Last Updated on 2024幎11月20日 by HaidarAli

2023幎11月末から、COP28が開催されたす。COPでは、䞖界党䜓での気候倉動察策が議論されたすが、そもそもCOPずはどのようなものでしょうか。今回は、歎史・法的枠組み・COP28の動向など、COPの党䜓像を玹介しおいきたす。

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COPずは

COPの抂芁

COPずは、囜連気候倉動枠組条玄UNFCCCを締玄した198の囜・機関が幎に䞀床集たり、気候倉動察策に関するあらゆる議論を行う䌚議です。COPは “Conference of the Parties” の略称であり、盎蚳するず「締玄囜䌚議」ずいう意味にしかなりたせん。そのため、他の枠組条玄に基づく締玄囜䌚議もCOPず呌ばれたすが、UNFCCCに基づくCOPが最も有名なため、COPず蚀う堎合には、ほずんどのケヌスではUNFCCCに基づくCOPを意味しおいたす。[1]


COPは、毎幎10月12月ごろに1週間2週間皋床の期間で、毎幎違う囜で開催されたす。期間䞭は、各囜の閣僚、官僚、䌁業、NGOなどが集たり、公匏の議論だけでなく、䌚堎内で様々なむベントやデモンストレヌションが行われたす。

たた、パリ協定が採択されたのは2015幎のCOP21、2023幎に開催されるのはCOP28など、COPの埌に付いおいる数字は、開催回数を瀺しおいたす。

COPの䌚堎

COPは毎幎違った囜で開催されたす。開催囜は、経枈先進囜ず経枈途䞊囜のバランスを考慮しお決められおいるため、ペヌロッパや北米以倖の様々な囜でも開催されおいたす。

なお、COPでは閣僚・官僚・䌁業・NGOなど、倚様なステヌクホルダヌが参加するため、䌚堎は様々な掻動に察応したものずなっおいたす。研究者やメディアなどが様々な角床から関心を持っおCOPの䌚堎を蚪れるこずも、COPの特城ず蚀えたす。

たた、COP27ではCOPに参加した孊生がドキュメンタリヌを䜜成するなど、若い䞖代が倚数参加するこずが、毎幎のCOPの時期に話題になりたす。[2]

そしお、倚様な関心に応えるため、COPの䌚堎には、䌚議以倖の機胜を持ったスペヌスが蚭けられおいたす。䟋えば、公匏の議論を行うための䌚議堎である「プレナリヌホヌル」、政府・䌁業などが自らの気候倉動察策や関連する技術開発を玹介する「パビリオン」、NGO等がアクションを行う「サむドむベント」が䞻芁なスペヌスずなっおいたす。[3]

パビリオンが行われる堎所は、各囜政府ごずに管理したす。そのため、䌁業がパビリオンに出展するためには、COPの半幎ほど前から行われる環境省の遞定プロセスを経る必芁がありたす。[4]

COPの歎史

COPは、1992幎採択、1994幎発効の「囜連気候倉動枠組条玄UNFCCC」に基づいお開催されおいたす。[5]

第1回のCOPは1995幎に開催され、2023幎開催のCOPは第28回ずなりたす。2020幎に開催される予定だったCOP26は、コロナりむルスのパンデミックによっお2021幎に延期されたした。
COPでは、京郜議定曞やパリ協定、グラスゎヌ合意など、気候倉動における最重芁の条玄が締結されおきたした。これら以倖にも、様々な合意が䜜られるこずで、䞖界党䜓での気候倉動察策に向けた連垯関係が埐々に圢成されおきたした。

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COPで締結された重芁な条玄

パリ協定

パリ協定は、2015幎のCOP21にお、それたで䞖界党䜓での気候倉動察策の方針を定めおいた京郜議定曞に代わる、2020幎以降の枠組みずしお締結されたした。[5]

パリ協定の䞭で最も重芁な合意ずしお、「䞖界党䜓の平均気枩の䞊昇を工業化以前よりも2℃高い氎準を十分に䞋回るものに抑えるこず䞊びに䞖界党䜓の平均気枩の䞊昇を工業化よりも1.5℃高い氎準たでのものに制限するための努力を、この努力が気候倉動のリスク及び圱響を著しく枛少させるこずずなるものであるこずを認識し぀぀ 、継続するこず。」著者により枩床の衚蚘方法を倉曎の䞊、マヌカヌを远加。がありたす。[6]


ここで定められおいる2℃目暙ず1.5℃目暙が、珟圚の気候倉動察策における重芁な指針ずなっおいるこずは、倚くの人が知るずころずなっおいたす。パリ協定は、目暙を定めるこずで各囜に察しお、より匷力な気候倉動察策を求めただけでなく、䞀般瀟䌚に察しお、気候倉動察策を加速させる匷いシグナルを発したした。その結果ずしお、気候蚎蚟の急増や金融界からの䌁業に察する情報開瀺の芁求など、瀟䌚のあらゆるセクタヌが䞀気に気候倉動察策の色合いを匷めるこずになりたした。[7][8]

グラスゎヌ合意

2021幎のCOP26にお、パリ協定の目暙をさらに明確にする「グラスゎヌ合意」が締結されたした。パリ協定では、1.5℃目暙は努力目暙ずしお定められおいたしたが、気候倉動による被害がそれたでの予枬よりも甚倧か぀確実であるこずが分かっおきたこず、囜際瀟䌚が1.5℃目暙の実珟に向けお動き出しおいたこずなどを螏たえ、グラスゎヌ合意は、1.5℃目暙を実質的な最終目暙ず確認する内容になりたした。[9]

たた、2050幎たでに枩宀効果ガス排出を実質れロにするだけでなく、2030幎たでに急速な枩宀効果ガスの排出削枛が求められるこずから、2030幎たでの野心的な枩宀効果ガス削枛目暙を締玄囜に求める内容も含たれたす。

倖務省資料、環境省資料より匊瀟䜜成

COPでの議論

議論の圢匏ず「囜が決定する貢献」

COPで扱われるテヌマは、䞖界党䜓での気候倉動の緩和策・適応策を掚進するために必芁なあらゆる事柄が扱われたすが、毎回のCOPにお、事前に議題が決められおいたす。

UNFCCC事務局やCOP議長が䜜成した暫定アゞェンダを、COP開䌚匏にお採択するずいう圢匏になりたす。たた、COPでの意思決定は、2/3以䞊の締玄囜の参加、参加囜の党䌚䞀臎ずいう厳しいルヌルで行われたす。[10]

そしお、COPでの議論の䞻な目的は、様々な芁玠経枈成長、゚ネルギヌ安党保障などずの関係を考えながらも、各囜の枩宀効果ガス削枛目暙を最倧限匕き䞊げるこずで、䞖界党䜓での気候倉動を最小限に抑えるこずにありたす。

パリ協定により、締玄囜は枩宀効果ガスの排出削枛目暙を5幎ごずに提出するこずになっおいたす。そしお、この目暙はNDCNatinonally Determined Contribution囜が決定する貢献ず呌ばれたす。今埌は、日本政府を含めた各囜政府が2025幎、2030幎、2035幎ずNDCを提出しおいくこずになりたす[11]。COPを䞻芁な議論の堎ずし぀぀も、各囜がNDCを提出する時期には、囜家間の亀枉が特に頻繁に行われたす。

COP27での議論

前回のCOP27では、「損倱ず損害」が最倧のテヌマずなりたした。ここで蚀う「損倱ず損害」ずは、経枈先進囜が倧量の枩宀効果ガスを排出する䞀方、気候倉動の被害は䞻に経枈途䞊囜に集䞭するため、先進囜はどのように被害ぞの責任を取るべきか、぀たり、先進囜から途䞊囜に察しおどのような支揎が必芁か、ずいう議論を指したす。「損害ず損倱」はパリ協定8条に定められおいたすが、具䜓的な内容が定められおいないため、支揎の方法、芏暡、時期などが重芁な争点ずなりたした。[12]

最終的には、経枈途䞊囜の䞭でも特に脆匱な囜々を察象ずした資金提䟛メカニズムを、2023幎のCOP28たでに立ち䞊げるこずが合意されたした。

COPぞの批刀

COPは、倚様なステヌクホルダヌが気候倉動察策を議論する堎であるため、グリヌンな印象を持぀人が倚いでしょう。それは、政府や䌁業の気候倉動察策を批刀的に捉え、改善を求めるNGOや垂民セクタヌであっおも同じです。

しかし、逆にCOPのあり方それ自䜓を「グリヌンりォッシュ」ずしお批刀する声もありたす。

䟋えば、䞖界党䜓での若者䞖代による気候正矩運動である “Fridays For Future” が䞖界ぞ広たるきっかけずなったグレタ・トゥヌンベリは、COPでは、聞き心地のよいこずを話すだけで、十分な気候倉動察策を行うための議論が行われおいないずしお「グリヌンりォッシュ」ず指摘したした。『人新䞖の資本論』で泚目を集めた霋藀幞平も、COPによる十分な気候倉動察策の実珟は芋蟌めないずしお、COP参加のボむコットを呌びかけたした。[13][14]

こういった䞻匵は、䞖界党䜓での産業革呜埌の気枩䞊昇を1.5℃以䞋に抑えるべきずする1.5℃目暙に察し、実際に各囜が掲げる目暙では、玄1.8℃の気枩䞊昇が芋蟌たれるこず、さらに、各囜が珟圚実斜しおいる政策では、玄2.7℃の気枩䞊昇が芋蟌たれるこずなど、蚀葉ず行動が乖離しおいる珟圚の䞖界党䜓での気候倉動察策の状況に基づいおいたす。[15]

さらに、各回のCOPでは、䌁業がスポンサヌずなるこずで運営費の䞀郚を賄っおいたすが、そのスポンサヌ䌁業が問題芖されるこずもありたす。枩宀効果ガス排出、プラスチック汚染などの問題の倧きな原因であるもかかわらず、十分に察策をしおこなかったこずを埓前から批刀されおきた䌁業がスポンサヌずなるこずが、䌁業のむメヌゞ向䞊ずいう広報戊略になるこずから、「グリヌンりォッシュ」ず批刀されおきたした。[16]

COPに䜕かしらの圢で関わる䌁業にずっおは、その関わり方に぀いおも泚意が必芁でしょう。

COP28の泚目ポむント

COP28は、2023幎11月30日から12月12日たで、アラブ銖長囜連邊UAEで開催されたす。[17]
そしお、COP28で最倧のテヌマになるずされおいるのが、グロヌバル・ストックテむクGSTです。GSTは、各囜が提出したNDCや実際の政策実斜を総合的に評䟡するプロセスを指したす。

各囜がNDCを提出したのち、それに基づく政策実斜に぀いおの報告を行いたす。これを、匷化された透明性枠組みETFず呌びたす。その埌、それらを各囜がずもに評䟡するGSTにお、次のNDC提出に向けた議論が行われたす。GSTはパリ協定14条に芏定され、2023幎を第䞀回ずしお、5幎ごずに行われるこずになっおいたす。[18]

[18]などより、匊瀟䜜成

出兞: Will Steffen et al. “Guiding human development on a changing planet”[8]

第䞀回目のGSTが行われるCOP28では、1.5℃目暙に察しお十分なNDCず政策実斜が実珟されおいない䞭で、どのような成果文章が䜜成されるか、が決定的に重芁です。第䞀回のGSTでは、盎接的には2025幎のNDC提出が焊点ずなるものの、気候倉動察策では、各セクタヌの急速な構造的倉化が求められる以䞊、珟圚の議論が2030幎、2050幎に向けた察策を間接的に圢䜜るこずになるのです。

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参考文献

[1]United Nation “Conference of the Parties(COP).” 最終閲芧2023幎11月4日
<https://unfccc.int/process/bodies/supreme-bodies/conference-of-the-parties-cop>
[2]record1.5 ホヌムペヌゞ最終閲芧2023幎11月4日
<https://record1-5.com/>
[3]囜立環境研究所「COP22䌚堎っおどんなずころ」最終閲芧2023幎11月4日
<https://www.nies.go.jp/event/cop/cop22/20161110.html>
[4]環境省「囜連気候倉動枠組条玄第28回締玄囜䌚議 (COP28) ゞャパン・パビリオンの実地展瀺採択結果ずバヌチャル展瀺募集」最終閲芧2023幎11月4日
<https://www.env.go.jp/press/press_02106.html>
[5]資源゚ネルギヌ庁「あらためお振り返る、「COP26」前線「COP」っおそもそもどんな䌚議」最終閲芧2023幎11月4日
<https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/cop26_01.html>
[6]倖務省2016「パリ協定 和文」
<https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page24_000810.html>
[7]Joana Setzer and Catherine Higham, “Global trends in climate change litigation: 2021 snapshot”, 2021.
<https://www.lse.ac.uk/granthaminstitute/wp-content/uploads/2021/07/Global-trends-in-climate-change-litigation_2021-snapshot.pdf>
[8]TCFDコン゜ヌシアム ホヌムペヌゞ最終閲芧2023幎11月4日
<https://tcfd-consortium.jp/>
[9]WWFゞャパン「COP26閉幕「グラスゎヌ気候合意」採択ずパリ協定のルヌルブックが完成」最終閲芧2023幎11月4日
<https://www.wwf.or.jp/activities/activity/4747.html>
[10]地球環境戊略研究機関「研究員が解説―COP26 基瀎知識」最終閲芧2023幎11月4日
<https://www.iges.or.jp/jp/projects/cop26-basic-knowledge>
[11]倖務省「日本の排出削枛目暙」最終閲芧2023幎11月4日
<https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000121.html>
[12]United Nations “COP27”最終閲芧2023幎11月4日
<https://unfccc.int/cop27>
[13]「はグリヌンりォッシングに利甚、グレタさんが批刀」『ロむタヌ』2022幎10月31日。最終閲芧2023幎11月4日
<https://jp.reuters.com/article/climate-un-greta-idJPKBN2RQ09E>
[14]「気候倉動察策の囜際亀枉COPはもはや無意味だ」『東掋経枈』2022幎12月28日。最終閲芧2023幎11月4日
<https://toyokeizai.net/articles/-/642437>
[15]Climate Action Tracker “Massive gas expansion risks overtaking positive climate policies”最終閲芧2023幎11月4日
<https://climateactiontracker.org/publications/massive-gas-expansion-risks-overtaking-positive-climate-policies/>
[16]“Coke Is a Sponsor of the Climate Summit in Egypt. Some Activists Aren’t Happy.” The New York Times, 7/11/2022.最終閲芧2023幎11月4日
<https://www.nytimes.com/2022/11/07/climate/coca-cola-sponsor-cop27-climate-egypt.html>
[17]COP28 UAE Website最終閲芧2023幎11月4日
<https://www.cop28.com/>
[18]接久井あきび2022「グロヌバル・ストックテむクGST COP27の結果ず2023幎の展望」<https://www.iges.or.jp/jp/pub/1125-gst-cop27/ja>

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  • 倧孊生。気候倉動に぀いお公平性の芳点から問題意識を持ち、孊生団䜓で掻動。䞭倮省庁ぞのアドボカシヌなどを行う。民䞻的意思決定や気候倉動政策の圚り方ぞ関心を持぀。倧孊では公共政策孊を専攻する。

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