Last Updated on 2024年11月20日 by HaidarAli

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スコープ3カテゴリ5「事業から出る廃棄物」は、企業が排出する廃棄物の処理過程に伴う温室効果ガス(GHG)排出量を対象としています。このカテゴリにおいて、企業は廃棄物の管理だけでなく、その削減策を実施することが求められます。

この記事では、スコープ3カテゴリ5の排出削減に向けた企業の取り組みや、サプライヤーエンゲージメント評価との関連について具体的な方法と事例を紹介します。

<サマリー>

•スコープ3カテゴリ5は、企業が発生させた廃棄物の処理に伴う排出量を対象とする
•自社で処理する場合は対象外で、第三者による廃棄物処理が算定対象となる
•廃棄物処理の過程で生じるGHG排出を削減するため、廃棄物の削減やリサイクルが重要
•廃棄物輸送段階の排出量算定は任意だが、管理が推奨される
•サプライチェーン全体での廃棄物削減が評価の鍵

スコープ3算定式の精緻化を図る、「Scope3の削減方法とは?WP」
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スコープ3カテゴリ5の詳細解説

スコープ3は、Scope2に含まれないすべての間接排出(他社が排出源となるもの)を対象とし、発電や熱生成時の排出を除いた全15カテゴリの活動に細分化されています。

カテゴリ5は「事業から出る廃棄物」に焦点を当ており、企業が事業活動の過程で発生する廃棄物を第三者が処理する際の排出量を算定対象としています。

対象 事業から出る廃棄物

カテゴリ5は、企業の事業活動から発生した廃棄物が第三者によって処理される際に生じる排出量を対象としています。

廃棄物には一般廃棄物と産業廃棄物があり、それぞれの処理方法に応じて排出量が異なります。企業が発生させる廃棄物の多くは産業廃棄物で、特に製造業や建設業では大量の廃棄物が発生します。これらの廃棄物は埋め立てや焼却、リサイクルといった処理方法に分類され、それぞれが温室効果ガス(GHG)の排出に影響を与えます。

企業は、自社で処理するのか、第三者に委託するのかによって、Scope1,2,3のどこに該当するかが変わります。カテゴリ5では、第三者によって処理される場合が該当します。

算定範囲 事業から発生する廃棄物を第三者が処理する際の排出

カテゴリ5の算定範囲は、自社で発生させた廃棄物が第三者によって処理される段階での排出量を対象としています。

処理方法に応じた排出量の差異を正確に算定する必要がありますが、輸送段階での排出量は任意算定となっています。

また、有価物(廃棄物でありながら有償や無償で引き取られるもの)は除外されており、この点はGHGプロトコルに明記されていないものの、環境省ガイドラインに基づいた解釈に準じています。

この算定では、正確なデータ収集が求められ、企業は第三者との連携を通じて排出量を把握する必要があります。

算定方法

廃棄物処理に伴う温室効果ガス排出量の算定には、活動量と排出係数を掛け合わせる手法が現実的とされています。具体的には次のような算定式が使用されます。

排出量 = 活動量(廃棄物の量) × 排出原単位(処理方法に応じた係数)

廃棄物の処理方法(焼却、リサイクル、埋立てなど)に応じて排出係数が異なるため、企業は処理方法ごとに適切なデータを収集し、算定を行います。この方法は、廃棄物の処理に関連する排出量を計算する際に、最も実践的で現実的な手法とされています。

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サプライヤーエンゲージメント評価の概要とスコープ3の関係

次に、サプライヤーエンゲージメント評価の概要とスコープ3の関係について解説します。

サプライヤーエンゲージメント評価とは

サプライヤーエンゲージメント評価は、企業がサプライヤーと協力し、サプライチェーン全体で排出削減をどれだけ実行しているかを評価する制度です。

企業とそのサプライヤーが持続可能な方法で温室効果ガスの削減に取り組むことで、全体の排出量を削減し、気候変動対策を促進します。CDPが提供するこの評価は、企業がどの程度サプライヤーとの連携を進めているかを見える化することを目的としています。

サプライヤーエンゲージメント評価におけるスコープ3排出量算定のウェイト

CDPの評価において、スコープ3排出量の管理と削減は、全体評価の20%を占めています。

スコアリングカテゴリサプライヤーエンゲージメント評価におけるウェイト
ガバナンス20%
目標15%
スコープ3排出量算定20%
サプライヤーとエンゲージメント35%
CDP気候変動質問書全体のスコア10%
(※)CDP2023 サプライヤーエンゲージメント評価 イントロダクションを元に作成

スコープ3カテゴリ5では、企業が事業活動から発生させる廃棄物の処理に伴う温室効果ガス(GHG)排出の削減が中心的な課題です。廃棄物の最終処理手段である埋立て、焼却、リサイクルの方法によって排出量が大きく異なるため、サプライヤーとの協力が欠かせません。

特に、サプライヤーと連携し、廃棄物のリサイクル率を高めたり、処理方法を最適化したりすることが、温室効果ガス排出削減に大きく寄与します。サプライヤーエンゲージメント評価では、こうした取り組みがどの程度実施され、効果を発揮しているかが重視されます。

スコープ3排出削減の企業事例

最後に、スコープ3削減に向けて取り組んでいる企業として、株式会社フジクラを紹介します。

環境省モデル企業事例集を元に作成

株式会社フジクラについて

フジクラは、電線や電子機器などを製造・販売する企業で、サプライチェーン全体における温室効果ガスの削減に積極的に取り組んでいます。

同社は、特にスコープ3に該当する排出削減に焦点を当てています。

取り組み

フジクラは、環境負荷を削減するための多角的なアプローチを展開しており、以下の取り組みを行っています。

・排出量が多い製品の見直し
排出量が多い製品について、持続可能な事業運営の観点から、その存続の可否を検討。高い排出量を持つ製品の削減や代替案を模索し、持続可能性を高めています。

・エコデザインの導入
製品開発の段階でエコデザインを導入し、ライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減。具体的には、材料の効率的な使用や製造プロセスの見直しを行い、製品の資源効率を高めています。

・輸送・配送方法の改善
物流において、低排出車両の採用や効率的なルート設計を行い、配送過程での温室効果ガス排出を削減。これにより、製品の製造から配送まで、サプライチェーン全体での排出削減を実現しています。

これらの取り組みを通じて、フジクラは持続可能な事業運営を推進し、環境負荷の低減に成功しています。企業全体での温室効果ガス排出削減はもちろん、サプライチェーンを通じた責任ある行動が評価されています。

まとめ

スコープ3の排出量算定は、企業にとって非常に複雑で多岐にわたる課題です。特にサプライチェーン全体の排出量を把握し、削減計画を実行に移すには、膨大なデータ収集や計算が必要となります。

リクロマでは、ISSB(TCFD)開示、Scope1,2,3の算定など、幅広いサポートを提供しています。詳細な情報やご相談については、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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参考文献

・環境省 スコープ3排出量の算定技術ガイダンス
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/(J)-calculation_guidance.pdf

・CDP2023 サプライヤーエンゲージメント評価 イントロダクション
https://cdn.cdp.net/cdp-production/comfy/cms/files/files/000/008/101/original/SER_Introduction_JPN_2023.pdf

・環境省 サプライチェーン排出量算定に関する説明会 Scope3~算定編~
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/dms_trends/study_meeting_2020.pdf

・環境省モデル企業事例集
https://www.env.go.jp/content/000118181.pdf

リクロマの支援について

弊社はISSB(TCFD)開示、Scope1,2,3算定・削減、CDP回答、CFP算定、研修事業等を行っています。
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  • フィンランドヘルシンキ大学への留学、100名規模の環境ボランティアサークル運営、国際環境NGOでの経験を経て、ビジネス視点からも環境問題解決に携わりたいという思いからリクロマ株式会社に参画。都立日比谷高校、早稲田大学法学部。

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