Last Updated on 2024年11月20日 by HaidarAli
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気候変動対策の重要性が日々高まる中で、SBT認定の対応を進めている企業の担当者様も多いことと存じます。そこで、実際にSBT目標の取得ポイントを理解したいという担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、SBTネットゼロ目標の企業事例を解説していきます。
SBTの概要
SBTについて詳しく知りたいと思われている方は、SBTとは何か、短期目標とはどのような目標を指しているのか理解する必要があります。
SBTとは
SBT(Science Based Targets)とは、企業が自らの温室効果ガス排出削減目標を、気候科学に基づいて設定するためのフレームワークのことです。企業はこれに沿って、気候変動の影響を最小限に抑え、地球の温暖化を1.5度以下に抑えるための具体的な目標を持って行動することが求められます。
SBTの全体が体系的に理解できる!SBT認定とは?種類や主なポイント、事例を分かりやすく説明
SBT短期目標とは
SBTの短期目標とは、5〜10年先を目標に掲げた1.5℃水準の温室効果ガス排出量の削減目標のことです。
2020年より前が基準年であれば、毎年Scope1・2では4.2%の削減、Scope 3では2.5%の削減が要求されます。
2020年より後に基準年を設定する際、Scope 1・2は42%の温室効果ガス排出量の削減を2030年までに達成することが求められ、Scope 3では最低でも25%減らすことが求められます。
2021年以降が基準年の場合、目標値に対する考え方は以下の通りです。
- 4.2%/年の削減率が不変の場合、目標年を固定した際は基準年を延長するほど、目標達成で必要とされる削減量を減らせる。
- 上記を防止するため、基準年を2021年以降にする際は、基準年を2020年に設定した際と同レベルの削減を求める。
なお、基準年は短期目標と長期目標の両方で同じ年でなければなりません。
SBT認定の基本的な概要や申請プロセスについて一通り理解する
⇒SBT認定解説資料
SBT短期目標の事例についてはこちら!SBT短期目標の事例を解説
SBT短期目標設定の際に使用する資料
企業は、科学的根拠に基づく基準に沿い目標を定めます。
はじめにSBTのガイドに従い、目標策定におけるプロセス概要を確認した後、SBTi Criteria and RecommendationsもしくはNet-Zero Standard Criteriaから目標を設定する要件について確認して下さい。
これら要件を深く理解するには、SBTi目標の検証手順を確認した上で、目標設定ツールもしくはネットゼロツールを使って目標を作成します。
その後、会社にガイダンス・要件があるか判断する流れです。
企業はコミットすると示した書類に署名してから2年以内に目標を提出しなければなりません。
なお、企業の短期目標設定にはこちらの資料を利用します。
SBT バウンダリについて
組織の対象範囲
組織の対象範囲では、企業は子会社に限らず、親会社やグループレベルで目標を設定する必要があります。
親会社は、バウンダリ要件に沿った全子会社における温室効果ガス排出量を提出する際の目標に含めることが必要です。
親会社・子会社の双方が目標提出を行う際は、親会社が設定する目標値では、選んだインベントリ連結アプローチに関して、親会社における排出量バウンダリに子会社を含む際は、子会社の温室効果ガス排出量も入れなければなりません。
また、SBTiにおいては、温室効果ガス(GHG)プロトコルにおける企業基準により定められている企業の組織範囲が、企業における財務会計や報告プロセスで使われている組織範囲と合っている必要があります。
排出量算定の対象範囲
温室効果ガスの排出量算定の範囲目標では、温室効果ガス(GHG)プロトコルの企業基準で求められており、関連するすべての温室効果ガスをカバーする必要があります。
Scope1・2における重要度閾値では、企業は目標と排出量算定の範囲について、Scope 1と Scope 2を合算した値に対し上限5%までの除外が可能です。
Scope3では、カテゴリーにおける最小境界を考慮し、報告・除外されたScope3における排出量を合計した、少なくても67%をカバーする排出量削減短期目標、またはサプライヤー・顧客エンゲージメント目標を定める必要があります。
目標の対象範囲
Scope1とScope 2の目標は、温室効果ガスにおけるプロトコルの企業基準で定められているように、子会社だけでなく全社的にScope1またはScope2での温室効果ガス排出量をカバーする必要があります。
Scope3の目標設定が求められる条件では、企業が関連しているScope3の排出量が、Scope 1とScope 2、Scope3を合わせた値が40%を超える際、Scope 3の目標が不可欠です。
天然ガスおよびその他化石燃料の配送や販売に関わるすべての企業は、販売している製品由来のScope 3目標に関して、Scope1・Scope2・Scope3を合わせた排出割合の大小に関係なく、設定する必要があります。
繰り返しになりますが、Scope1・2における重要度閾値では、企業は目標と排出量算定の範囲について、Scope 1と Scope 2を合算した値に対し上限5%までの除外が可能です。
SBTの目標年と基準年
目標年と基準年では、目標は審査のためにSBTiに提出した日付から最短5年〜最長で10 年までを対象としなければなりません。
基準年に関しては、2015年以降を選ぶ必要があります。
SBTの目標設定
目標設定する上では、Scope1・2・3で求められる基準、内容について理解しておくことが大切です。
Scope1・2・3について詳しく解説します。
Scope1,2
Scope1とScope2における温室効果ガス削減目標の水準として、産業革命前と比較し、最低でもScope1とScope2における目標は、世界における気温の上昇を1.5℃未満にする上で必要となる脱炭素化水準と整合している必要があります。
総量目標では、総量の削減に関して、最低でも1.5℃未満に抑える目標に基づいて承認された温室効果ガス排出シナリオ範囲と、少なくとも同じレベルの水準でなければなりません。
原単位目標では、Scope1・Scope2における温室効果ガス排出量目標に関して、企業における事業活動で適用できると承認を受けたセクター別で、1.5℃軌道を使用しモデル化できた際のみ有効となります。
再エネ電力では、1.5℃まで抑えるためのシナリオと整合した比率により、再エネ電力を積極的に調達する目標であり、Scope2における温室効果ガスの排出量削減目標の代替で受理が可能です。
SBTiでは、再エネ電力に関して、RE100における推奨と整合し、2025年までには再エネ調達比率を80%に、2030年までには比率100%を閾値で定めています。
この閾値以上に現時点で既に再エネ電力を使用している企業が認定を取得するには、水準を維持するか、もしくは向上させる必要があります。
Scope3
短期目標のScope3における排出量カバー範囲では、企業は温室効果ガスのプロトコル企業Scope3の算定報告基準に基づき、各Scope3カテゴリの最も小さな範囲を対象に、合わせて3分の2(67%)を超える量をカバーする排出量の削減目標を1つ以上設定し、サプライヤーまたは顧客エンゲージメント目標を定める必要があります。
Scope 3の温室効果ガス排出量削減目標における水準では、最低でもバリューチェーン全体もしくは個別Scope3のカテゴリ群が対象である短期目標として気温上昇を、産業革命前と比較し2℃未満に抑える上で必要となる、脱炭素化水準に基づいた手法に沿って設定することが必要です。
サプライヤーもしくは顧客エンゲージメント目標では、企業におけるサプライヤーもしくは顧客が、科学的に基づいた排出量削減における目標を定めることを促す短期目標に関し、以下条件がSBTi要件に入ります。
- 範囲
企業は、上流もしくは下流関連で確実性があるカテゴリに関して、エンゲージメント目標が定められます。
- 記述
企業は目標を記述する際に、エンゲージメント目標とする対象が関連の上流もしくは下流におけるカテゴリから排出される量において、何%の割合でカバーされているのか、もしくは情報がない際には、年間で調達する金額において何%を占めているか必ず記載する必要があります。 - 時間軸
企業におけるエンゲージメント目標は、正式審査のためにSBTiに企業が提出した日、長くても5 年以内に達成しなければなりません。 - 目標水準
企業におけるサプライヤーまたは顧客は、SBTiが提供する資料に従い、科学的根拠に基づいた排出量の削減目標でなければなりません。
SBT短期目標に関する注意点
SBTの短期目標に関する注意点は、以下3つです。
注意点①:バイオエネルギーを含む
1つ目の注意点は、バイオエネルギーを含むことです。
バイオエネルギーの算定では、燃焼や加工、流通段階における二酸化炭素の排出量だけでなく、バイオエネルギーの原料に関わる土地を利用することで発生する排出量や除去に関して、企業の温室効果ガスインベントリと区別し報告しなければなりません。
また、燃焼や加工、流通段階における二酸化炭素の排出量、原料に関わる土地を利用することで発生する排出量や除去に関しては、SBTを定める際の目標範囲、進捗に関しても報告する必要があります。
土地に関連する排出量を算定する際には、土地を利用することで変化する直接的な二酸化炭素排出量だけでなく、土地利用管理において排出されるN2O・CH4も含んだ非LUC排出も考慮しなければならないため、理解しておきましょう。
間接的に土地利用変化における排出量を含めるかは、任意判断となっています。
注意点②:クレジットの使用は不可能
2つ目の注意点は、クレジットの使用は不可能なことです。
炭素クレジットを使うことに関しては、企業が定める短期目標達成のための削減量には含めません。
残留排出量の中和目的、もしくはSBT目標以上で気候変動を緩和するために追加で資金調達する場合に限り含めることが可能です。
注意点③:削減貢献量は含めない
3つ目の注意点は、削減貢献量は含めないことです。
削減貢献量に関しては、企業インベントリと異なる算定システム下にあるため、SBT目標では含まれないため注意が必要です。
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まとめ
SBTとは、Science Based Targetsの頭文字を取った言葉であり、科学的な根拠に基づいた目標を意味します。
パリ協定により、世界における産業革命以前の地球の気温と比べ、温度上昇を2℃未満に抑え、1.5℃未満に抑えるという目標と整合した、温室効果ガスの排出量削減目標です。
SBTの短期目標とは、5〜10年先を目標に掲げた1.5℃水準の温室効果ガス排出量の削減目標のことです。
短期目標の範囲には、組織や排出量算定などで対象範囲が定められています。
そのため、企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方は、短期目標のバウンダリ、SBTの短期目標に関する注意点について把握しておくことが大切です。
#SBT#短期目標
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⇒SBT短期目標の事例を解説
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参考文献
[1]SBTi「企業ネットゼロ基準」
[2]環境省「【補足】2021年以降を基準年とする場合の目標値の考え方
[3]環境省「SBTの認定基準」
[4]SBT「基準ガイド」
[5]SBT「SBTi Criteria and Recommendations」
[6]SBT「Net-Zero Standard Criteria」
[7]SBT「SBTi目標の検証手順」
[8]SBT「目標設定ツール」
[9]SBT「ネットゼロツール」
[10]SBT「ガイダンス・要件」
[11]SBT「短期目標設定資料」
[12]SBT「SBTi CORPORATE NEAR-TERM CRITERIA」
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