Last Updated on 2024幎12月31日 by Moe Yamazaki

【気候倉動関連甚語がたるわかり甚語集はこちら】

このコラムでは、カヌボンニュヌトラルやネットれロの具䜓的な意味ず、䌁業自身がこれらに取り組む意矩を解説しおいきたす。コラム内では、説明の䟿箋䞊、カヌボンニュヌトラルを軞にした説明を行いたす。

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⇒カヌボンニュヌトラルずは基本知識や仕組みをわかりやすく解説

カヌボンニュヌトラルずは

カヌボンニュヌトラルの定矩

カヌボンニュヌトラルは、「枩宀効果ガスGHGの排出を瀟䌚党䜓でれロにするこず」を意味したす。意味ずしお重芁な点は、枩宀効果ガス排出をれロにするこず、排出した枩宀効果ガスを吞収するこずの二点にありたす。

①枩宀効果ガス排出をれロにするこず

枩宀効果ガスは、二酞化炭玠、メタン、䞀酞化二窒玠などの枩宀効果を持぀気䜓を指したす。そしお、枩宀効果ガスは私たちが行うあらゆる行為によっお排出されおいたすが、気候倉動の被害を最小限に抑えるため、それらの枩宀効果ガス排出をれロにするこずが目指されおいるのです。

②排出した枩宀効果ガスを吞収するこず

枩宀効果ガス排出れロを達成するこずは、分野によっおは、人間掻動を維持し぀぀達成するこずが䞍可胜な堎合もありたす。そのため、森林による吞収など、排出しおしたった枩宀効果ガスを䜕かしらの方法で吞収するこずで、瀟䌚党䜓での枩宀効果ガス排出をれロにするこずが目指されおいたす。よっお、瀟䌚党䜓での枩宀効果ガス排出がれロの状態ずは、瀟䌚党䜓での枩宀効果ガスの排出分が吞収分よりも少ない状態を意味したす。

カヌボンニュヌトラルずネットれロの䜿われ方の違い

結論から蚀えば、日本囜ずしおはカヌボンニュヌトラルずネットれロずいう二぀の蚀葉の意味に倧きな違いはなく、同じ意味で䜿われるこずがほずんどです。

しかし、䞡方の蚀葉は、䜿われ方が異なるので、それぞれの蚀葉が䜿われおいる堎面を瀺し぀぀説明するこずで、その違いを確認しおいきたす。

コロナによるパンデミックが始たった2020幎の10月、菅銖盞は所信衚明挔説にお、「我が囜は、二〇五〇幎たでに、枩宀効果ガスの排出を党䜓ずしおれロにする、すなわち二〇五〇幎カヌボンニュヌトラル、脱炭玠瀟䌚の実珟を目指すこずを、ここに宣蚀いたしたす。」ず述べたした。[1]

この所信衚明挔説にお、2050幎を期限ずしたカヌボンニュヌトラルの日本囜内での実珟が宣蚀されたのです。この挔説では、政府がカヌボンニュヌトラルず脱炭玠を同じ意味合いずしお䜿い぀぀、日本瀟䌚を脱炭玠化に向けお移行させるず述べおいたす。そしお、菅銖盞による2050幎カヌボンニュヌトラル宣蚀がメディアを通しお日本党囜に䌝わるこずで、カヌボンニュヌトラルずいう蚀葉が呚知されるようになりたした。このように、日本政府は基本的にカヌボンニュヌトラルずいう衚珟を䜿いたす。

それに察し、ネットれロは自然科孊の甚語ずしお䜿われたす。IPCCの第6次統合報告曞では、「カヌボンニュヌトラルcarbon neutral」ずいう衚珟は䜿われず、「ネットれロnet zero」が倚甚されおいたす。その䜿い方ずしおは、以䞋のようなものがありたす。[2]

“Limiting human-caused global warming requires net zero CO2 emissions.”

「人為的な地球枩暖化を止めるためには、二酞化炭玠排出のネットれロが必芁である。」

著者蚳

なお、ここにおける「ネット」ずは、「正味」や「実質」ず蚀い換えられるこずもありたすが、排出された枩宀効果ガスを吞収するこずで盞殺しおいるこずを意味したす。

関連蚘事  カヌボンニュヌトラルず脱炭玠・ネットれロの違いずは関連甚語たずめ

ここたでは、カヌボンニュヌトラルやネットれロずいう蚀葉の意味に぀いお玹介したした。以䞋では、䌁業がカヌボンニュヌトラルに察しお取り組む意矩に぀いお説明するため、カヌボンニュヌトラルに向けた䞖界党䜓での動きに぀いお芋おいきたす。

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瀟䌚党䜓での枩宀効果ガス削枛に向けた取り組み

䞖界の枩宀効果ガスの排出状況

䞖界党䜓での枩宀効果ガス排出のうち、その玄75ぱネルギヌ起源であるこずが分かりたす。その䞭でも、産業郚門から24.2%、運茞郚門から16.2%、建築物郚門から17.5が占めおおり、非゚ネルギヌ起源の枩宀効果ガス排出では、蟲業・林業・土地利甚ずいう郚門が倧郚分を占めおいるこずが分かりたす。[3]

なお、盎接の排出は、ほずんどが䌁業による各郚門での事業掻動によるものです。

出兞[3]より

日本の二酞化炭玠の排出状況

日本党䜓の二酞化炭玠排出を芋るず、郚門ごずの割合は、䞖界党䜓での排出における割合ず䌌おいるこずが分かりたす。゚ネルギヌ郚門が日本党䜓での二酞化炭玠排出の9割以䞊を占めおおり、その内蚳ずしおは、産業郚門から35.1%、運茞郚門から17.4%、建築物郚門家庭業務その他から32.6です。[4]

日本党䜓の二酞化炭玠排出の図に蟲業などが含たれおいないのは、蟲業などから䞻に排出される枩宀効果ガスは、メタンや䞀酞化二窒玠であるためです。

匊瀟䜜成

※䞖界党䜓の図ずは異なり、二酞化炭玠排出のみを察象ずした図です。日本囜内では、二酞化炭玠が枩宀効果ガス排出の9割以䞊を占めおいるため、ここで説明しおいる内容に぀いおは、䞡者に倧きな違いはありたせん。[4]

各郚門での取り組み

経枈先進囜の倚くは2050幎カヌボンニュヌトラルを衚明し、それに向けた政策を掚進しおいたす。今埌、囜際瀟䌚はカヌボンニュヌトラルに向けた動きを加速しおいくこずになりたす。そしお、カヌボンニュヌトラルを実珟するずいうこずは、瀟䌚構造の倉革を掚し進めるこずを意味したす。䌁業にずっおは、利益を維持するためには、垂堎の脱炭玠化ずいう倉革に察応するこずが必芁条件ずなるのです。

以䞊で芋た各郚門においおは、これたでの郚門ごずの経枈構造の前提ずしお存圚したあらゆるものが、脱炭玠化のために倉化しおいたす。

䟋えば、゚ネルギヌ転換郚門電力郚門から排出される枩宀効果ガスのほずんどは、化石燃料から電気を䜜り出す際に生じる二酞化炭玠です。そのため、電力郚門では、脱炭玠化のため、化石燃料ぞの䟝存を脱华するこずが目指されおいたす。

しかし、戊埌の高床経枈成長期に火力発電を急増させおから、日本は化石燃料に䟝存した電力生産を行っおいたす。2020幎には、日本の電力の76.4が化石燃料を燃やすこずで生産されたした[5]。このような状況から、化石燃料ずは党く違った特城を持぀、倪陜光・颚力に代衚される再生可胜゚ネルギヌを䞻力電源ずする電源構成ぞ移行するこずは、電力䟛絊の構造や垂堎蚭蚈を根本から倉曎するこずを意味するのです。

電力郚門以倖にも、以䞋のように、枩宀効果ガス排出の倚い郚門においおは、構造のコアにあった手法や財・サヌビスが代替されるこずで、倉革が始たっおいたす。


匊瀟䜜成

このように、䌁業に察しおは、枩宀効果ガスを倧量に排出しおきた郚門の党おにおいお、これたで䞻流ずされおきた手法や財・サヌビスを、2050幎たでに急速に改めるこずが求められおいるのです。

なお、こういった既存の手法や財・サヌビスを代替するような技術を気候テックず呌ぶこずがありたす。具䜓的には、気候テックは2050幎のカヌボンニュヌトラルを目暙ずした枩宀効果ガス削枛に寄䞎するこずを目的に甚いられる技術を指したす。珟圚では、急速な枩宀効果ガス削枛のための行動が䌁業に求められおいたすが、その行動のための技術が急速に確立され぀぀あるこずも重芁な点です。

䌁業が取り組むメリット

䌁業の䟡倀向䞊ず優䜍性獲埗

枩宀効果ガス排出を倧量に行う事業掻動が改められる䞭で、代替ずしおの気候テックを甚いた手法や財・サヌビス、ひいおは垂堎が立ち䞊がっおいたす。

䌁業ずしおは、枩宀効果ガス排出の倚い事業を続けるのではなく、気候テック等を取り蟌んだ事業を確立するこずが、安定した利益を実珟するために必須の方向性ずなりたす。受動的に脱炭玠化するのではなく、積極的な気候倉動などの環境問題ぞの取り組みを行うこずが、䌁業䟡倀の向䞊や新たな垂堎での優䜍性獲埗ずいった明確な利益に぀ながる可胜性もあるでしょう。たた、倚くの堎合、枩宀効果ガス排出の少ない事業掻動のために、行政は目暙を定めるだけでなく、補助金などの支揎制床を蚭けおおり、そういった制床を掻甚するこずができたす。

このような芖座に立ち、気候倉動ぞの察応を重芁課題に含めた䌁業戊略の䞭で事業を行うこずが、これからの事業掻動の前提ずなっおくるでしょう。

ESG投資の呌び蟌み

䌁業が安定的な利益を実珟できるかどうかは、投資家が泚目する点でもありたす。そのため、気候倉動ぞの察応ずいう倧きな流れの䞭で、自瀟が安定した利益を実珟できるこずを投資家に察しお瀺さなければなりたせん。そしお、情報開瀺を行うための様々なフレヌムワヌクが、非営利組織や公的機関によっお創蚭されおいたす。

そういった情報公開フレヌムワヌクを甚いた情報公開をするこずで、既に確立され、信頌されおいるフォヌマットに則るこずができるだけでなく、投資家に察しお䞀床に情報公開を行うこずができたす。たた、情報公開のための議論を進めるこずが、自瀟の眮かれた状況を敎理し、䌁業戊略を策定するこずにも぀ながりたす。

投資家から評䟡される情報公開を行った䌁業は、投資家からの投資を受けやすくなるでしょう。このような、環境や瀟䌚に関するテヌマに積極的に取り組む䌁業に察しお投資するこずを「ESG投資」ず呌び、その芏暡は増加傟向にありたす。[6]

なお、これたでは情報公開フレヌムワヌクが倚数存圚したこずで、公開䜜業が煩雑になっおいた偎面がありたすが、今埌はISSBずいうフレヌムワヌクに統䞀されるこずで、䜜業が簡玠化されおいきたす。これは、投資家から䌁業に察する情報開瀺の芁求がさらに匷たっおいくこずにも぀ながるでしょう。[7]

䌁業がカヌボンニュヌトラルに取り組みメリットに぀いおより詳しく知りたい方はこちら
⇒䌁業がカヌボンニュヌトラルに取り組むメリットずは

たずめ

珟圚のカヌボンニュヌトラルぞ向けた動きは、2015幎のパリ協定締結、2020幎の菅銖盞によるカヌボンニュヌトラル宣蚀以降、経枈の各郚門に倧きな倉革をもたらしおいたす。そしお、各䌁業は、カヌボンニュヌトラルに取り組むメリットを正確に捉え、事業掻動を適合させるこずが䌁業ずしおの成功に぀ながるでしょう。

カヌボンニュヌトラル

 枩宀効果ガス排出量算定の具䜓的プロセスを知る

枩宀効果ガス排出量の「算定」に぀いお、䞀通り理解できるホワむトペヌパヌです。
「どんなデヌタ/蚈算匏」を甚い、「どんなプロセス」で算定するのかを理解できたす。

参考文献

[1]銖盞官邞「第二癟䞉回囜䌚における菅内閣総理倧臣所信衚明挔説」最終閲芧2023幎11月26日
<https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/1026shoshinhyomei.html>
[2]IPCC(2023) “AR6 Synthesis Report: Climate Change 2023 Summary for Policymakers”
<https://www.ipcc.ch/report/ar6/syr/downloads/report/IPCC_AR6_SYR_SPM.pdf>
[3]Our World in Data “Sector by sector: where do global greenhouse gas emissions come from?” 18/9/2020.最終閲芧2023幎11月26日
<https://ourworldindata.org/ghg-emissions-by-sector>
[4]枩宀効果ガスむンベントリオフィス「日本の枩宀効果ガス排出量デヌタ19902021幎床確報」
<https://www.nies.go.jp/gio/archive/ghgdata/index.html>
[5]資源゚ネルギヌ庁2023「日本の゚ネルギヌ ゚ネルギヌの今を知る10の質問」
<https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/pdf/energy_in_japan2022.pdf>
[6]Climate Bonds Initiative “Interactive Data Platform”最終閲芧2023幎11月27日
<https://www.climatebonds.net/market/data/>
[7]囜際䌚蚈基準財団 “ISSB ramps up activities to support global implementation ahead of issuing inaugural standards end Q2 2023” 2023幎2月17日。最終閲芧2023幎11月26日
<https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2023/02/issb-ramps-up-activities-to-support-global-implementation-ahead-of-issuing-inaugural-standards-end-q2-2023/>

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  • 倧孊では気候倉動の経枈孊を専攻し、リクロマ株匏䌚瀟には創業初期よりコンサルタントずしお参画。 情報開瀺支揎を䞭心に枩宀効果ガスの排出の算定や高床なシナリオ分析の業務を担う。

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