Last Updated on 2023年7月19日 by ピーターズ花蓮

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、先月26日、サステナビリティ開示基準の最終版を確定しました。上場企業はサプライチェーン全体にわたる「スコープ3の排出量」や、「カーボンクレジットの利用計画」、「社内炭素価格」等を含めた開示を求められます。策定により、統一された枠組みに沿った開示が可能となるため、投資家による企業の比較・選別に役立ちます。

公開された確定版サステナビリティ開示基準では、二つの開示要求事項が提供されます。この基準はTCFD提言に基づいて作成されました。「IFRS S1」は企業のサステナビリティ関連全般のリスクと機会について。「IFRS S2」は気候変動に関する具体的な開示についてです。

企業は新たに、温室効果ガス排出における「スコープ3までの開示」が求められます。自社で燃料の燃焼や電気の使用等の排出(スコープ1、スコープ2)だけでなく、原材料調達から輸送・破棄までのバリューチェーン全般にわたる排出量の開示を行わなくてはなりません。また、金融機関の投融資先企業のスコープ3も含まれます。

これまでも企業のサステナビリティ情報は、投資家への判断材料として提供されていました。しかし、多様な機関が独自の基準を策定していたため、統一された基準はありませんでした。そのため、企業は各々が選んだ基準に則った開示を行っており、他社との比較が難しいという課題がありました。

ISSB基準により、企業は国際基準となる開示枠組みのもと、財務諸表と共にサステナビリティ情報の提供が可能となります。そして、投資家や運用機関は企業の比較や検証が可能となり、投融資の有効な判断材料として使用することができます。

ISSBは2024年度の年次報告書から適用が可能となります。また日本では、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が24年3月末までに日本版の基準を策定し、25年3月末までに確定される見通しです。3月期企業であれば26年3月期の有価証券報告書から、ISSB基準に基づく開示を行うことのできる可能性があります。

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