Last Updated on 2024年5月2日 by Yuma Yasui

企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方の中には

「カーボンニュートラルの意味や目的について詳しく知りたい」
「カーボンニュートラルの問題点について知りたい」
「カーボンニュートラルがおかしいと指摘される矛盾点、対応策について知りたい」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

当記事ではこのような悩みを解決していきます。
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

それでは解説していきます!

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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルについて詳しく知りたいと思われている方は、カーボンニュートラルの意味や目的、重要性について理解する必要があります。

カーボンニュートラルの意味と目的

カーボンニュートラルは、温室効果ガスを排出する量と吸収する量を同じにすることを意味しています。

ここで重要になるのは、ただ単に温室効果ガスを減らすだけではないことです。

現在地球温暖化は世界中で取り組むべき深刻な問題となっており、その原因として大気に排出されている温室効果ガスが挙げられています。

その原因を無くすため、世界中の国々で温室効果ガスを減らす取り組みが実施されています。

しかし、温室効果ガスは動力や発電、熱供給といった多種多様な行為で発生してしまうため、排出する量を完全にゼロにすることはできません。

そのため、温室効果ガスを排出する量から森林などで吸収される量を引き、合計をゼロにするというカーボンニュートラルが注目されています。

国際的な取り組みとその重要性

カーボンニュートラルの実現には、温室効果ガスを排出する量を、できる限り減らし、どうしても減らせない量に対しては、温室効果ガスを吸収したり、除去したりすることで実質ゼロにしなければなりません。

温室効果ガスを排出する量を減らすためには、省エネルギーを徹底したり、再生可能エネルギーを導入したりといった方法があります。

温室効果ガスを吸収したり、除去したりするためには、大気中における二酸化炭素の回収技術の活用や植林推進などです。

資源エネルギー庁が公表しているデータでは、2021年11月時点において、154カ国と1地域が、2050年など年限を区切りカーボンニュートラルを実現すると表明していることが分かっています。

資料:経済産業省

世界中の国の約3分の2が、2060年度までにカーボンニュートラルの実現に向け取り組んでいます。

世界中でカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが活発化している理由は、深刻化する気候変動問題の影響はもちろんですが、その他経済的メリットも大きいからです。

財務情報に限らず、環境と社会、ガバナンスの点で投資するESG投資が世界中で拡大したことにより、カーボンニュートラルの実現は今後の社会で生き残るためにも重要な課題となっています。

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カーボンニュートラルの問題点

カーボンニュートラルの問題点は、以下6つです。

①経済発展の国家間格差と排出規制の設定

カーボンニュートラルで減らす必要がある二酸化炭素の量は、それぞれの国で排出量が変わってきます。

実際の排出量では、日本は約3%のみの排出ですが、アメリカでは14.1%、中国では29.5%の割合です。

そのため、例え日本だけがカーボンニュートラル実現に向け注力したとしても、アメリカや中国のような排出量が多い国が取り組まない場合、意味がなくなってしまいます。

②再生可能エネルギーの不安定性

再生可能エネルギーは、石炭や石油・天然ガスといった化石エネルギーと異なり、太陽光や地熱、風力など地球の資源など、常に自然界に存在しているエネルギーです。

化石燃料と違い環境に優しく、枯渇してしまう心配も無いため、新エネルギーとして注目されています。

しかし、再生可能エネルギーは、天候などの自然状況に大きく影響を受けるため、不安定なエネルギーで、需要に応じた発電は不可能です。

天候などで出力が大きく変わってしまう太陽光発電や、風力発電を使う場合、発電で余った電気を貯めるだけでなく、不足分の電気を補う取り組みが不可欠です。

③バイオマスエネルギーの矛盾

バイオマスエネルギーとは、動物や植物を原料に発電する方法で、二酸化炭素を排出する量が少ない再生可能エネルギーの中の一つです。

しかし、原料である植物や森林を伐採した場合、二酸化炭素吸収量が減少してしまいます。

その他にも、原料である植物の安定供給が可能なのかといった課題も抱えています。

④カーボンオフセットの実効性

カーボンオフセットには、炭素の排出量を相殺する意味があり、ある場所において炭素を排出する分、大気中に炭素を排出してしまうのを防ぐか、別の場所において炭素を大気中から除去するかでバランス調整する仕組みのことです。

カーボンオフセットでは、実際に相殺されているか実効性について検証を行う国際機関の中に、唯一の信頼できる情報源であるSSOTが存在しないため、実効性が懸念されている問題があります。

⑤カーボンニュートラル検証の難易度

二酸化炭素の排出する基準設定が困難なことは、検証も困難であるということです。

例えば、多数の先進国においてカーボンニュートラルが実現された場合でも、開発途上国で先進国が工場を所有し、その開発途上国においてカーボンニュートラルが実現できなければ、世界を全体で見た際に二酸化炭素が増えている可能性があります。

そのため、カーボンニュートラルは一部の国だけでなく、世界中の国で取り組むべき問題のため、世界が強調することが必要です。

確実に二酸化炭素排出量を減らすためにも、カーボンニュートラル検証の難易度が高く測定が困難な問題があります。

⑥グローバルサプライチェーンにおける課題

グローバルサプライチェーンは、製品が作られて消費される一連で必要になる活動を、日本国内だけでなく海外も含めグローバルに実施することです。

グローバルサプライチェーンにより、さまざまな製品の生産が効率化できる可能性がある反面、輸入や輸出などの輸送で多くの二酸化炭素が排出されます。

生産自体は効率化できても、その他で排出が増えてしまっては意味がありません。

カーボンニュートラルがおかしいと指摘される矛盾点

カーボンニュートラルがおかしいと指摘される矛盾点は、以下2つです。

①化石燃料の許容と技術依存

火力発電では、石炭や石油といった化石燃料を燃やし電力を作るため、発電する過程で多くの二酸化炭素が排出されています。

そのため、前提としてカーボンニュートラルを実現するためには、火力発電などで利用される化石燃料から脱却しなければなりません。

しかし、地域によっては、火力発電以外の方法だとエネルギー源を安定して確保できないことも少なくありません。

IEAの調査では、トルコやイラン、エジプトといった国では、供給されている電力の9割以上が火力発電のため、火力発電の代用になりえるエネルギー源を探すのが大きな課題です。

カーボンニュートラルを実現するためには、新技術開発および実用化が重要なポイントです。

具体的には、火力発電の代わりに使える新エネルギー源を開発したり、二酸化炭素を吸収したりできる技術などがあります。

②地球温暖化と異常気象の関連性

近年の豪雨や猛暑といった異常気象は、温室効果ガスを排出する量が増えたことで、地球温暖化が深刻化したのが原因の一つとされています。

例えば、地球規模で平均気温が上がった場合、地面や海で蒸発する水分の量も増えます。

具体的な数値としては、平均気温が1度上昇した場合、水蒸気量は7%程度増加するといわれ、水蒸気量が増加することで大雨での雨量が増え、結果的に豪雨に繋がる仕組みです。

こうした理由から、異常気象を発生させる現象として地球温暖化が原因の一つと考えられています。

ちなみに温室効果ガスとは、フロンガスやメタン、二酸化炭素などを意味します。

問題点・矛盾点への対応策

問題点、矛盾点への対応策は、以下3つです。

①排出量の消費ベースでの測定アプローチ

カーボンニュートラルの実現に向け企業が取り組む際、事業で排出する温室効果ガスを減らす必要があります。

減らすためには、はじめに工程や活動に分けて温室効果ガス排出量を測り、数値化する作業が不可欠です。

IoTセンサーを使用して二酸化炭素を排出する量を測ることにより、エネルギーに対する使用状況をデータで蓄積可能なため、エネルギーを無駄に使用している工程を減らしたり、二酸化炭素を排出する量ができるだけ少ない燃料に変えたりなど、具体的な対策について検討が行えます。

②排出量実質ゼロに向けた新しい技術革新

繰り返しになりますが、カーボンニュートラルを実現するためには、新技術の開発および実用化が大きなポイントです。

二酸化炭素を吸収するための技術では、CCUS工場や発電所から排出されている二酸化炭素を集め地中に埋める方法のCCUSや大気中に存在する二酸化炭素を集め、地中に埋めるDACなどです。

また、新エネルギー源開発では、化石燃料に代わって利用可能な原料として合成石油や合成メタンが注目を集めています。

しかし、これら技術を利用するにはコストも高く、大量生産には現時点では対応できません。

この課題が解決すれば、二酸化炭素をたくさん吸収し、再生可能エネルギーを使う場面が増加するため、二酸化炭素を排出する量が大きく減らせます。

③環境と経済の持続可能性

日本における電力需要を長年支えている火力発電の場合、電力生産時に化石燃料が多く使われます。

太陽光発電や風力発電をはじめとした再生可能エネルギーが増加していますが、今すぐに火力発電からすべて移行するのは不可能です。

理由は、再生可能エネルギーは火力発電と比べ、安定してエネルギーを生産できないからです。

そのため、少しずつでも環境と経済の持続可能性を高めるために再生可能エネルギーなど、持続可能な経済活動を意識し取り組む必要があります。

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リクロマ株式会社

当社は「気候変動時代に求められる情報を提供することで社会に貢献する」を企業理念に掲げています。

カーボンニュートラルやネットゼロ、TCFDと言った気候変動に関わる課題を抱える法人に対し、「社内勉強会」「コンサルティング」「気候変動の実働面のオペレーション支援/代行」を提供しています。

Author

  • 西家 光一

    2021年9月入社。国際経営学修士。大学在学中より国際人権NGOにて「ビジネスと人権」や「気候変動と人権」領域の活動を経験。卒業後はインフラ系研究財団へ客員研究員として参画し、気候変動適応策に関する研究へ従事する。企業と気候変動問題の関わりに強い関心を寄せ、リクロマ株式会社へ参画。

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