Last Updated on 2024年2月27日 by Yuma Yasui

政府がグリーンファイナンス拡大を目指す中で、「グリーンボンド」が資金調達の新たな方法として注目を浴びています。
この債券は、投資家と発行者の両方に利益をもたらし、気候変動対策に貢献するプロジェクトへの資金提供を行っています。

今回の記事では、グリーンボンドの発行プロセスから、発展の経緯、国内事例までを詳しく解説します。

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グリーンボンドとは

「グリーンボンド(Green Bond)」とは、環境関連プロジェクトに特化した、資金を調達するために発行される債券のことを指します。

これらの債券を発行することで、再生可能エネルギー導入や環境インフラの整備など、気候変動対策にあたる活動のために資金調達をすることができます。

※債券とは
債券は、企業や政府がお金を借りるために発行する証券です。投資家は債券を購入し、発行者にお金を貸します。発行者は一定期間ごとに利子を支払い、最終的に元本を返済します。

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グリーンボンドの発行プロセス

出典)経済産業省「発行スキーム」

グリーンボンドの発行プロセスは、まず「発行体」となる組織が環境関連プロジェクトを選定し、そのための資金調達を計画します。

次に証券会社などの「アレンジャー」が発行プロセスを手助けし、「投資家」がグリーンボンドを購入して資金を提供します。投資家はこの投資を通じて収益を得ます。

最後に、「外部レビュー機関」がプロジェクトの環境への適合性を評価し、認証プロセスを通じて、発行体となる組織の環境関連プロジェクトの透明性を検証します。

このように4つの主体が連携し、グリーンボンドの発行と運用を進めています。

第三者評価による信頼性と透明性の確保

グリーンボンドの特徴は以下の3点です。

資金の使用用途が環境関連プロジェクトへの利用に限られる
資金運用はトラッキングおよび管理される
発行後のレポートにおいて、透明かつ信頼性があり特定の基準やガイドラインに合致していることを示す必要がある

中でも特に重要なプロセスは、資金が環境関連プロジェクトに適切に活用されているかを検証するための、外部レビュー機関による評価です。

外部レビュー機関のひとつに、グリーンボンド市場において国際的に認知されている「国際資本市場協会(ICMA:International Capital Market Association)」があり、この機関が承認した「グリーンボンド原則(GBP)」との整合性を測りながら審査を行います。

2017年には日本の環境省が「グリーンボンドガイドライン(全104頁)」を作成し、これも審査基準のひとつとなっています。

発行体となる組織はこのようにして、投資家に対して透明性と信頼性を示し、環境に対する社会的な責任を果たすことが期待されています。

グリーンボンド発展の経緯

グリーンボンドの歴史はまだ新しく、2007年に開催されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)において発表された第4次評価報告書がきっかけであるとされています。

この報告書は、「われわれを取り巻く気候システムの温暖化は決定的に明確であり、人類の活動が直接的に関与している」と指摘し、人類による化石燃料の使用が地球温暖化の主な要因であると考えられるということを科学的に明らかにしました。そして地球温暖化を食い止めるためには、地球規模での対策を実施せねばならず、莫大な資金が必要となることが明らかになりました。

それを受けて2008年、世界銀行がグループの国際復興開発銀行(IBRD)を通じて、世界初のグリーンボンドを発行しました。

これを機に環境関連プロジェクトへの資金調達が本格的に始まりました。

出典)環境省「グリーンファイナンスポータル」IBRD(世界復興開発銀行)「10 Years of Green Bonds: Creating the Blueprint for Sustainability Across Capital Markets」

2013年には、国際的な4つの金融機関が「グリーンボンド原則」を導入し、グリーンボンド市場における透明性と標準化が強化されました。これにより、市場における信頼性が向上し、発行者や投資家にとっても取引がしやすくなりました。

2014年には、国内初のグリーンボンドが発行されました。

2015年には、パリ協定の締結がグリーンボンド市場に新たな強みをもたらし、気候変動対策への資金調達手段としての役割が拡大しました。市場は急速に成長し、企業や政府が環境へのコミットメントを示すための主要な手段となりました。

その後主に世界銀行などの公的な国際金融機関に限られていた発行主体は、次第に地方自治体、民間金融機関、エネルギー企業、そしてその後も一般の事業企業などに広がっていきました。

拡大する市場規模

特に近年では、ESG投資への関心の高まりとともに、グリーンボンドの市場規模は年々拡大しています。

2008年以降、これまでに35ヵ国での126件のプロジェクトに対し、総額約28兆2750億円の融資が承認され、約17兆8350億円が拠出されています。(1ドル145円の為替レートで換算)

世界のグリーンボンド発行総額の推移

出典)「国内におけるグリーンボンドの発行・投資への期待」

国内のグリーンボンド発行総額の推移

世界のグリーンボンド調達資金の内訳

出典)「国内におけるグリーンボンドの発行・投資への期待」

グリーンボンドの活用事例

2022年度の世界におけるグリーンボンド活用の成果は以下の通りです。

主に、再生可能エネルギーへの投資、エネルギー効率向上、持続可能な交通手段の整備、環境インフラの整備、森林保護と生態系の回復といった分野に資金が活用されています。

出典)「The world bank impact report 2022 Sustainable development bonds & green bonds」

国内でも、金融機関、製造業、不動産などさまざまな企業や組織が積極的に活用しています。

出典)環境省「国内発行体による発行リスト」

政府による補助金の提供

日本政府は、グリーンファイナンス拡大に向け、グリーンボンドの活用を積極的に促進しています。

グリーンボンドの発行体に発行支援(外部レビュー付与、コンサルティング等)を行う組織に対し、補助金を提供しています。

補助対象事業者 / 補助対象費用
・外部レビュー機関 / 外部レビューの付与に要するコスト(発行前・発行後・期中)
・コンサルティング会社 / グリーンボンドフレームワークのコンサルティング等に要する費用

【発行体】
国内に拠点を有する法人・自治体等

【資金の使途】
・調達資金の50%以上は国内脱炭素化プロジェクトに、残りの50%以上は他のグリーンプロジェクト(気候変動適応、資源循環分野、生物多様性・自然資本分野等に関する事業)に充てる必要がある。また、グリーンプロジェクトの50%以上は国内脱炭素化プロジェクトでなければならない。

・外部レビューにおいて準拠するものは、グリーンボンドガイドラインのほか、発行市場や投資家層に応じてグリーンボンド原則、ASEAN Green Bond Standard、Climate Bonds Standard等から選択可能。ただし、グリーンボンドガイドラインに適合することを、発行までに外部レビュー機関が確認することが必要。

まとめ

グリーンボンドは、環境関連プロジェクトへの資金提供を促進しており、気候変動問題解決に向けた有力な手段であると言えます。

その発行プロセスや基準には透明性が求められ、外部レビュー機関の評価を設けています。

また、グリーンボンド市場は拡大傾向にあり、日本を含め世界中で活用され、再生可能エネルギー拡大、エネルギー効率向上など幅広い分野において貢献しています。

環境への配慮と収益を結びつけ、資金提供者と社会全体にとって双方に利益をもたらす重要なツールであると言えます。今後もますます重要性を増していくことが予想されます。

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参考文献

[1] IBRD(世界復興開発銀行)「10 Years of Green Bonds: Creating the Blueprint for Sustainability Across Capital Markets」
[2] IBRD(世界復興開発銀行)「The world bank impact report 2022 Sustainable development bonds & green bonds」
[3] GBLI(一般社団法人GBL研究所)「ビジネスに関わる行政法的事案」第10回:国債、地方債およびGBについて」
[4] 環境省「グリーンファイナンスポータル」
[5] 環境省「グリーンボンド等促進体制整備支援事業(補助事業)公募要領」
[6] 環境省「2023年度(令和5年度)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金等に係る補助事業者(執行団体)について」
[7] 環境省(2021年3月)「グリーンボンドに関する環境省の取組について」

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Author

  • 山下莉奈

    2022年10月入社。総合政策学部にて気候変動対策や社会企業論を学ぶ。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリによる国際的な組織での活動経験を持つ。北欧へ留学しサステナビリティと社会政策を学ぶ。