Last Updated on 2024年5月3日 by Yuma Yasui

ここ数年、サステナビリティは組織にとって単なる流行語ではなくなりました。

すでに組織全体にわたってサステナビリティ関連のイニシアチブが徐々に浸透しつつある企業もあれば、サステナビリティ担当者様が一人で、または小さい部署で活動している企業もあります。中には、企業で働く従業員の方々のサステナビリティに対する認知や理解に苦労されている企業様も多いことと存じます。

この記事では、サステナビリティの考え方を浸透させるだけでなく、長期的にサステナビリティを組織に「持続」させる方法をご紹介いたします。

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サステナビリティの浸透状況

企業のサステナビリティの達成にとって最も重要なことは「組織文化」の変革であると言われています。

PwCの調査によれば、コーポレートサステナビリティを「聞いたことはある」「知らない」と答えた人が合わせて58%でした。また、サステナビリティに関する認知度は産業によって大きく異なり、陸上輸送、小売、自動車製造、自動車部品製造産業では社内全体の認知度がそれほど高くないことがわかっています。[1]

このように、まだまだサステナビリティの浸透が課題になる中、この取り組みをより加速させるために必要なことは何でしょうか。

「組織文化」とは?

優れた「組織文化」は、ビジネスの成功に必要な特性を開発するための鍵です。「組織文化」とは、組織を構成する人々が持つ信念、イデオロギー、プロセス、態度の集合体を指します。どのような組織にも、組織文化があります。[2]

経営者の意思決定と組織文化の関係
出所:弊社作成


組織文化は、経営者の行動と意思決定に影響を与えるため、会社の戦略的な方向性や、企業慣行、変革に対する態度に影響を与えると言われています。また、経営者の行動や意思決定も組織文化に影響を与えます。

サステナビリティの文化が根付いた組織は、健全な環境を支え、人々の生活を向上させながら、長期的に成功裏に事業を継続しようと努力することが可能になります。

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組織文化を変革する方法

経営陣のコミットメント

サステナビリティを戦略的課題としてビジネスモデルに組み込むには、組織のトップから変化を起こすことが重要です。企業の経営陣は、サステナビリティが会社にとって重要であることを皆に示すという基本的な役割を担っています。

なお弊社では、経営陣から理解を得るべくESGの役員研修サービスを提供しております。東証プライム上場企業の役員研修を実施してきております。詳しくはお問い合わせいただくか、こちらのサービス紹介ページをご覧ください。

IKEAの例

サステナビリティを経営幹部レベルの問題と捉えている企業もあります。例えばイケアでは、ドイツ市場のCEOであるデニス・バルスレフが、サステナビリティ最高責任者の役割も担っています。イケアでは、2030年までに人と地球に優しい企業になるという野心的な目標が重要な経営課題として位置づけられ取り組みが進められています。[3]

全ての従業員に対するサステナビリティに関する教育

従業員は、「組織文化」の形成に大きくかかわります。したがって、従業員が「サステナビリティとは何か」を理解することが重要です。サステナビリティの概念を明確に理解することで、従業員は個人と組織の価値観を一致させることができます。

弊社は、ESGや気候変動に関する「eラーニング教材」や「社内研修・講演」を提供しています。顧客企業様の独自の課題を考慮に入れ、状況に合わせたサービスを提供しております。eラーニング教材の導入支援事例については、「ESGに関するeラーニング教材の導入支援 ~全ての社員にESGを“自分事”として捉えてもらうために~ 」をご覧ください。

③従業員のエンゲージメントを高める

重要なのは、従業員や外部のステークホルダーを継続的に動機付けることです。このような場合、人々の「内発的動機」と「外発的動機」を活用することは大きな可能性の一つです。

内発的動機外発的動機
外的要因からではなく、人の内面から生まれる→ある活動に取り組むことで、楽しさを感じ、個人的な満足感を得られる外部からの刺激によって生まれる
例)eラーニング後の学びを共有する勉強会

従業員が自分にとって何が必要かを理解し、自分自身の興味とサステナビリティの取り組みとの関連性を見出す機会をつくる勉強会の実施。
例)インセンティブ作り

ESG目標との整合性を現物支給や賞与に結びつける従業員へのインセンティブ
出所:Self-Determination Theory [4] より弊社作成

内発的動機を高める

人が変化に貢献しようとする動機を高めるためには、何が対象者のモチベーションになっているか知ることが重要です。以下の個人ニーズを参考に、組織内のサステナビリティの取り組みにおいて働きかけようとしている対象者のニーズを見分け、そのニーズに即した働きかけを考えることができます。


出所:弊社作成

外発的動機を高める

内発的な動機をより継続するために外発的な動機が有効に働きます。たとえば、ESG目標との整合性を現物支給や賞与に結びつける従業員へのインセンティブがあげられます。一例として、Mastercard社では、上級管理職のみならず、すべての従業員のボーナスがESGの取り組みに関連付けられています。[5]

まとめ

この記事では、長期的にサステナビリティを組織に「持続」させる方法を紹介しました。サステナビリティ対応の取り組みへの一助となりましたら幸いです。


弊社では、『eラーニング』をはじめ、『気候変動に関する社内/役員研修』や『講演』、『移行計画の作成』など、企業様のサステナビリティの取り組みのご支援を行っております。下記のバナーより、サービス資料をダウンロードいただくか、お気軽にお問い合わせください。

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当社は「気候変動時代に求められる情報を提供することで社会に貢献する」を企業理念に掲げています。

カーボンニュートラルやネットゼロ、TCFDと言った気候変動に関わる課題を抱える法人に対し、「社内勉強会」「コンサルティング」「気候変動の実働面のオペレーション支援/代行」を提供しています。

Author

  • 遠藤瑞季

    2022年10月入社。2020年より国際人権NGOにて「ビジネスと人権」の分野の活動に従事。在学中、国際労働機関(ILO)のインターンとしてリサーチ業務を経験。気候変動における企業の可能性に関心を寄せ、リクロマ株式会社へ参画。