金融庁は先月、金融審議会(ディスクロージャーワーキング・グループ)において企業が今後開示すべき非財務項目について審議を行い、報告書を発表しました。
報告書によると、日本国内の企業に開示を求める非財務情報は、国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board:ISSB)の基準に合わせる方針となりました。
ISSBの基準では「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの構成要素に基づく開示が求められています。
金融庁は、これらの4要素のうち「ガバナンス」「リスク管理」の開示をすべての企業に義務化、「戦略」「指標と目標」は企業にとって重要度が高い場合に開示させる方針を決定しました。
また、有価証券報告書に新たにこれらのサステナビリティ情報を記載する「記載欄」を新設することも決定しました。
「記載欄」においては、現状の「事業等のリスク」「コーポレート・ガバナンスの状況等」との住み分けを考慮し、投資家の投資判断に必要な核となるサステナビリティ情報を記載し、必要に応じて詳細情報を記載した任意開示書類を参照する方針を示しました。
今後、金融庁は今回策定した事項についての整備をすすめ、早ければ2023 年からの適用も考えられています。
【参考】
金融庁(2022)「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告ー中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けてー」
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