Last Updated on 2024幎6月21日 by Moe Yamazaki

このコラムでは、セクタヌカップリングず呌ばれる取り組みに぀いお玹介したす。聞き銎染みのない蚀葉かもしれたせんが、䌁業の゚ネルギヌ利甚における、今埌のキヌワヌドになる可胜性がありたす。

削枛貢献量の基本情報から算定方法たで䞀通り理解できる、「削枛貢献量(WBCSD)解説資料」
⇒資料をダりンロヌドする

セクタヌカップリングずは

セクタヌカップリングずは、電力・熱・亀通・産業ずいった耇数の郚門での゚ネルギヌ消費を連携させ、再゚ネの効率的な利甚を目指す取り組みを指したす。セクタヌカップリングでは、郚門セクタヌを統合カップリングさせるこずで、様々なメリットを生み出すこずが志向されたす。

これたでの゚ネルギヌ利甚では、基本的に各郚門で䟛絊が行われ、郚門ごずに安定䟛絊や効率性の向䞊が行われおきたした。しかし、゚ネルギヌ利甚のさらなる効率化、利䟿性の向䞊、気候倉動察策、灜害察策などのため、様々な郚門を統合する動きが生たれおいたす。ドむツやフィンランドなどでは、官民連携での先進的な取り組みが進められおおり、埌述するように、日本囜内でも、セクタヌカップリングの事䟋が芋られるようになっおいたす。

セクタヌカップリングの背景

電力郚門から芋た必芁性

再゚ネには様々な皮類がありたすが、なかでも倪陜光や颚力は倩候によっお発電量が巊右されるため、倉動型再生可胜゚ネルギヌVREVariable Renewable Energyず呌ばれたす。今埌の電力䟛絊においおは、このVREを䞻力電源ずしおいくこずになりたす。たた、゚ネルギヌ党䜓での脱炭玠を進めおいくため、電力郚門に限らず、熱・亀通・産業ずいった分野でも、VREによる電力のシェアを広げおいく必芁がありたす。

しかし、VREの欠点ずしお、時間垯や季節によっお倉化する電力需芁に察応した発電ができないこずがありたす。そのため、再゚ネを導入しながら電力需絊を䞀臎させるためには、「調敎力」の確保が最倧の課題ずなりたす。調敎力ずは、電力需絊それぞれの量を柔軟に倉化させる胜力を指したす。これたでの電力システムにおいおは、䞻に火力発電が調敎力を担うこずで、電力の需絊を䞀臎させおきたした。

しかし、再゚ネを倧量に導入した電力システムでは、火力発電だけでは、十分な調敎力を確保するこずができなくなりたす。たた、CO2を倧量に排出する火力発電は、できる限り利甚を䜎枛させなければなりたせん。よっお、火力発電以倖の調敎力が求められおおり、セクタヌカップリングは、調敎力確保の方法の䞀぀なのです。

電化ずデゞタル化による盞乗効果

電化ずの関係

これたでの亀通郚門や産業郚門では、化石燃料が䞻な゚ネルギヌ源ずしお䜿われおいたしたが、電力を動力源ずする技術が導入されおきおいたす。おおむね、電動化・電力化が進めば、それだけ電力郚門ずの補完性が高たり、セクタヌカップリングが容易になりたす。䟋えば、電気自動車などであれば、電力を充攟電するこずで送配電網における電力需絊を調敎するこずができたす。これは、ガ゜リン車ではできなかったこずです。

デゞタル化ずの関係

セクタヌカップリングでは、これたで他郚門ずしお切り離されおきた郚門を統合しおいくこずになりたす。そのためには、それぞれの郚門における゚ネルギヌの需絊を詳现に把握し、調敎できなければならず、機噚のデゞタル化を䌎わなければ、実珟は困難です。

セクタヌカップリングは、゚ネルギヌの䟛絊偎・需芁偎、家庭・業務などのあらゆる次元での取り組みが行われたすが、どのような取り組みであっおも、现かな゚ネルギヌ調敎のためのデゞタル技術EMSの掻甚が重芁ずなりたす。

削枛貢献量の基本情報から算定方法たで䞀通り理解できる、「削枛貢献量(WBCSD)解説資料」
⇒資料をダりンロヌドする

セクタヌカップリングの皮類

P2X

電力Powerを別の゚ネルギヌに倉換したり、他郚門で利甚する「Power to X」ず呌ばれる方法がありたす。[1]

  • P2HPower to Heat 電力から熱を䜜るこずを指したす。䞻にヒヌトポンプによっお電気を熱に倉換し、蓄熱槜で熱を貯蔵したす。蓄熱槜は蓄電池よりも効率が良いずされ、゚ネルギヌの需絊調敎での圹割が期埅されおいたす。
  • P2GPower to Gas 電気から氎玠やメタンなどの気䜓燃料を䜜るこずを指したす。いただ補造コストが高いずいう課題があるものの、季節をたたぐ期間の貯蔵ができるこず、電力では脱炭玠化が困難な郚門で利甚できるこずなどの匷みがありたす。P2Gず同じ芁領で液䜓燃料を䜜り出すP2LPower to Liquidずいう方法もありたす。

V2X

電気自動車Vehicleが蓄えおいる電力を他郚門で利甚する「Vehicle to X」ず呌ばれる方法もありたす。[1]

  • V2GVehicle to Grid 電力系統送配電網の混雑状況に合わせ、電気自動車が持぀蓄電池から充攟電するこずで、電気自動車が調敎力の圹割を果たしたす。
  • V2H、V2BVehicle to Home, Vehicle to Building 電気自動車は、家やオフィスなどの建物ず連携させるこずでもメリットを発揮したす。远加的に蓄電池を賌入しなくずも、電力が足りない時間垯や䟡栌が高い時間垯には、電気自動車によっお電力を調敎するこずができたす。

セクタヌカップリング 囜の蚈画等ずの関係

地域埪環共生圏ロヌカルSDGs

地域埪環共生圏は、環境省の第5次環境基本蚈画で瀺された政策方針です。地域特有の資源埪環により、自立・分散型の瀟䌚の圢成させる地域を指したす。そのなかで、近隣地域等ず共生し぀぀、新たなバリュヌチェヌンを䜜るこずを理想圢ずしおいたす。

地域埪環共生圏では、人・モノ・資金を地域内で埪環させるこずで、自立・分散型の瀟䌚を䜜るこずを目指しおいたす。そこで、再゚ネの導入拡倧を前提ずする点や郚門間の関係性を重芖する点で、セクタヌカップリングずの芪和性がありたす。[2]

Society 5.0スマヌトシティ

内閣府は、Society 5.0の定矩ずしお、「サむバヌ空間仮想空間ずフィゞカル空間珟実空間を高床に融合させたシステムにより、経枈発展ず瀟䌚的課題の解決を䞡立する、人間䞭心の瀟䌚Society」ずいう壮倧な方向性が瀺しおいたす。そしお、Society 5.0を実践し、ICTなどの技術による諞課題の解決を目指す地域をスマヌトシティず呌びたす。

このような方向性には、デゞタル化を進展させるこずで、゚ネルギヌを含めたあらゆるモノの需絊を最適化させるこずも含たれ、セクタヌカップリングを掚進するこずは、スマヌトシティを実珟するこずにも぀ながりたす。[3]

自治䜓の取り組み

各自治䜓によるセクタヌカップリングなどの事業に察しおは、地域埪環共生圏やSociety 5.0を実珟する取り組みずしお、䞭倮政府から補助金などの支揎が行われるため、自治䜓レベルでの取り組みが掻発に行われおいたす。その際には、セクタヌカップリングが倚様な郚門を結び぀けるずいう特性から、民間事業者や研究機関などず協力した事業を行うこずになりたす。

環境省資料[2]、内閣府資料[4]より匊瀟䜜成

セクタヌカップリングの囜内における事䟋

事䟋①倧成建蚭

倧成建蚭は倧孊等の研究機関ず共同で、EVを甚いたセクタヌカップリングの実蚌実隓を行っおいたす。研究では、EVず電力を盞互補完的にマネゞメントするこずで、゚ネルギヌ党䜓での利甚最適化を目指した、耇数の次元での実蚌実隓が行われおいたす。

倧成建蚭は、脱炭玠ぞの貢献や゚ネルギヌ利甚の利䟿性・効率性の向䞊ずいった目的を掲げおおり、内閣府の「戊略的むノベヌション創造プログラム」の掚進察象ずしお採択されおいたす。[4]

事䟋②CHIBAむ぀ざわ゚ナゞヌ

CHIBAむ぀ざわ゚ナゞヌは、道の駅・枩济斜蚭・町営賃貞䜏宅33戞を地䞭化された自営線で結び、コゞェネ地元産倩然ガス、倪陜光 、倪陜熱を利甚した電力・熱の䟛絊を実珟しおいたす。

環境省の地域埪環共生圏事䟋集に取り䞊げられるなど、先進的な取り組みずしお泚目を集めたした。[5]

囜土亀通省資料より

セクタヌカップリングの䌁業におけるメリット

匊瀟䜜成

①゚ネルギヌコスト削枛

コゞェネなどの既に確立されたセクタヌカップリングの手法を取り入れるこずにより、電力・熱ずいった゚ネルギヌ利甚を効率化するこずができたす。それにより、事業コストの削枛ずいう盎接的なメリットが生たれたす。

②GHG排出の削枛

省゚ネにより、GHG排出の䞻たる原因である゚ネルギヌ消費を枛らすこずができたす。たた、効率的な゚ネルギヌ利甚を促進するこずで、゚ネルギヌシステム党䜓での再゚ネ拡倧ぞ寄䞎するこずができたす。

③灜害リスク等ぞの察応

今埌数十幎は、気候倉動の激化、倧芏暡な地震灜害の発生が科孊的に予想されおおり、灜害リスクぞの察応は喫緊の課題ずなっおいたす。セクタヌカップリングは、少ない゚ネルギヌで様々なサヌビスを提䟛できるこずから、灜害時にも圹立぀ずされおいたす。゚ネルギヌ䟛絊が滞ったずしおも、自ら゚ネルギヌの生産・貯蔵をする胜力を持っおいれば、蚭備を皌働させるこずができるのです。たた、耇数の゚ネルギヌ源を利甚するこずができれば、䞀぀の゚ネルギヌ䟛絊経路が止たったずしおも、他の゚ネルギヌ䟛絊によっお蚭備を皌働させるこずができたす。

こういった察凊胜力≒レゞリ゚ンスの高さにより、豪雚・豪雪や熱波が深刻化したずしおも、利甚者の安党や事業掻動の安定性を確保するこずができたす。

④付加䟡倀

セクタヌカップリングによる事業展開を行うこずは、䌁業のESG経営ずしおのアピヌルになりたす。゚ネルギヌの脱炭玠化の手段ずしお泚目されおいるセクタヌカップリングを取り入れるこずは、本質的な気候倉動察策ずしおの評䟡を埗やすいでしょう。

なお、セクタヌカップリングを取り入れた商品を販売する事業であれば、商品に省゚ネやESGずいった付加䟡倀を付けるこずができたす。

䞍動産業界では、セクタヌカップリングの取り組み事䟋が倚く、再゚ネ蚭眮や省゚ネだけでなく、セクタヌカップリングによる付加䟡倀の獲埗を目指しおいる倧芏暡事業者も倚く存圚したす。

 スコヌプ3算定匏の粟緻化を図る

Scope3の抂芁ず削枛方法、削枛奜事䟋、及び過去の支揎を通じお頻繁に
頂いおいた質問のQ&A
を取りたずめ、資料を制䜜いたしたした。

参考文献

[1]戊略的むノベヌション創造プログラム2023「地域゚ネルギヌ システムデザむンの ガむドラむン」<https://energy-sustainability.jp/media/files/JED-guidelines.pdf>
[2]環境省2018「第5次環境基本蚈画」
<https://www.env.go.jp/content/900511404.pdf>
[3]内閣府2016「第5期科孊技術基本蚈画」
<https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/5honbun.pdf>
[4]内閣府「スマヌトシティガむドブック」最終閲芧2024幎3月17日<https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/sc-guid-book-0-125-2.html>
[5]倧成建蚭「内閣府「戊略的むノベヌション創造プログラムSIP」に採択」最終閲芧2024幎3月17日
<https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240123_9883.html>
[6]囜土亀通省「む぀ざわスマヌトりェルネスタりン 拠点圢成事業」<https://www.env.go.jp/content/900444226.pdf>

メヌルマガゞン登録

担圓者様が抌さえるべき最新動向が分かるニュヌス蚘事や、
深く理解しおおきたいトピックを解説するコラム蚘事を定期的にお届けしたす。

セミナヌ参加登録・お圹立ち資料ダりンロヌド

  • TCFD察応を始める前に、最終アりトプットを想定
  • 投資家目線でより効果的な開瀺方法を理解
  • 自瀟業界でどの䌁業を参考にするべきか知る

リクロマ株匏䌚瀟

圓瀟は「気候倉動時代に求められる情報を提䟛するこずで瀟䌚に貢献する」を䌁業理念に掲げおいたす。

カヌボンニュヌトラルやネットれロ、TCFDず蚀った気候倉動に関わる課題を抱える法人に察し、「瀟内勉匷䌚」「コンサルティング」「気候倉動の実働面のオペレヌション支揎/代行」を提䟛しおいたす。

Author

  • 冚氞培平

    倧孊生。気候倉動に぀いお公平性の芳点から問題意識を持ち、孊生団䜓で掻動。䞭倮省庁ぞのアドボカシヌなどを行う。民䞻的意思決定や気候倉動政策の圚り方ぞ関心を持぀。倧孊では公共政策孊を専攻する。

    View all posts