岸田首相は月刊文芸春秋2月号への寄稿において、企業の長期的成長に必要とされるESG情報などの非財務情報の項目の開示について、2022年度中を目途にルールを決定する方針を発表しました。

人的資本、人材育成に関する項目は、開示ルール決定の上で特に重要視されています。この項目が注目される背景には、企業の賃上げ促進への狙いがあります。岸田首相は、人的資本への投資の情報開示のルール策定によって賃上げによるコスト増加を株主や投資家に理解させることができると見込んでいます。

具体的な人的資本投資、人材育成の例としては「賃上げ」「従業員への再教育と技能強化」「副業の認定」などが挙げられます。また、採用での多様性の重視や職場環境の改善についての対応も企業に求められます。

しかし、政府や投資家が人的資本への投資を重視する一方で企業はそこまで重視していない傾向があります。2020年度生命保険協会の調査[1]によると投資家の67.3%が「人材への投資」を重視している一方で、企業は32.3%に留まっています。今後は企業に対して、人的資本への投資やその情報開示が強く求められていくと見込まれます。

金融審議会はすでに議論を開始しており、4月以降にもルール策定への方針が決定する見通しです。

【補足】
金融審議会:金融制度の重要事項の企画・立案について、横断的に調査審議することを目的に設置された、内閣総理大臣、金融庁長官および財務大臣の諮問機関

【参考文献】

金融庁(2021)「第1回 金融審議会ディスクロジャーワーキング・グループ」https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/disclose_wg/siryou/20210902/03.pdf

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