Last Updated on 2026年1月16日 by Sayaka Kudo
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GHGプロトコル土地・除去ガイダンスは、土地セクターと炭素除去量の算定に係るガイダンスです。パリ協定のもと、温室効果ガスGHGの削減が最重要課題となる中、土地関連分野における温室効果ガスの排出削減手法への感心も高まっています。
本コラムでは、GHGプロトコル土地・除去ガイダンスについて、「排出」と「除去」の区別や企業への影響まで網羅的に解説します。
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GHGプロトコル土地セクター・炭素除去ガイダンスとは
GHGプロトコルは、企業、非政府組織(NGO)、政府、その他世界資源研究所(WRI)および持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が呼びかけた複数のステークホルダーを含めたパートナーシップです[1]。同プロトコルでは、温室効果ガス(GHG)の算定・報告について国際的に認められた基準、ガイダンス、ツールを策定し、それらの導入を推進しています。
そのGHGプロトコルから2022年9月に公表された「土地セクター・炭素除去ガイダンス」は、土地ベース活動および技術的 CO2 除去活動に由来する GHG 排出量および除去量の計算に必要な手順、手法、データを明確にする際に企業が利用するGHGインベントリとして開発されました[1]。
GHGプロトコル土地・除去ガイダンスにおける「排出」とは
「排出」は大きく3つに分類されます。
・土地関連の排出
・土地以外からの排出
・製品貯留からのネット排出
土地関連の排出
森林関連や農業領域における、土地セクターからの排出も削減に重要な要素となっています。例えば、森林からの耕作地への転用による炭素除去量の減少(土地利用変化排出)や森林劣化や耕作地放棄などによる炭素除去量の減少(土地管理CO2ネット排出)、家畜飼育時のメタンガス、施肥肥料からの一酸化二窒素などの温室効果ガスによる排出(土地管理非CO2ネット排出という)などが対象です。
土地関連排出の対象活動

出典:GHGプロトコル(2022)「土地セクター・炭素除去ガイダンスパート 1:算定・報告の要件およびガイダンス」
補足事項
SBT では、FLAG関連の排出量として、森林から牧草地のように土地利用変化に伴う排出(LUC排出)と肥料の製造使用や農業機械使用などによる排出(非LUC排出)が対象活動に含まれるため当該企業ではこれらの規制も考慮することが必要です。
土地以外の排出
土地以外の排出とは、工業などの土地関連業種などにはかかわらない要素から起因します。例えば、ボイラーなどの燃料燃焼に伴う排出(定常燃焼排出)や自動車等の移動媒体における燃料排出に伴う排出(移動燃焼排出)が含まれます。さらに、製造工程での物理的・化学的プロセスからの燃料燃焼以外の排出(プロセス排出)や廃棄物の嫌気性消化や排水処理からのメタンガス排出(濾出損失)も対象活動のため、さまざまな領域からの排出量算定が今後必要となります。
製品貯留からのネット排出
最近注目されている直接空気回収技術DACにおいて、回収した炭素の貯留時における漏出などによる排出(技術的ネット排出)やDACで回収した炭素を地中貯留した場合の漏出等による排出(地中貯留からのネット排出)、森林伐採時の木材製品による炭素除去量の減少(生物由来ネット排出)が対象です。
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GHGプロトコル土地・除去ガイダンスにおける「除去」とは
「除去」も大きく3つに分類されます。
・土地管理ネット除去
・製品貯留によるネット除去
・地中貯留によるネット除去
土地管理ネット除去
転用がない場合の森林や耕作地由来の炭素除去量の増加のことです。転用がない場合は、森林や耕作地を適切に管理することが求められます。
補足事項
SBT FLAG目標では、企業体のより森林や耕作地が適切に管理されている限りそれによる炭素除去がカウントできます。
製品貯留によるネット除去
直接空気回収技術DACにおける回収炭素の貯留時における炭素除去(技術的ネット除去)や、伐採木材製品やバイオプラスチック利用による炭素除去量の増加(生物由来ネット除去)が対象です。今後、これらの領域における、技術開発や実用化により、さらに除去量が増加すると予想されます。
地中貯留によるネット除去
直接空気回収技術DACにおける回収炭素の地中貯留(DACCS)や直接空気回収・貯留技術DACCS、二酸化炭素回収貯留技術CCS、地下の原油生産層等に注入する技術CCUSなどが対象です。
地中貯留GHGの除去プロセス

GHGプロトコル土地・除去ガイダンスがもたらす企業への影響
除去量(-)排出量(+)を峻別して算定する
同ガイダンスの特徴としては、大気へのGHGの放出を「排出」、大気から大気以外の貯留層などへのGHGの移動を「除去」と定義し、排出と除去を区別した算定方法を示しています。これにより、回収したCO2を合成燃料等に転換して利用するなど複雑な場合に留意して、算定する必要があります。例えば、前半の分離回収分は「除去量(吸収量)」(-)として、後半の燃料消費分は「排出量」(+)としてカウントする必要があります。その差し引き分は、当該企業の目標値に合算可能となります。
土地セクター由来の除去量を削減目標に取り込む
炭素除去量分を企業の排出量算定に取り込んだことで、企業が対外的に示せるScope1~3が拡張されることなりました。たとえば、社有林の森林吸収などは、従来のSBTi目標(SBT FLAG)などでは、企業の削減活動の中への包含が難しい実情がありましたが、同ガイダンスに基づくと、社有林での森林吸収は「Scope1での土地除去量」と示すことができ、企業活動にとってはかなりのメリットとなります。土地利用に関わる企業だけでなく、バリューチェーン全体にも影響するため、今後の土地利用関連の情報収集が必要となります。
まとめ
GHGプロトコル土地・除去ガイダンスは、温室効果ガスGHG削減のあらたな指標として、注目が集まっています。同ガイダンスにより、従来のSBTi目標などでもカバーされていなかった土地関連の部分を、GHGフラックス(排出と除去)として明確化しています。今まで曖昧であった社有林などの炭素除去量のカウントも可能となり、企業活動にも資するものとなります。
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⇒直接空気回収技術DACとは?CCS、CCUSとの違いや仕組みを解説
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参考文献
[1]GHGプロトコル(2022)「土地セクター・炭素除去ガイダンスパート 1:算定・報告の要件およびガイダンス」(閲覧日:2026年1月16日)
[2]三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2025)「土地由来のGHG排出量の基礎~「土地セクター・炭素除去ガイダンス」を踏まえて~」(閲覧日:2026年1月16日)
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