Last Updated on 2024年5月30日 by Yuma Yasui

企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方の中には

「Scope2の定義や企業が間接的に排出する温室効果ガスについて理解したい。」
「企業のサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の計算の重要性について知りたい。」
「Scope2の対象範囲について知りたい。」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
当記事ではこのような悩みを解決していきます。
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

GHG排出量算定の具体的プロセスを知る、「Scope123の算定方法とは?」
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Scope2とは

Scope2は、自社が購入した電気・熱等のエネルギーの使用に伴う間接的な排出のことを指します。

具体的には、自社が購入して使用した電気、熱、冷水、蒸気などが排出源となります。[1]

サプライチェーン排出量全般 | グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省
参考文献:環境省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム

サプライチェーン排出量の仕組み

サプライチェーン排出量とは原料調達・製造・物流・販売・廃棄等、一連の流れ全体から発生する排出量のことを指します。

自社で直接的な発生した温室効果ガス排出に限らず、サプライチェーンに関わる他業者が発生する間接的な温室効果ガス排出量も含まれています。

つまり、Scope1とScope2、Scope3の温室効果ガス排出量を合わせたのがサプライチェーン排出量です。

サプライチェーン排出量の算定は、事業者自身の排出量だけでなく、事業活動に関連するすべての排出量を計測することを通じ、企業の活動全体を把握し、管理することを目的としています。[3]

GHGプロトコルとは

GHGプロトコルとは、企業が温室効果ガスの算定および報告をする際の国際的な基準です。

Scope2はこのGHGプロトコルに基づく分類の一つであり、企業のGHG排出量を包括的に管理するための枠組みの一部です。

2011年10月に世界経済人会議と世界資源研究所により設立されました。

国際的な協調により定められた信頼性の高い基準であり、多様な環境保護活動における基準の役割を持ちます。

Scope2の対象範囲

Scope2の対象範囲は、他社から供給された電気・熱・蒸気を使うことで間接的に排出されるGHGです。

消費電力の生成元である発電事業者は、燃料を燃焼させ温室効果ガスを排出しています。

Scope2では、そういった間接的な温室効果ガス排出量としてこれらを算出します。

Scope1、3との違い

前述したようにScope2は、他社から供給される蒸気や熱、電気を自社で使う際に生じる間接的な温室効果ガス排出量です。

Scope1は、燃料を燃焼させたり、製品を製造したりすることにより企業が直接排出している温室効果ガスの排出量を意味します。

また、Scope3は、製品の原材料を仕入れたり、販売したりした後に発生する温室効果ガス排出量のことです。

Scope1、Scope2、Scope3のこれら3つの枠組みに分けて排出源を特定します。

Scope2の計算方法

Scope2の計算方法について解説します。

事業活動において、自社以外の事業者が供給する蒸気や熱、電気などを使う場合は、Scope2における排出量を計算します。[4]

例えば電気の場合、電力会社の排出係数に電気使用量(kWh)をかけることで求められます。

計算式にすると、以下の通りです。

電力会社の排出係数×電気使用量(kWh)= Scope2における排出量

参考文献:環境省「算定方法・排出係数一覧

GHGプロトコルによるScope2ガイダンス

GHGプロトコルによるScope2ガイダンスでは、以下2つの基準を押さえておく必要があります。

【ロケーション基準】

ロケーション基準とは、Scope2における温室効果ガス排出量を求める際に使われる手法です。
国や地域など特定の区域で電力を発電する排出係数の平均に基づいて排出量を計算します。
ロケーション基準でのScope2排出量は、計算式で求められます。

[計算式]
全国平均排出係数×電力消費量(kWh)=Scope2における排出量

【マーケット基準】

マーケット基準とは、Scope2における温室効果ガス排出量を求める際に使われる手法です。
企業が契約する電力会社の電力メニューや排出係数に基づいて排出量を計算します。
マーケット基準でのScope2排出量は、以下の計算式で求められます。

[計算式]
Σ{調整後の排出係数(t-CO2/kWh)×電力消費量(kWh)}= Scope2における排出量

Scope2の計算に必要なデータ

前述したように、Scope2の計算方法には、ロケーション基準とマーケット基準の2つの方法があります。

それぞれに必要なデータは、以下の通りです。

ロケーション基準

ロケーション基準で必要なデータは、全国平均排出係数と電力使用量データです。
全国平均排出係数は、環境省が年度ごとに平均排出係数を公表しています。

日本国内で排出されているCO₂総排出量を算出する際に使用されるだけでなく、調整後の排出係数を求める際にも使用されています。
電力消費量は、自社の工場やオフィスビルで使用した電気量です。

マーケット基準

マーケット基準で必要なデータは、電力供給会社による排出係数と電力契約情報です。
電力供給会社による排出係数は、こちらの環境省のサイトから確認できます。

参考文献:環境省「算定方法・排出係数一覧

電力契約情報は、契約している電力会社に確認しましょう。

Scope2の削減事例

Scope2の削減事例を2社紹介します。

事例①:味の素株式会社

食や健康、医薬など、多様な分野で世界的に事業展開する味の素では、2020年4月にSBTからGHG排出量削減で定めた目標の認定を受けています。

味の素株式会社では、温室効果ガス排出係数が低い燃料に転換したり、内部カーボンプライシングを活用したりといった取り組みが行われています。[7]

2030年までにScope1・2における温室効果ガス排出量を半分に減らす目標を立て、2021年には27%の削減に成功している企業です。[6]

事例②:花王株式会社

家庭用日用品や工業用化学製品、化粧品などの製造販売を行う花王株式会社では、2040年までにカーボンゼロの達成、2050年までにカーボンネガティブを実現する目標を立てています。[8]

2022年には、花王グループすべての全拠点で使用するエネルギー量を18.1PJ減らすことに成功しています。

再生プラスチックを利用したり、植物由来の天然原料を利用したりすることで温室効果ガスの排出量削減に成功している企業です。

まとめ

Scope2とは、他社から供給される蒸気や熱、電気を自社で使う際に生じる間接的な温室効果ガス排出量です。

原材料を調達する工程から廃棄・リサイクルまでの、企業の事業活動における全体の流れのことをサプライチェーンと呼びます。

また、GHGプロトコルとは、温室効果ガスの排出量の算定および報告に関連した世界共通の基準です。
Scope2を求める場合、Scope2の計算方法には、ロケーション基準とマーケット基準の2つの方法があります。

企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方は、Scope2の計算方法や、実際の企業事例に理解することで、スムーズに目標設定や排出量の算出ができるようになりますので、しっかりと押さえておきましょう。

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参考文献

[1]資源エネルギー庁「知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは
[2]環境省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム
[3]環境省「サプライチェーン排出量全般
[4]環境省「算定方法・排出係数一覧
[5]環境省「算定方法・排出係数一覧
[6]農林水産省「味の素グループのGHG排出量削減目標・削減率
[7]味の素株式会社「サステナビリティの取組み
[8]花王株式会社「脱炭素

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カーボンニュートラルやネットゼロ、TCFDと言った気候変動に関わる課題を抱える法人に対し、「社内勉強会」「コンサルティング」「気候変動の実働面のオペレーション支援/代行」を提供しています。

Author

  • 西家 光一

    2021年9月入社。国際経営学修士。大学在学中より国際人権NGOにて「ビジネスと人権」や「気候変動と人権」領域の活動を経験。卒業後はインフラ系研究財団へ客員研究員として参画し、気候変動適応策に関する研究へ従事する。企業と気候変動問題の関わりに強い関心を寄せ、リクロマ株式会社へ参画。

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