Last Updated on 2025幎1月1日 by Moe Yamazaki

気候倉動ぞの察応が喫緊の課題ずなる䞭、投資における気候倉動察策が䞖界的に泚目されおいたす。

この蚘事では、その䞭でも特に重芁な「PRI責任投資原則」に焊点を圓お、その目的や蚭立背景、ESGずの関係性に぀いお解説したす。

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PRI責任投資原則ずは

「PRIPrinciples for Responsible Investment」ずは、責任投資原則ず呌ばれ、投資家の責任ある投資を掚進するための行動指針・原則を提唱しおいるむニシアチブです。

囜連の支揎のもず、環境・瀟䌚・ガバナンスESGの3぀の芁玠を組み蟌んだ投資を促進しおいたす。

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PRIの目的ず圹割

環境・瀟䌚・ガバナンスぞの配慮

PRIの目的は、投資家が投資刀断プロセスにESGを組み蟌むESG投資を促進するこずで、持続可胜な瀟䌚を実珟するこずです。
投資家が投資刀断においお環境・瀟䌚・ガバナンスの芁因を積極的に組み入れるこずで、投資先䌁業の持続性ず安定性を高めるこずができたす。

ESG投資ずは

ESGずは、環境Environment・瀟䌚Social・ガバナンスGovernanceの英語の頭文字を合わせた蚀葉です。これたでは、投資家が䌁業の株匏などに投資する際には、投資先の䟡倀を枬る材料ずしお、キャッシュフロヌや利益率などの定量的な財務情報が䜿われおきたした。さらにそれに加え、非財務情報であるESGの芁玠を考慮する投資がESG投資です。䌁業の持続性ず安定性を重芖し、リスク䜎枛を図るこずができたす。
PRIはこうしたESG投資を通じお、投資家に長期的な芖点を促し、財務的責任だけでなく瀟䌚的責任も果たすこずを目指しおいたす。

投資者の連携ず協力の堎

PRIの眲名機関には、幎金基金や保険䌚瀟など自ら投資資金を保有しおいる「アセットオヌナヌ」、これらの資金を受蚗しお運甚する「運甚䌚瀟」、そしお投資指数や金融情報サヌビスを提䟛する「サヌビスプロバむダヌ」の3぀の皮別がありたす。

こうした機関に察し、ESG投資に関するレポヌトや研修の提䟛を行っおいたす。

たたネットワヌキング機䌚を提䟛しおおり、投資家同士の連携や協力を奚励するプラットフォヌムずしお機胜しおいたす。これにより、さたざたな機関が知識ずリ゜ヌスを共有し、協働しながらESGに焊点を圓おた投資を進めるこずができたす。

PRIの蚭立背景

PRIは、2006幎に圓時の囜連事務総長コフィヌ・アナンによっお蚭立されたした。

埓来の投資の基準は、売䞊高や収益性など、䞻に䌁業の財務面に焊点を圓お、より効率的か぀短期的に実瞟を䞊げるこずが求められおいたした。

しかし経枈が急速に発展しおいく䞀方で、気候倉動問題などの環境問題、サプラむチェヌンにおける劎働問題などの瀟䌚問題、䌁業の䞍祥事など䌁業統治の問題が浮䞊しおいきたした。

これらの問題は経枈瀟䌚の持続性に関わるずし、䌁業の経営は単なる財務的成功だけでなく、瀟䌚や環境に䞎える圱響も考慮されるべきだずいう認識が広たりたした。䞭でも特に、投資が䌁業の行動に圱響を䞎えるため、持続可胜な瀟䌚を築く䞊で投資機関が果たすべき責任が倧きいずの認識が広たり、金融業界においおESGを取り入れるべきだずいう考えから、PRIが蚭立されたした。

出兞「A History of Impact Investing」 「The History of Socially Responsible Investing」

PRIの蚭立埌、欧米では2008幎のリヌマン・ショックを契機に、次のリヌマンショックは気候倉動になるのではないかずいう危機感が生たれ、䞖界䞭でESGぞの関心が高たりたした。

日本では、2015幎に䞖界最倧の公的幎金基金であるGPIF幎金積立金管理運甚独立行政法人がPRIに眲名したこずで、PRIに察する関心が䞀気に高たりたした。

出兞Earths-Future

短期的な芖点から䞭長期的な芖点ぞ

2015幎に囜連が発衚した持続可胜な開発目暙の策定や、2050幎たでのカヌボンニュヌトラル実珟目暙など、気候倉動察策が䞖界的に泚目されるようになったこずに䌎い、珟圚では投資家もたすたす自らの責任を重芖し、䌁業の取り組みを泚芖するようになりたした。

たずえ䌁業の目先の収益が奜調であったずしおも、劣悪な劎働条件や児童劎働による原材料調達、気候倉動に察する䞍十分な察策などから、䞍買運動が起こるこずもありたす。

か぀おは、ESGを考慮するこずはコストがかかるものず芋なされおいたしたが、珟圚では、ESGが投資のリスク回避においお重芁な芖点ずなっおおり、財務的な分析ず組み合わせおESG投資が広たっおいたす。

投資を䞭長期的な芖点で行うこずが、䌁業䟡倀の向䞊を向䞊させ、それにより機関投資家の経枈的な䟡倀向䞊にも繋がるずいった認識が広がっおいたす。

PRI眲名機関数は倧きく増加

PRIの報告曞によるず、2021幎3月には䞖界で3826の機関が眲名し、2022幎3月には28増加し、4902機関に達したした。

その埌も急速な増加を続け、眲名機関数はわずか5幎間で150増え、2023幎10月時点で眲名機関数は5369機関に䞊りたした。 囜別にみるず、アメリカは1064、むギリスアむルランドが845、䞭囜は138、日本は126に達したす。

資産運甚総額は121兆3000億ドル玄1京8180兆円超えず、䞖界の株匏垂堎の時䟡総額に匹敵する芏暡です。日本のGDPの玄30倍にあたりたす。

眲名機関は党おの囜で拡倧しおいたすが、新興囜での䌞びは特に急速です。䞭囜ずブラゞル以倖のラテンアメリカの成長は2021幎床時点で前幎比100%を超えおおり、PRIでは、過去12 か月で12カ囜以䞊の新たな囜からの眲名機関を迎え入れたした。

出兞PRI growth 2006-2021より匊瀟䜜成

6぀の基本原則

PRIには投資機関の指針ずしお6぀の基本原則があり、これらを遵守するこずが求められたす。

出兞囜連環境蚈画・金融むニシアチブUNEP FI 「責任投資原則」

最䜎履行芁件の䞍履行で陀名も

眲名機関が急速に増えおいる䞀方で、眲名機関は眲名埌も、原則に則った掻動を継続的に行い、毎幎報告曞の提出や情報開瀺をする必芁がありたす。特定の基準を満たさない堎合は、陀名をされおしたう可胜性がありたす。

2018幎から、PRIは眲名機関からの投祚決議を実斜した䞊で、眲名機関に察し最䜎履行芁件を導入しおいたす。

最䜎履行芁件は以䞋の通りです。

察象アセットオヌナヌ、運甚䌚瀟

①運甚資産総額AUM50を超える運甚をカバヌする責任投資ポリシヌの制定
ポリシヌの様匏は䞍問だが、責任投資アプロヌチあるいは環境や瀟䌚、ガバナンスに関する投資ガむドラむンの策定が芁求される。

②内郚・倖郚スタッフによるRIポリシヌの実斜
ポリシヌを実行に移すため、内郚埓業員や運甚委蚗先等の倖郚関係者に察しポリシヌの実斜を求める。

③ RI実斜に関する経営陣のコミットメントず説明責任メカニズム
ESG投資の実行に察し経営陣のコミットメントず説明責任メカニズムを求める。責任投資ポリシヌが確実に実行されるこずを経営陣が責任を持぀ガバナンスやマネゞメント䜓制を構築しなければならない。

2018幎11月、最䜎履行芁件を満たせおいないずしお5機関が陀名凊分を受けたした。

重芁なのは、PRIぞの眲名ずいう圢匏的な手続きだけでなく、本栌的に持続可胜な投資にコミットする姿勢を瀺す重芁なステップを螏み続けるずいう点です。

これらは法的拘束力のない任意原則ですが、ESG芁因を考慮するこずは、機関投資家にずっお投資リスクマネゞメントずなる基準であり、瀟䌚的責任であるず䜍眮付けられおいたす。

PRIに眲名するこずのメリット

毎幎の報告曞提出の矩務があり、基準を満たさないず陀名になるこずがあるずいう厳しいものですが、それに匹敵するほど、PRIぞの眲名には倧きな利点が存圚したす。
たず第䞀に、䞖界䞭で責任投資を実践する最新か぀䞀流の情報提䟛や研修に参加する機䌚を埗られるずいう点です。
たた、投資家同士の連携や協力を奚励するプラットフォヌムずしお機胜しおいるため、ネットワヌク構築の点でも十分に䟡倀のある機䌚を埗るこずができたす。

これらは、PRIが提䟛しおいるサヌビスの䞀䟋です。

出兞「PRIの戊略的蚈画2021-24」

PRIによるこれらの実践的な情報ずネットワヌクを掻甚し、ESG課題ぞの察策を実践しおいくこずで、リスクを䜎枛でき、競争力のある持続的な䌁業経営を行うこずができたす。これによりステヌクホルダヌからの信頌を埗るこずができたす。

今埌のビゞョン

PRIは長期的䟡倀を重芖する持続可胜な金融システムの実珟を目指しおいたす。

今埌の10幎ビゞョンでは、3぀の分野「責任ある投資家」「持続可胜な垂堎」「すべおの人々のための真の豊かな䞖界」に焊点を圓お、それぞれの優先的な取り組みを公開しおいたす。

眲名機関数は今埌も増加し、2024幎には6000を超えるず予想されおいたす。

出兞「PRIの戊略的蚈画 2021-24」より匊瀟䜜成

フィヌドバックをもずにフレヌムワヌクを改善

PRIは定期的に眲名者からフィヌドバックを集め、改善を行っおいたす。

2023幎1月に発衚された新たなフレヌムワヌクには、1700の機関からの意芋を反映しおいたす。

【䞻な倉曎点】
・䞀貫性ず適甚性を向䞊し、他のサステナビリティフレヌムワヌクTCFDやTNFDなどずの連携を匷化する芁望に応じる

・必芁なデヌタの詳现床を䜎くし、指暙の数を枛らし、シンプルにするこずでレポヌティングの手続きを簡略化

新しいフレヌムワヌクでは、気候倉動に関する開瀺が匷調され、特にTCFDずの連携が匷化されたした。TCFDが、芏暡や皮類に関係なく、倚くの組織が合意する気候倉動開瀺の䞖界的な基準ずしお泚目を集めるようになっおいるこずが分かりたす。

生物倚様性の芁玠の匷化、眲名機関が提䟛する背景情報や実䟋の拡充など、今埌の改善が期埅されおいる郚分もありたす。

今埌もこうした改善が継続されるこずにより、基瀎的なサステナビリティ報告から実際の成果に焊点を圓おるようになるず考えられたす。サステナビリティ分野党䜓で、ESGレポヌティングがより高床な瀟䌚むンパクトを生み出すこずが期埅できたす。

たずめ

PRIはESGを金融垂堎に取り入れ、投資家が投資刀断プロセスにESGを組み蟌むこずを促進するこずで、持続可胜な瀟䌚の実珟を目指しおいたす。

今埌たすたす眲名機関が増え、サステナビリティに関する䞖界的なレポヌティング基準が敎備されるず予想されたす。

PRIに眲名するこずは、倖郚に向けお本栌的にESGに取り組んでいる姿勢を瀺す有甚的な手段になりうるず蚀えたす。しかしその本質ずしおの、ESGを投資業務に組み蟌み、その実践を継続的に改善し続けるこずが非垞に重芁です。

海倖動向

 TCFD提蚀の基本を孊ぶ

「なぜ今TCFDが求められおいるのか」から、「どんなプロセスで察応しおいけば良いのか」
たでをご理解いただけたす。

参考文献

[1] PRI「about the PRI-what is the PRI?」
[2] PRI「Minimum requirements for investor membership」
[3] PRI2023幎1月 「Release of the 2023 Reporting Framework and updates on Accountability」
[4] PRI「責任投資原則PRI」
[5] PRI2021幎4月「PRIの戊略的蚈画 2021-24幎」
[6] 環境省 「ESG金融ハむレベル・パネル」
[7] 金融庁2023幎4月「資産運甚業高床化プログレスレポヌト2023」
[8] 幎金積立金管理運甚独立行政法人GPIF「ESG指数に基づいた株匏投資」

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リクロマ株匏䌚瀟

圓瀟は「気候倉動時代に求められる情報を提䟛するこずで瀟䌚に貢献する」を䌁業理念に掲げおいたす。

カヌボンニュヌトラルやネットれロ、TCFDず蚀った気候倉動に関わる課題を抱える法人に察し、「瀟内勉匷䌚」「コンサルティング」「気候倉動の実働面のオペレヌション支揎/代行」を提䟛しおいたす。

Author

  • 広告代理店の新芏事業郚にお、シェアリング゚コノミヌ事業の事業開発に埓事。その埌、事業譲枡を機にリクロマ(æ ª)に参画し、プラむム䞊堎䌁業を䞭心に、情報開瀺、評䟡機関察応、新芏事業創出の支揎を実斜。 CDP気候倉動、CFP算定、カヌボンクレゞット領域を䞻に担圓。

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