Last Updated on 2023年7月28日 by 遠藤瑞季
シンガポール政府は、気候関連財務情報の開示をISSB基準に則って上場企業および大規模非上場企業に義務化する方針です。現在、シンガポール政府のサステナビリティ報告諮問委員会(SRAC)がとりまとめた提言について、一般からの意見を募集しています。これは、7月6日から2023年9月30日まで実施されます。
SRACは2022年6月、財務省の支援のもと、会計企業規制庁(ACRA)とシンガポール取引所(SGX)によって設立されました。その目的は、企業によるサステナビリティ報告のロードマップについて助言し、ISSBが策定したような国際的な持続可能性報告基準の適合性を検討することです。
SRACの提言によれば、上場企業は2025会計年度から、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が設定した基準に沿った気候関連開示(CRD)を報告することが義務付けられます。年間売上高10億シンガポールドル以上の非上場大企業については、2027会計年度からCRDの義務化が実施される予定です。また、2030年頃までに年間売上高が少なくとも1億ドル以上の非上場大企業による報告を検討するため、2027年に義務付けを見直すことも提案されています。
提案されている義務化の一環として、気候変動報告を義務付けられる 企業は、温室効果ガスのスコープ 1とスコープ 2の排出量について、外部保証を受ける必要があります。SRACは、外部保証は、Acraに登録された監査法人や、シンガポール認定審議会 (Singapore Accreditation Council)に認定された認証機関によって提供されることを求めています。
スコープ3の排出量の報告については、上場企業に対して2026会計年度から求められます。また、対象の非上場企業のスコープ3排出量の報告について、2029年会計年度から求められます。
SRCは、株主やその他の利害関係者へのタイムリーな情報伝達を確実にするため、CRDは財務諸表と同じ報告・提出スケジュールを持つべきであると提案しており、CRDの説明責任を確保するため、会社、取締役、役員に法的責任を課すことも検討しています。
資本市場を通じて持続可能な発展を推進する取り組みの一環として、ASEAN資本市場フォーラム(ACMF)は、優先勧告として企業のサステナビリティ情報開示の促進を含むASEAN持続可能な資本市場のためのロードマップを策定しています。この目的を達成するためにACFMは、ISSBと協力して認識向上や能力向上を進めており、ASEAN諸国の規制動向にも注視することが求められます。
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