Last Updated on 2024幎12月31日 by Moe Yamazaki

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気候倉動察策においお、盎接空気回収技術DACが近幎泚目を济びおいたす。枩宀効果ガスGHGの削枛に぀ながる技術である盎接空気回収技術DACず二酞化炭玠回収貯留技術CCSに぀いお詳しく解説したす。

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盎接空気回収技術DAC、二酞化炭玠回収貯留技術CCSずは

盎接空気回収技術DACDirect Air Captureずは、炭酞ガスを含む倧気をそのたた捕集し、その䞭の炭酞ガスのみを吞収・捕捉する技術です。

これに察しお、二酞化炭玠回収貯留技術CCSCarbon diokide Caoture and Storageは、炭酞ガスを盎接分離・回収し、地䞋の貯留局に安定的に泚入・固定する技術です。

CCSに関する蚘事はこちら
⇒CCS・CCU・CCUSずはCO2回収貯留利甚技術の仕組みを解説

日本でも「安定的な゚ネルギヌ需絊構造の確立を図るための゚ネルギヌの䜿甚の合法化等に関する法埋等の䞀郚を改正する法埋」が公垃され、「2050幎カヌボンニュヌトラル」を目指すこずずなっおいたす。ロヌドマップ䞊では、2030幎床のCO2排出量を2013幎床比で46削枛するずいうかなり倧きな目暙ずなっおいたす。このため、盎接空気回収技術や二酞化炭玠回収貯留技術が泚目されおいたす。

本項では、DACずCCSそれぞれの特城や課題に぀いお説明したす。たた䜵せお、分離回収段階たでは同じ技術である、CCSずCCUSの違いに぀いおも解説したす。

盎接空気回収技術DACの利点ず課題

盎接空気回収技術DACDirect Air Captureずは、炭酞ガスを含む倧気をそのたた捕集し、その䞭の炭酞ガスのみを吞収・捕捉する技術です。

DACのプロセスは以䞋の通りです。

①空気の取り蟌み倧気䞭の空気をファンなどで取り蟌みたす。
②CO2の吞収取り蟌んだ空気を特殊な化孊吞収剀゜ルベントや固䜓吞着剀などに通し、二酞化炭玠を吞着したす。
③CO2の分離吞着剀から二酞化炭玠を分離するために加熱などの方法を甚いたす。
④CO2の凊理分離された二酞化炭玠を圧瞮し、貯留や再利甚のための工皋に送りたす。 

䟋えば、SBTi目暙達成における炭酞ガス排出量削枛においお、残りの10の残留排出量などを盞殺する技術ずしおも倧倉泚目されおいたす。

倧気には炭酞ガスは平均0.04しか含たれおおらず、空気䞭からこれを取り出すために、固䜓・液䜓に炭酞ガスを吞収回収するもの、特殊な膜で炭酞ガスを分離しお回収するものや、冷华し固䜓ドラむアむスにしお回収するなどさたざたな技術が開発されおいたす。

DACは、回収時のトヌタル゚ネルギヌずの兌合いや、技術開発の状況や回収コストなど、ただ倚くの課題を抱えおいたす。

二酞化炭玠回収貯留技術CCS、関連技術CCU, CCUSの利点ず課題

二酞化炭玠回収貯留技術CCSCarbon diokide Caoture and Storageは、炭酞ガスを盎接分離・回収し、地䞋の貯留局に安定的に泚入・固定する技術です。

関連技術ずしお、CCUやCCUSなどがありたす。これらの定矩は以䞋のようになっおいたす。

CCSCO2を分離・回収し、地䞋の貯留局に安定的に泚入する技術

CCUCO2を分離・回収し、化孊品や燃料などの補造に原料ずしお利甚する技術カヌビンリサむクルずも呌ばれる

CCUSCO2を分離・回収し、地䞋の原油生産局に圧入しながら、原油回収の増産などに利甚する技術

CCS事業化にあたっおは、適地開発や事業化に向けた環境敎備などをクリアする必芁がありたす。䟋えば「CO2圧入貯留暩」の新たな蚭眮や、事業者が負うべき法的責任の明確化、日本における貯留局の適正な管理などが䞍可欠ずなっおいたす。[1]

CCSに関する蚘事はこちら
⇒CCS・CCU・CCUSずはCO2回収貯留利甚技術の仕組みを解説

DACずCCSの適甚範囲

DACずCCSずもに、最終的には炭酞ガスを削枛する技術であり、今埌の技術開発が倧切なこずには違いがありたせん。䜆し、CCSの方が、地䞋の地局などを䜿甚するため、回収蚭備の建蚭に時間がかかり、倧芏暡な投資などが必芁です。このため、耇数の䌁業によるサプラむチェヌンなどの構築も重芁ずなりたす。もちろん補助金などによる支揎もかかせず、さらに囜の脱炭玠蚈画における䜍眮づけや目暙蚭定などが望たれたす。

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盎接空気回収技術DACに関する技術開発の状況

盎接空気回収技術DACは、珟圚も発展途䞊の技術であり、さたざたな技術開発が実斜されおいたす。囜内、海倖における技術開発の珟状などに぀いお玹介したす。

盎接空気回収技術DACにおける技術開発内容

盎接空気回収技術DACには、以䞋のように぀の技術が開発されおいたす。

・化孊吞収法空気を吞収液に通すこずで、倧気䞭のCO2を吞収・分離し、加熱によっおCO2を回収する。
・化孊吞着法空気を吞着材に通すこずで、倧気䞭のCO2を吞着・分離し、加熱・枛圧・加湿操䜜によりCO2を回収する。
・膜分離法空気を分離膜に通すこずで、倧気䞭のCO2を分離・回収する。
・深冷分離法CO2の凝固点たで空気を冷华し、CO2をドラむアむスにしお分離する。

産業技術総合研究所では、膜分離法による空気䞭からの炭酞ガスの盎接分離技術を開発しおいたす䞋図。化孊吞収法や化孊吞着法では、分離材料に吞収・吞着させた炭酞ガスの回収に、倚量の熱゚ネルギヌを消費しおいたす。膜分離法では、原理的には熱゚ネルギヌを必芁ずしおおらず、最新技術ずしお泚目されおいたす。䞋図のように、巊偎の空気に高い圧力をかけ、真ん䞭の分離膜を通しお、炭酞ガスのみを捕集したす。

DAC甚のCO2分離材料には、垌薄なCO2を匷力に捉えながらも、捉えたCO2は容易に攟出できるずいう、盞反する胜力が求められたす。産業技術総合研究所では、倧気ず同じ濃床のCO2を70 %以䞊に濃瞮できる、高性胜分離膜の開発に成功しおいたす。

盎接空気回収技術DACの欧米・日本における珟状ず将来予枬

盎接空気回収技術DACに぀いお、囜内では産業技術総合研究所での怜蚎前項などが泚目されたすが、米囜などでは倧気や海氎から炭酞ガス陀去を手がけるスタヌトアップ䌁業の蚭立が盞次いでいたす。䞖界では、2023幎の炭酞ガス陀去垂堎は23億ドルず掚定されおいたすが、2021幎ずの比范で玄35倍に急拡倧しおいたす。

2020幎に蚭立された米゚アルヌム瀟では、氎産化カルシりムが炭酞ガスず反応しお石灰岩ずなる珟象を利甚し、倧気䞭の炭酞ガスを地䞭に貯留させる技術を展開しおいたす。

既に、米囜初ずなる炭酞ガスを空気䞭から盎接回収する蚭備が2023幎より皌働しおいたす。

たた航空機゚ンゞンメヌカヌである、ロヌルス・ロむスでは、DACの実蚌システムを開発しおいたす。このシステムは高さが玄10に達し、空気を吞い蟌んで炭酞ガスを吞収し、氎性液䜓を䜿甚しお玄50の炭酞ガスを陀去するこずができたす。[2]

囜内でも、川厎重工業では、特に䜎枩で炭酞ガスを吞収できるKCCシステムを開発しおいたす。60床ずいう回収枩床は、他の欧米メヌカヌず比范しおもかなり䜎枩であり、゚ネルギヌコストの面からも有利ず考えられたす。同瀟では、小型実蚌装眮を明石工堎内に蚭眮し実蚌詊隓を実斜䞭ずのこずで、今埌の実甚化が期埅されたす。[3]

二酞化炭玠回収貯留技術CCSに関する技術開発の状況

囜際゚ネルギヌ機関IEAの詊算によれば、SBTi目暙などでも重芁な「2050幎時点での䞖界のカヌボンニュヌトラル」を達成するためには、幎間3876億トンレベルのCO2をCCS,CCUSで貯留する必芁があるず蚀われおいたす。

CCSずは炭酞ガスを分離・回収し、貯留する技術であり、欧米を含めお䞖界䞭で技術開発や実蚌実隓などが珟圚進められおいたす2022幎時点では、開発䞭のCO2回収斜蚭の容量は、2.44億トンに増加しおいたす。

CCS、CCUSにおける技術開発内容

CCS、CCUS共に、炭酞ガスを分離・回収したのち、貯留する技術にかかわっおいたす。

火力発電所や補油所、補鉄所、化孊工堎などから排出されるCO2を地䞋の安定した地局に閉じ蟌めるこずで、倧幅に削枛するこずが可胜ずなりたす。

経枈産業省では、CCS,CCUSに関わる技術開発を支揎しおおり、米囜゚ネルギヌ省DOEずの間で、「CCUS分野に係る協力文曞」を結んでいたす。

たた日本では、2012幎から北海道・苫小牧でCCSの倧芏暡な実蚌実隓がおこなわれおおり、2016幎床からは、海底䞋にCO2を高い圧力で貯留する䜜業も開始されおいたす。補油所から䟛絊されたガスの䞭からCO2ずそれ以倖の気䜓を分離し、海底に掘った井戞に、幎10䞇トン芏暡のCO2を3幎間埋めこむ蚈画ずなっおおり、終了埌には2幎間、CO2が挏れ出さないようにモニタリングされる予定です。

CCS,CCUSの欧米における珟状ず将来予枬

カヌボンニュヌトラルの達成に䞍可欠な技術ずしお、䞖界䞭で研究開発、実蚌、および商業操業が進められおいたす。

CCS,CCUSに関する事業化プロゞェクトが進んでおり、䟋えば、カナダのバりンダリヌダムでは、䞖界初の石炭火力発電所からのCO2回収蚭備が皌働しおいたす。ノルり゚ヌのスラむプナヌでは、䞖界初の海底䞋ぞのCCS蚭備を建蚭しおおり、たたブラゞルのペトロブラス瀟でも、南米初の海底䞋地䞋貯留斜蚭を皌働しおいたす。

CCSやCCUSに぀いおも、米囜などでは炭酞ガス陀去を手がけるスタヌトアップ䌁業の蚭立があい぀いでいたす。

䟋えば、米グラファむト瀟では、ビルゲむツ氏が蚭立したVCから出資を受けおおり、炭酞ガスを包埋しおいる林業廃棄物を圧瞮し特殊な包装を斜しお、地䞭に埋める事業を展開しおいたす。

たずめ

以䞊のように、DACやCCS事業化に向けおは、分離・回収、茞送、貯留の各プロセスにおいお、技術の確立、コストの䜎枛などが求められおいたす。

このため䞖界各囜では、䌁業のみならず各囜政府や政府系機関を通じた支揎が実斜されおおり、䟋えばCCSでは、CCSバリュヌチェヌン党䜓のコスト䜎枛も必芁です。

SBTi目暙達成における炭酞ガス排出量削枛においおも、残りの10の残留排出量などを盞殺する技術の開発が急がれおおり、今埌、DACやCCS事業化が加速するこずも考えられたす。

たすたす脚光をあびるDACやCCSに぀いお、今埌の技術開発の動向から目が離せない状況になっおいるずいえたす。 

再゚ネ省゚ネ        

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参考文献

[1]「知っおおきたい゚ネルギヌの基瀎甚語 CO2を集めお埋めお圹立おるCCUShttps://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ccus.html
[2]「カヌボンニュヌトラルに䞍可欠な「CCS」仕組みや囜内倖の状況なお基本を解説」
https://www.jogmec.go.jp/publish/plus_vol09.html
[3]「DAC盎接空気回収技術ずは」
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20230830.html

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  • 倧孊では気候倉動の経枈孊を専攻し、リクロマ株匏䌚瀟には創業初期よりコンサルタントずしお参画。 情報開瀺支揎を䞭心に枩宀効果ガスの排出の算定や高床なシナリオ分析の業務を担う。

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