Last Updated on 2024年8月28日 by Moe Yamazaki
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自社のCO2削減努力のアピール手法として、「削減貢献量」の算定が注目を集めています。
本記事では、削減貢献量の算定ポイントをステップを踏んで解説していきます。
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削減貢献量とは
削減貢献量とは、ある活動や対策によって削減された温室効果ガスやエネルギー消費量などの量を指します。
具体的には、企業や組織が行う省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入、排出削減技術の採用などによって、基準年と比較してどれだけの温室効果ガス排出量やエネルギー消費量を減少させたかを示します。
企業は、貢献度を定量化することによって、⾃社製品およびサービスにより、どの程度温室効果ガス排出量の削減に貢献しているのかをアピールすることができます。
従来のサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量を求める、GHGプロトコルの考え方(Scope1~Scope3)は、企業が排出する温室効果ガス排出量の削減を促すためのものでした。
しかし、温室効果ガス排出量の削減効果のある新製品やサービスが開発・普及された場合でも、従来のGHGプロトコルの考え方では「製品を生産すほど企業が排出する温室効果ガスが増加する」逆説的状況が発生していました。
そのような状況を改善するため、温室効果ガス排出量の削減に貢献する新製品・サービスの開発・普及に成功した企業の削減貢献量を評価するべきという考えができたのです。
サプライチェーン排出量でネットゼロを目指す取り組みは、世界中で普及し、今後はより一歩先へ踏み込んだ削減貢献量が拡大する可能性が高いです。
サプライチェーン排出量のみでは評価を行うことができなかった部分の「どれだけ温室効果ガスの削減に貢献したか」といった指標は、企業における省エネ製品の開発、イノベーションを促進するとして期待されています。
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削減貢献量の算定プロセス
続いて、企業が実施する削減貢献量の算定プロセスを解説します。
削減貢献量算定の全体像
削減貢献量算定の全体の流れは以下の通りです。
ステップ1: タイムフレームの特定
ステップ2:参照シナリオの定義
ステップ3:ソリューションと参照シナリオのライフサイクル排出量の評価
ステップ4:削減貢献量の評価
ステップ5(任意):企業規模での削減貢献量の評価
このステップに従い、3つの適格性ゲートを通過したものに限り定量化を行います。
最も可能性の高い保守的な参照シナリオとソリューションライフサイクル排出量を選択して、回避されたGHG排出量を推定または集計することが必要です。
ステップ①:タイムフレームの特定
まず、ソリューションの温室効果ガス排出量の削減量を見据え計算を行う(将来のライフサイクルで削減されるすべての温室効果ガス排出量は販売年に評価)、または前年比で計算するか(削減された温室効果ガス排出量は販売年からソリューションが尽きるまで毎年評価)で計算するか定める必要があります。
この期間においては、企業のGHGインベントリ評価におけるソリューションの温室効果ガス排出量の報告期間と一致しなければなりません。
ステップ②:参照シナリオの定義
参照シナリオは、ソリューションの使用方法、代わりに選ばれる代替シナリオに依存するため、販売に大きく関係します。
そのため、続いて参照シナリオを定義します。
新しく需要を創り出す場合と、既存の需要を代える場合とで区別する仕組みです。
以前の参照状況がない新しい需要ソリューションの例は、以下の画像のようになります。
信頼性を確保し、実施されているソリューションの影響を誇張しないようにするためには、参照シナリオについて認識し、十分に文書化された仮定に基づき、特定のソリューションがない場合の状況について反映する必要があります。
ステップ③:ソリューションと参照シナリオのライフサイクル排出量の評価
ソリューションを評価し、ライフサイクルの温室効果ガス排出量を参照します。
ソリューションがある状況と、ソリューションが使用されていない参照シナリオでライフサイクル排出量を評価します。
ここでポイントとなるのが、レファレンスシナリオとソリューションの算定方法の一貫性が必要となるということです。
削減された温室効果ガス排出量の評価に使用される時間枠は、ソリューションのライフサイクルに関連する時間枠を超えてはなりません。
「帰属的」アプローチ、もしくは「帰結的」アプローチから選んで行います。
基本的には、帰属的LCAが用いられます。
ステップ④:削減貢献量の評価
ソリューションの削減した温室効果ガス排出量の評価を行います。
これは、製造から廃棄までのライフサイクル全体を考慮し、ソリューションを使用した場合と使用しない場合の参照活動の排出量の差を計算することによって確立されます。
つまり、二つのシナリオにおける排出量の差分を算定することが必要です。
エネルギー価格等、排出量に影響を及ぼす変化を考慮する必要があります。
また、削減された温室効果ガス排出量は数年に渡り推定されるのが基本です。
そのため、温室効果ガス排出量は、さまざまな側面で、時間の経過に伴う状況の潜在的な変化を考慮する必要があります。
ステップ⑤(任意):企業規模での削減貢献量の評価
企業規模で削減された温室効果ガス排出量について評価を行います。
企業は、前述した4つのステップに従い、評価されたすべてのソリューションの削減された温室効果ガス排出量を集計することで、削減された総排出量の評価が可能です。
ソリューションが異なる排出量が目標の場合、異なるソリューションの削減された温室効果ガス排出量が追加される可能性があります。
しかし、2 つのソリューションが同じ排出量を対象とする場合、2 番目のソリューションは残りの排出量に限り影響するため、最初のソリューションの影響を優先的に計算する必要があります。
この点を間違えてしまうと、二重計算に繋がるため注意してください。
まとめ
削減貢献量とは、ある活動や対策によって削減された温室効果ガスやエネルギー消費量などの量を指します。
具体的には、企業や組織が行う省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入、排出削減技術の採用などによって、基準年と比較してどれだけの温室効果ガス排出量やエネルギー消費量を減少させたかを示します。
削減貢献量の算定プロセスは、主に5つのステップが存在します。
サプライチェーン排出量でネットゼロを目指す取り組みは、世界中で普及し、今後はより一歩先へ踏み込んだ削減貢献量が拡大する可能性が高いと言えます。
そのため、企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方は、削減貢献量の概要や算定プロセス・注意点について十分理解しておくことが大切です。
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⇒削減貢献量:開示ポイントを解説
参考文献
[1]wbcsd「GUIDANCE ON AVOIDED EMISSIONS」
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