Last Updated on 2026年1月9日 by Sayaka Kudo
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CSRDは、EUが企業の環境・社会・ガバナンス(ESG)情報の透明性を高めるために導入した重要な規制です。特に、EU域外の日本企業にも適用されるため、脱炭素経営を推進する担当者はその内容を詳しく把握する必要があります。
本コラムでは、CSRDの基本概要と適用条件、そして日本企業が取るべき具体的な対応策を紹介します。
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CSRDとは
CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)は、欧州連合(EU)が企業のサステナビリティに関する情報開示を強化するための新たな指令です。
この指令は、企業が環境、社会、ガバナンス(ESG)の要素に関する情報を報告することを義務付けており、その範囲と詳細が従来の規制よりも大幅に拡大されています。
CSRDは、企業のサステナビリティに関する情報の透明性を高めることを目的としています。これにより、投資家やステークホルダーは企業のESGパフォーマンスをより正確に評価できるようになります。
EU域外企業への適用
CSRDの適用範囲はEU域内企業だけでなく、EU域外の企業にも及びます。これは、EUがグローバルなサステナビリティの基準を引き上げることを目指しているためです。
適用対象と要件
CSRDの適用対象となるのは、EU域内で一定の規模以上の事業を展開する企業です。これには、域内子会社の規模や売上高などの基準が設けられており、これらを満たす企業はサステナビリティ報告義務を負います。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 売上高要件 | EU域外で設立した親会社の過去2期連続でEU域内売上高が1億5,000万ユーロ超 |
| 条件a | EU子会社が大規模企業または上場企業に該当 |
| 条件b | EU支店のEU域内売上高が4,000万ユーロ超 |
| 適用判定 | 上記売上高要件を満たし、かつ条件aまたは条件bを満たす |
2028年から日本企業が対応する必要性
現在、CDPに対応している先進的な企業でさえ、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)に対しては従来の開示体制では不十分です。
CSRDは、自社グループのマテリアリティに基づき、該当するESRS(欧州サステナビリティ報告基準)を理解し、適切な開示の準備をすることを要求しています。これまで環境(E)のみに対応していた企業も、ESG全体にわたる広範な開示項目に対応するための体制を整える必要があります。特に、2024年には欧州子会社のみが開示対象となりますが、会計年度2028の内容を2029年に連結での開示が求められると見込まれています。これにより、過去分も含めた開示の必要が出てくる可能性が高いです。
さらに、第三者保証の義務化が進み、未対応の場合には罰金や制裁が科せられることが決まっています(具体的な制裁内容は今後決定される予定)。このような規制強化により、より厳密な開示対応が求められています。
CSRDの影響は、欧州内の企業だけでなく、欧州に子会社を持つ日本企業やそのバリューチェーン上に位置する全ての企業に及びます。
そのため、規制に適応するためには、迅速かつ包括的な対応が必要です。
適用時期
完全適用は会計年度で2028年(報告年2029年)から開始されます。この時点で、全ての対象企業はCSRDの報告義務を完全に履行しなければなりません。完全適用時期には、企業は詳細かつ透明性の高いサステナビリティ情報を開示することが求められます。
3つの具体的な対応策
CSRD対応に向けた具体的な対策としては、以下のような点が挙げられます。
データ収集と開示体制の構築
自社グループ全体でのデータ収集・開示体制を整え、早期に運用を開始することが重要です。特に、データ収集の効率化にはコンサルティングサービスの活用や、非財務情報の可視化を行う「サステナビリティERP」の導入が推奨されます。これにより、各部門が一元管理できるシステムを整えることが可能です。
データ収集の効率化と活用
開示対応のためのデータ収集は社外サービスも利用しながら効率的に行い、その後の削減や改善に活かす仕組みを整えることが重要です。これにより、データ収集だけでなく、その後の改善活動に多くのリソースを割けます。
バリューチェーン全体への対応
CSRDが要求するデータ収集範囲は自社のみならずバリューチェーン全体にわたります。したがって、CSRDの対象外企業でも顧客からの開示要請に応えられない場合、取引中止やサプライチェーンからの排除といったリスクが高まります。そのため、顧客のマテリアリティを理解し、CSRD開示要請に従ったデータ収集・開示体制を早急に整えることが求められます。
しかし、CSRD対応やその他のサステナビリティ関連の要求に対しては、担当者がデータ収集に追われる一方で、本来の業務である改革・改善活動の時間が確保できないという課題があります。効率的なデータ収集とその後の改善活動に重点を置くことで、サステナビリティ経営を推進することができます。
まとめ
CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)は、EUが企業のサステナビリティ情報開示を強化するために導入した新たな指令です。この指令は、従来のNFRDを大幅に改訂し、企業の報告義務を強化するものです。EU域内だけでなく、EU域外の企業にも適用されるため、日本企業にとっても重要な規制となります。適切な対応策を講じることで、企業はグローバルなサステナビリティ基準に適応し、持続可能な経営を実現できます。
参考文献
[1]Deloitte Tohmatsu Group(2025)「EU CSRD(企業サステナビリティ報告指令)の概要とオムニバス法案による改訂」
[2]pwc(2025)「CSRD(企業サステナビリティ報告指令)対応支援」
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