Last Updated on 2026年1月29日 by Sayaka Kudo
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企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
「Scope3が企業のサプライチェーン全体で発生する間接的な温室効果ガス排出をどのように定義しているか、重要性や定義について理解したい。」
「Scope3に含まれる排出の範囲が知りたい。」
「Scope3排出を構成する15のカテゴリについて知りたい。」
本コラムではこのような悩みを解決していきます。
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スコープ1,2,3とは?各スコープの詳細から、温室効果ガス排出量の算定方法まで解説
Scope3とは
Scope3は、企業のバリューチェーン全体にわたるその他の間接的な温室効果ガスの排出量を指します。これには、サプライヤーからの原材料の調達、製品の輸送や流通、使用および廃棄などの幅広い活動が含まれます。Scope3は、15のカテゴリに分かれており、サプライチェーン全体をカバーしています。
Scope3はGHGプロトコルに基づく
GHGプロトコルとは、企業が温室効果ガスの算定および報告をする際の国際的な基準です。
Scope3はこのGHGプロトコルに基づく分類の一つであり、企業のGHG排出量を包括的に管理するための枠組みの一部です。GHGプロトコルで定められている基準に沿って温室効果ガス排出量を報告することにより、企業は国際的に通じる公正な情報を開示することができます。
サプライチェーン排出量とは
サプライチェーン排出量とは、原料調達・製造・物流・販売・廃棄等、一連の流れ全体から発生する排出量のことを指します。サプライチェーン排出量は、前述したScope1,2,3の3つの区分があり、以下計算式より求められます。
Scope1での排出量+Scope2での排出量+Scope3での排出量=サプライチェーン排出量
サプライチェーン排出量の図式

Scope1、2との違い
Scope3は、サプライヤーからの原材料の調達、製品の輸送や流通、使用および廃棄などの幅広い活動が含まれます。
一方、Scope1は、企業が所有または管理する施設や車両から直接発生する温室効果ガスの排出量を指します。これには、燃料の燃焼や製造プロセスからの排出が含まれます。また、Scope2は、企業が購入して使用する電力、熱、蒸気、エネルギーの消費に伴う間接的な温室効果ガスの排出量を指します。これらのエネルギーは外部の発電所や熱供給施設から供給されます。
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Scope3の対象範囲
Scope3は、企業のサプライチェーンで発生するその他すべての間接的排出量を対象としています。事業活動に関わるさまざまなサプライヤーから発生している温室効果ガス排出量を意味するため、事業活動上流での原材料調達から製品輸配送で発生する温室効果ガス排出量、下流での製品に加え、廃棄したりする温室効果ガス排出量なども含まれてきます。
Scope3の15カテゴリ
Scope3における温室効果ガス排出量を求める場合、自社の事業活動に関わっている他社の排出した温室効果ガス排出量を、それぞれのカテゴリーに区別する必要があります。Scope3では、全部で15のカテゴリーが存在しています。
15カテゴリの項目と内容

Scope3の測定・算定方法
できるだけ実測値を使う方が正確な値を求められますが、製品輸送で発生する温室効果ガスの排出量や、事務所の電気を使うことで発生する温室効果ガスの排出量など、事業活動を行う上で発生している温室効果ガス排出量を実測するのは簡単ではありません。また、取引先からデータを集めるのにも手間がかかります。サプライチェーン全体で発生している温室効果ガス排出量を正確に把握するのも、現実的とはいえません。
排出量単位を使う
一方、排出原単位で電力1kWhの使用で発生する温室効果ガス排出量、輸送距離・重量あたりで発生する温室効果ガス排出量などの値を利用すれば、企業は幅広く環境負荷算定が行うことができます。基本的に排出原単位一覧がまとめられているデータベースを使用し求めるものの、データベースには複数の種類が存在し、算定目的によって使うデータベースを選ぶ必要があります。
温室効果ガスの排出量を求める場合、一般的に活動量に排出原単位をかけることで求められます。
・活動量:事業者における活動規模に関連した量(電気を使用した量や貨物における輸送量など)
・排出原単位(排出係数):経済活動量あたりに発生する温室効果ガス排出量
収集するデータ
収集すべき活動量・排出原単位のデータは、各カテゴリごとに異なります。
活動量は、事業者の事業活動の規模に関連する量であり、電気使用量や貨物輸送量、廃棄物処理量などがあります。また、サプライチェーン排出量の算定では、取引先に排出量を提供してもらう方法(一次データを使う方法)と活動量を自社で集め、該当する排出原単位を掛け合わせて算定する方法の2種類があります。
カテゴリ別の活動量のデータ例

出典:環境省「Scope3算定の考え⽅」

次に、活動量あたりに排出されるCO2の量を指す排出原単位は、以下の排出原単位データベースを使用します。
IDEA
日本のLCAを牽引する産業環境管理協会、産業技術総合研究所が共同で開発した、日本における統計情報やLCIデータ、日本を利用し、日本のすべての産業をできるだけ細かく解像しモデル化するのを目的に開発されたデータベースです。
環境負荷原単位データブック(3EID)
日本の『産業連関表』を活用し算出された環境負荷原単位を記録しているデータブックです。それぞれの部門における単位生産活動で発生する環境負荷量を表しており、部門間の産出と投入の構造を基礎にした産業連関分析で求められています。
JLCAデータベース
文献データ・インパクト評価用データ・インベントリ分析用データにより構成されたデータベースです。利用する場合は、LCA日本フォーラムに入会する必要があります。
Scope3の削減事例
1. 株式会社ニチレイ
加工食品や畜産・水産、低温物流などの食を支える事業に取り組むニチレイは、2050年までに、日本国内だけでなく、海外拠点も含めサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量をできるだけゼロに近づけることを目標にしています。また、削減できなかった温室効果ガス排出量に関しては、吸収および除去によりカーボンニュートラルの実現を目指しています。
取り組みとしては、Scope3に関するデータ収集などの取り組み推進や、温室効果ガス排出量を削減するための対応策の検討および推進などです。具体的には、グリーン電力証書を活用したり、自然冷媒へ切り替えたりといったことがあります。
ニチレイグループにおけるScope3での温室効果ガス排出量は、総排出量に対し約90%を占めており、カテゴリ1の区分がScope3で発生している総排出量の約89%です。加工食品や畜産・水産製品で使用する原材料、OEM製品調達などが主な排出源となっています。

2. 日本ハム株式会社
日本ハム株式会社は、ハムやソーセージといった加工品、健康食品、乳製品、水産品、調理加工品、食肉など食と健康に関連する事業に取り組む企業です。
Scope3での温室工ガス排出に関連するリスクと機会を識別し、削減目標を設定する参考資料としています。具体的な取り組みとしては、事業所の屋根や敷地を使い太陽光発電を導入したり、重油からLPGやLNGに燃料転換したりなどがあります。Scope3での環境に負荷を与えている量について把握することにより、商品の生産にあたり、ライフサイクルで温室効果ガス排出量削減に取り組んでいる企業です。
まとめ
Scope3は、製品原材料の調達から廃棄・リサイクルまでの一連の工程における温室効果ガス排出量でした。Scope3を算出するためには、企業は取引先から排出量データを集める必要があります。企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方は、Scope3の計算方法や、実際の企業事例に理解することで、排出量の算出がスムーズに行えるようになるでしょう。
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【このホワイトペーパーに含まれる内容】
・Scope1,2,3の概要を説明
・Scope1,2,3算定のための具体的なプロセスをスコープごとに詳しく解説
・GHGプロトコルとISOの違いなどをQ&A形式でわかりやすく解説

参考文献
[1]資源エネルギー庁「知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは」(閲覧日:2026年1月29日)
[2]環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方」(閲覧日:2026年1月29日)
[3]環境省「サプライチェーン排出量とは」(閲覧日:2026年1月29日)
[4]株式会社ニチレイ「気候変動への取り組み」(閲覧日:2026年1月29日)
[5]株式会社ニチレイ「GHG(温室効果ガス)排出量」(閲覧日:2026年1月29日)
[6]日本ハム株式会社「非財務データ」(閲覧日:2024年5月31日)
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