Last Updated on 2024年2月29日 by Yuma Yasui
シュッピン様のサステナビリティへのお取り組みをお聞かせください。
弊社は「価値ある新品と中古の商品」をお取引いただくためのマーケットを創造し、社会貢献する企業です。弊社の事業自体がサステナビリティに貢献するものと考え、各種の取り組みを進めております。具体的には攻めのサステナビリティと守りのサステナビリティという2つの側面で取り組みをしております。
攻めのサステナビリティとしては当社のビジネスの強みである「リバリュー」と「テクノロジー」を掛け合わせる事業活動の推進です。「リバリュー」とは、【「モノ」の価値を見極め、買取・販売する】というシュッピン創業以来の考え方です。
物の価値、時計やカメラの価値はグローバルでも変わりません。商品がその価値を永く保ち続け、お客様からお客様の手に渡る仕組みを弊社が「テクノロジー」の力で築き、サステナビリティを実現して行く戦略です。
守りのサステナビリティとしては、サプライチェーンの各所において、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。お客様のもとへ商品が届くまでの物流部分における温室効果ガスを減らすため、物流会社にご協力を仰いだり、商品を発送する際に使用する梱包材を、FSC認証を取得している環境配慮型商品のものに切り替えたりと、私共がすぐにできる部分から、一歩ずつ取り組みを進めています。
なぜ気候変動に対する取り組みを進めようと思われたのか、お聞かせください。
弊社の事業内容は、それほど大量の温室効果ガスを出すものではありません。しかし、重要なサプライチェーンとして物流などが入りますし、その温室効果ガス排出量の削減も含めて循環型社会を考えることこそが「リバリュー」であると考え、各社様と協力しながら取り組みを始めました。合わせて、気候変動に対する取り組みを進めることは、東証プライム上場企業としての責務でもあると考えております。投資家・株主の皆様に対して、企業として果たすべき責任を明確に説明できるよう、必要な取組を行っております。
シュッピン様は温室効果ガス排出量のScope1,2を、2030年までに実質ゼロにするといった目標を立てられていますが、この決定に至った背景をお聞かせください。
株主様との対話の中でご要請を頂いたことがきっかけです。Scop-2までの排出量実質ゼロの実現は、一般的には2050年までの目標とされていますが、これを2030年までにゼロとし、従来から実現目標を前倒しいたしました。尚、同じく環境にも関連する取組である、国連グローバル・コンパクトへの署名・加入も、株主様との対話の中で生まれた取り組みです。
「リバリュー」という循環型社会に通ずる理念を掲げる弊社にとって、これらは必要な取り組みであるという認識が弊社経営に当初からあったことに加え、実動部隊と経営層との間で密にコミュニケーションを日常から取っていたことも、早い意思決定につながったのではないかと思っております。
率直に、温室効果ガス排出量の削減目標前倒しや、国連グローバル・コンパクトへの署名・加入も、やらないという選択肢はなかったと考えております。現在は、これらの達成・実現に必要なロードマップを、まとめているところです。
TCFD、CDPなど、義務化される事項が増えていると思いますが、課題に対してどのように対応されていますか?
弊社では「ESG経営推進室」を設置し、これらの課題に包括的に対応することとしております。取締役がESG推進室長を兼務し、ESGを売上、利益の獲得と同様に重要なことと捉えて対応しております。
弊社も当初は、東証プライム上場企業としての義務履行から始めましたが、いつまでも後追いということではございません。社会の公器という考えからガバナンス体制を整え、株主様との対話や社会からの要請を重視し、取り組みに優先順位をつけております。
それでも当初は、ノウハウもリソースもない中で、義務化された事項を外部事業者様にご協力を頂きつつ対応する状況でした。現在はインハウスで対応するものと、専門的な知見を協力業者様にお願いする部分を明確に分け、投資は後者に注ぐ形で進めています。
気候変動への高い専門性が決め手に
リクロマを選んでいただいた決め手はどの部分でしたか?
リクロマは2年ほど前、温室効果ガス排出量の算出を開始する際、セミナーやインターネット上で情報を探し、4、5社からお話をお聞きしたうちの1社になります。
温室効果ガス排出量の算定は、毎年更新が必要ですが、サブスクリプション契約でない形で、必要なデータを取り込めば何度も使えるという点、ライトに始められるという点が決め手になりました。
昨今、算定システムが増えてきていますが、我々のビジネスモデルはEC小売であり、大規模製造業様などと比較すると、自分たちに必要な機能を絞りやすい面があります。ですから、ご支援頂く範囲が柔軟であったことは、最も大きな決め手だったかと思います。
このことは、気候変動対応をインハウス化していきたいという我々の考え方にも合致しました。できることをインハウス化していくことで、高い専門性が求められる新たな課題に、投資を集中することができるからです。
また、お話をお聞きした各社様共に、私共の過去のCDP質問書回答をご覧の上でお話いただきましたが、弊社が目標を達成できなかった課題は何だったのか、そこに対するソリューションは何かを、明確な根拠と共に、その場でご提案くださったのは、リクロマ様だけでした。そうした複数の場面から、非常に高い専門性を確認できたことが理由です。
代表の加藤様がCDPのご出身であることなど、企業としてCDPに対する専門性の高さを、第三者に説明可能な形で示すことができていたことも要因でした。
今回CDPに関してのご支援をさせていただきましたが、CDPに関して抱えられていた課題をお聞かせください。
CDP質問書は、昨年から東証プライム全1,800社超に回答が要請され、回答データを作成するにあたり、弊社としても、様々な企業様との協業で取り組みをさせて頂きました。その中で、問題の多さや難易度に気づき、解決の優先順位付けなどの、体系的な課題が出てきました。
ご支援内容に対する満足度、ご意見をお聞かせください。
まだCDPスコアが出ていないものの、プロジェクトのアウトプットやプロセスには非常に満足・感謝しております。CDP質問書への回答ができただけでなく、今後に向けた課題もより具体化されました。
プロジェクトのプロセスも大変進めやすく、我々の理解に応じて具体的なアクションアイテムを、リクロマ様主体でお示しいただきました。トレードオフ事項も、採点基準と併せて明確に示していただけたと思っています。
CDPスコアそのものも大切ですが、CDP質問書への回答支援を通して、弊社のどのような所に問題があったのかを、課題として振り返ることができる状態となっております。
この取り組みがCDP質問書回答だけでなく、今後の気候変動取り組みにも、繋がるものになっていると感じております。
[企業紹介]
シュッピン株式会社
https://www.syuppin.co.jp/
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