

䞭小䌁業は䜕から着手するべきか

①枩宀効果ガス排出量の算定・削枛目暙

䞭小䌁業においお、最も重芁ず蚀える察策は、枩宀効果ガスの削枛です。

しかし削枛を行うためには、たず自瀟で枩宀効果ガスをどれくらい排出しおいるか把握する必芁がありたす。

枩宀効果ガス排出量の算定Scope1,2,3算定

排出量の算定を行うこずで、以䞋のように取り組みを進めおいくこずができたす。

1,排出量を可芖化するこずで、領域ごずの排出量を捉えるこずができる
2,どの郚分から削枛を進めおいくか刀断する材料ずなる
3,削枛埌に具䜓的な数倀ずしお瀺すこずができる

サプラむチェヌン党䜓に枡る排出を盎接排出・間接排出・その他の排出に分けたScope1,2,3党䜓での算定が重芁です。
詳しくは「スコヌプ1,2,3ずは各スコヌプの排出量の算定方法たで解説 」をご芧ください。

削枛目暙の蚭定SBTi

SBTずは「Science Based Targets」の略で、
パリ協定で定められた気枩䞊昇を1.5℃未満に抑える「1.5床目暙」の達成に向けた枩宀効果ガス排出量の削枛目暙を意味したす。SBT認蚌を行うこずで、脱炭玠ぞの取り組みを行っおいるこずを瀺す囜際認蚌が受けられたす。

詳しくは「SBT認蚌ずは日本䌁業の動向から認蚌のポむントたで解説 」をご芧ください。

【䞭小䌁業版SBTずは】
SBTには䞭小䌁業版がありたす。通垞版ずの差異は以䞋の点が挙げられたす。
・枩宀効果ガス排出量削枛の察象範囲は自瀟での排出のみ
・削枛目暙の提出で自動的に認蚌される審査が䞍芁
・費甚が安い

このように䞭小䌁業には負担の軜いコヌスが甚意されおおり、比范的着手が簡単です。


②環境配慮型商品

平成13幎より、環境や必芁性を十分に考慮し、可胜な限り環境負担の少ない商品の賌入を掚進する「グリヌン賌入法」が制定されたした。それず同時に、商品の䟛絊偎である䌁業にも環境負担を軜枛した商品の開発が求められおいたす。

環境配慮型補品ずは

環境ぞの圱響を配慮し、比范的に環境負荷を抑える取り組みを行っお生産された補品を指したす。

配慮は䞻に次のようなこずが挙げられたす。
①廃棄物の枛量化
②倩然資源の効率的な利甚や削枛再生利甚・脱プラスチックなど
③゚ネルギヌの効率的な利甚や削枛再生可胜゚ネルギヌの導入など
④化孊物質や枩宀効果ガスの削枛

䞊蚘の取り組みは原料調達から廃棄たでのラむフサむクル党䜓に枡っお考慮される必芁がありたす。

環境配慮型補品の開発・販売メリット

特に情報開瀺においおは、CDPで「自瀟の補品・サヌビスが䜎炭玠補品に該圓するか」ずいう質問があり、該圓する堎合は加点になりたす。

このように、環境に配慮した補品には倚面的なメリットが挙げられたす。

たずめ

本蚘事では䞭小䌁業における脱炭玠経営に぀いお述べたした。

ビゞネス芖点で芋おも、䞭小䌁業が脱炭玠化および気候倉動察策を行う必芁は十分あり、情報開瀺や枩宀効果ガスの削枛目暙など、蚈画的に察策を進めおいく必芁がありたす。

#囜内動向

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たでをご理解いただけたす。

参考文献

[1] Energy Shift「䞊堎䌁業だけじゃない 非䞊堎䌁業、䞭小䌁業にも脱炭玠が波及 あなたの䌚瀟はどうする」
[2]日本貿易振興機構 JETRO 「脱炭玠化ぞ倧きな波―䞭小䌁業に求められる「算定ず把握」

[3] NHK就掻応揎ニュヌスれミ「就掻生の䌁業遞びにも圱響 広がるSDGs」
[4] キャリタス就掻2021「就掻生の䌁業遞びず SDGs に関する調査」
[5] 環境省 総合環境政策「グリヌン賌入」
[6] 環境省 報道発衚資料「グリヌンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガむドラむン グリヌンロヌン及びサステナビリティ・リンク・ロヌンガむドラむン」

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Author

  • 岩有桜

    2023幎1月入瀟。環境問題を䞭心ずした瀟䌚問題に取り組む䞀般瀟団法人に所属。囜際教逊孊郚にお環境問題や゜ヌシャルビゞネスをはじめずする瀟䌚貢献に぀いお孊び、サステナビリティに貢献するビゞネスに携わりたいずいう思いからリクロマ株匏䌚瀟ぞ参画。

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