Last Updated on 2024年11月20日 by HaidarAli
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2024年3月29日に、SSBJはサステナビリティ開示基準の公開草案を公表しました。
・サステナビリティ開示ユニバーサル基準公開草案「サステナビリティ開示基準の適用(案)」
・サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第1号「一般開示基準(案)」
・サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第2号「気候関連開示基準(案)」
SSBJ公式の草案はこちらからご覧いただけます。
SSBJ サステナビリティ開示基準草案
SSBJは日本国内でのサステナビリティ報告を統一する組織で、今後TCFDに代わり、企業がサステナビリティ開示をする上での基準となります。
本記事ではSSBJの基本概要を、設立目的から適用時期まで解説します。
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⇒サステナビリティの新基準、ISSBについて包括的に理解する
SSBJ基準草案についてさらに詳しく知りたい方はこちら
⇒コラムSSBJ基準草案の全体像を詳しく解説
SSBJ(サステナビリティ基準委員会)とは
SSBJ(サステナビリティ基準委員会)とは、日本の組織で、企業のサステナビリティに関する情報開示の基準を策定する組織です。日本国内でのサステナビリティ報告の統一化と透明性の向上を目指しています。
ISSB(国際サステナビリティ基準委員会)とは
ISSB(国際サステナビリティ基準委員会)とは、国際的な組織で、グローバルなサステナビリティ報告基準を設定し、日本のSSBJを含む各国の基準審議会を統括し指導する役割を担っています。
つまり、日本のSSBJは国内のサステナビリティ基準を策定する組織であり、ISSBはその上位の国際組織として各国の基準審議会を統括していると言えます。
SSBJを理解する上で、ISSBの仕組みについて理解しておくことが重要です。続いてISSBについて解説していきます。
出典)金融庁「サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の概要」
ISSBの設立目的
これまで企業の非財務情報の開示を巡り、TCFDやGRIなど様々な団体が各々で策定した基準が乱立しており、企業や投資家などの間で混乱が生じていました。
こうした状況を踏まえ、サステナビリティ開示の基準を統一する目的で、2021年にISSBが設立されました。その後気候変動に関するグローバル基準が承認され、2023年時点で最も有力なサステナビリティに関する開示基準となりました。
ISSBはIFRS(国際財務報告基準財団)の傘下にあり、企業が持続可能性に関する情報を透明かつ一貫性のある形で開示することを目指しています。
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グローバル基準としてのISSBと統合の動き
ISSB基準への統一により、企業は国際基準となる開示枠組みのもと、財務諸表と共にサステナビリティ情報の提供が可能となりました。投資家や運用機関は企業の比較や検証が可能となり、投融資の有効な判断材料として使用することができるようになりました。
TCFDからISSBへの引き継ぎ
ISSBは、IFRS財団の一部として、サステナビリティ情報の標準化を進めるために設立されているため、密接に連携しています。
IFRSは、下記の2種類の基準により成り立っています。
(1) IFRS S1 サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的な要求事項
(2) IFRS S2 気候関連開示
本公開草案では、日本におけるIFRS S1に相当する基準を、①「適用基準」として基本的な事項を定める部分と、②「一般基準」として「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標および目標」の4つからなるコア・コンテンツを定める部分に分けて提案しています。
IFRS S1にて全般的な要求事項、IFRS S2にてテーマ別要求事項について提示されています。なおIFRS S2については、本案とは別に「産業別開示要求」として11セクター68産業向けに要求事項も定義されています。
2024年以降、TCFDの枠組みはISSBに引き継がれます。
TCFD項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標)はISSBのS2項目で引き継がれるため、今後はTCFDに代わり、S2の気候関連開示項目が主要な指針となります。企業が気候関連の情報を開示する際には、まずS2への対応が求められます。
前述のとおり、TCFDの枠組みは現在でも有効です。未対応の企業は、まずTCFDに準拠した情報開示を準備することが重要です。すでに対応している企業は、現在の開示内容をもとに、IFRS S1やS2への対応を進めることが求められます。これには、機関投資家などのステークホルダーからの要請や、自社の経営戦略に沿った情報開示を進めることも含まれます。
出典)ISSB「ISSB issues global inaugural IFRS Sustainability Disclosure Standards, updates SASB Standards」をもとに弊社作成
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⇒コラムSSBJ基準草案の全体像を詳しく解説
SSBJ サステナビリティ開示基準の公開草案を公表
2024年3月29日に、SSBJはサステナビリティ開示基準の公開草案を公表しました。
- サステナビリティ開示ユニバーサル基準公開草案「サステナビリティ開示基準の適用(案)」
- サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第1号「一般開示基準(案)」
- サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第2号「気候関連開示基準(案)」
2024年7月31日まで意見募集を行い、2025年3月末日までに草案を確定させる予定です。
草案では、TCFD(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標)がS2で引き継がれており、その構成は同じでしたが、TCFDと比べより詳細な情報開示を求める傾向がありました。
SSBJ サステナビリティ開示基準における基本的な方針
この公開草案は、国際的な比較可能性を大きく損なわないように、基本的には国際基準を取り入れる方針ですが、すべてを採用するわけではなく、以下の場合などにおいては国際基準をそのまま適用しないことがあります。
①国際基準に基づく情報が有用でないと判断される場合
②国際基準に基づく開示が一定の有用性を持っているが、企業に過度の負担をかけることが明らかであると判断される場合
③他の関連制度との関係を考慮し、国際基準をそのまま適用することが適切でないと判断される場合
SSBJ サステナビリティ開示の対象企業と適用時期
金融庁は、今後サステナビリティ開示基準をプライム上場企業に適用する方針を示しており、公開草案についてこれらの企業を対象に意見を求めています。
7月31日までの意見募集を経て、2025年3月末までに確定した基準が公開される見込みです。
また金融庁は金融審議会内に「サステナビリティ情報の信頼性確保と保証に関するワーキング・グループ」を新設し、対象企業と適用時期について議論しています。
ここでは以下のような提案が示されています。
一般基準案は、公表日以後終了する年次報告期間に係るサステナビリティ関連財務開示から適用することができ、この場合、適用基準及び気候基準を同時に適用しなければならないとされています。
また記載場所としては、有価証券報告書に記載することが一般的であると想定されます。
・法令が有報での開示を禁止しているまたは、他のタイミングや記載場所を容認している場合は有報と異なるタイミングでの開示が認められる
・テーマ別基準で定めがない場合には関連する財務諸表と同じ報告期間を対象とする
SSBJ 経過措置
一般基準案の適用初年度の年次報告期間には、比較情報を開示しないことも可能であるとされています。さらに適用基準の経過措置を用いて、初年度に気候基準に従って気候関連のリスクおよび機会の情報のみを開示する場合、2年目の年次報告期間には、気候関連のリスクおよび機会以外のサステナビリティ関連のリスクおよび機会に関する比較情報を開示しないことも可能です。
まとめ
TCFDの移行や新たな国際開示基準の発表、日本の対応(SSBJの設立や新しい開示基準の検討)など、気候変動対策の動きは常に変化しています。これらの変化に伴い、企業が気候変動対策を進める上で求められる対応も変化しています。
2025年3月に公開予定なので、今後もアップデートされる情報を注視していくことが大切です。リクロマでは今後情報が更新され次第、紹介していく予定です。
#SSBJ
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参考
[1] 金融庁「サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の概要」
[2] IFRS「2023 – Issued Standards」
[3] SBBJ「サステナビリティ基準委員会がサステナビリティ開示基準の公開草案を公表」
[4] SBBJ 「サステナビリティ開示テーマ別基準公開草案第 1 号 一般開示基準(案)」
[5] 金融庁「第2回 金融審議会 サステナビリティ情報の開示と 保証のあり方に関するワーキング・グループ
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