Last Updated on 2026年1月29日 by Sayaka Kudo
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持続可能な社会の実現の観点から、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を果たすべきであるという考え方が広がっています。CSRは、単なるボランティア活動ではなく、企業ブランド価値の向上につながる経営戦略の1つです。その一環として、持続可能なサプライチェーンの確保が見直されています。
本コラムでは、持続可能なサプライチェーンの構築において重要な「CSR調達」について解説します。
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CSR調達とは
CSR (Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を反映したCSR調達とは、CSRを求める基準をサプライチェーン全体にまで拡大し、調達先の選定や調達条件の設定を行い、その調達先と協働体制を構築することです。CSRでは、コンプライアンス(法令遵守)だけではなく、環境保全、人権尊重への取組が求められており、サプライチェーン全体で社会的な責任を果たすことが求められています。
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CSR調達の意義
企業の社会的責任(CSR)を果たす取組みは、企業活動における環境、人権侵害などの負の影響の防止・軽減・救済の目的を達成するために重要です。取組の結果、CSR調達から企業が得られるメリットは、主に以下の2点が挙げられます。
1. サプライチェーンのCSRリスクの抑制
CSR調達を通じて、サプライチェーンのCSRリスクを未然に把握、回避することが出来ます。サプライチェーンのCSRリスクとは、上流のサプライヤーの労働環境(強制・児童労働)、環境破壊、倫理違反、情報セキュリティ不備などが、ブランド毀損や法的責任として、下流の発注元企業に遡及するリスクを指します。これを防ぐために、アンケートや監査によるモニタリングが必要不可欠となります。
例えば、チョコレートの原料となるカカオ生産は主に途上国で行われるため、発注元企業は、現地の違法な土地利用開発による環境破壊や児童労働などのCSRリスクが問われます。この場合、CSR調達を採用し、フェアトレード認証やレインフォレスト・アライアンス認証など第三者機関からの認証を受けているカカオ農業経営者をサプライヤーに選定することで、サプライチェーンのCSRリスクを軽減することができます。
2. 競争優位の獲得
CSR調達を実施し、CSRの取組を適切に開示していくことは、企業のサプライチェーン全体のレジリエンス(強靭性)を高めることにつながります。サプライチェーンを時代の変化に応じて最適化することで、持続可能な事業基盤を確保でき、企業価値の根幹を強化することができます。
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CSR調達の手順
CSR調達の方針策定は企業の自主的な取り組みのため、明確なルールはありませんが、ここでは、CSR調達を実施するための3つのステップを紹介します。
1. CSR調達方針策定
CSR基準を自社の企業理念と併せて定義します。調達プロセスの可視化を行い、自社にとって重要でサプライヤーが満たすべきとするCSR基準を策定しガイドラインを作成しましょう。
2. 取引先説明会
CSR基準を取引先に伝達する説明会を実施します。この際、サプライヤーに「なぜ行うのか」「今後どのように協力してほしいのか」を丁寧に伝えることが重要です。そのうえで、サプライヤーにとってのメリットも示し、単なる負担とならないように説明するとよいでしょう。
3. SAQ設計・実施
SAQ(Self Assessment Questionnaire:自己チェックシート)を使用し既存のサプライヤーのパフォーマンスを、設定したCSR基準に基づいて定期的に評価します。調査で明らかになったリスクについては、特に継続的な監視・対応が必要です。また、新しいサプライヤーを受け入れる場合は、その新規のサプライヤー候補が、自社のCSR基準に合致しているかどうかを審査します。
なお、弊社は、SAQの実施を代行する「CSR調達アンケート代行」のサービスを提供しています。CSR調達アンケート代行の導入支援事例については、「【支援事例】CSR調達アンケート – リクロマ株式会社」をご覧ください。
【リクロマのCSR調達支援サービスはこちら】:サステナブルサプライチェーン構築
4. サプライヤー改善
SAQによる調査でリスクが判明した場合は、対話・面談・現地監査を通じてサプライヤーの改善を支援します。必要に応じて、他社とのベンチマーク比較や誤回答の確認も行い、改善を促します。CSR調達は“調べて終わり”ではなく、改善までを一連の流れとして設計することが重要です。
5. 情報開示
CSR調達の取り組みについて報告し、サプライヤーとベンダーがCSRの基準を満たしていることを確認するために取っている措置について透明性を確保しましょう。CSR調達プロセスは、継続的に見直し、改善することが重要です。
CSR調達の好事例
CSR調達を実施している企業は数多くあります。ここでは、具体的な企業とその取り組みの一例をご紹介します。
ナブテスコ
日本の機械メーカーであるナブテスコ株式会社は、2020年12月にCSR調達方針を改定し、サプライチェーンマネジメントを一層強化しています。
ナブテスコは、CSR調達方針の作成に当たって、国際的なガイドラインである、RBA(Responsible Business Aliance)、ISO20400、ISO26000、国連グローバルコンパクトなどを参考に、企業倫理を取り入れる方針を策定しています。特に、サプライヤーとの継続的なコミュニケーションを通じてPDCAサイクルを回すことで、CSR調達を持続的なものとしています。

CSR調達方針の説明会は、オンラインを中心に説明会を行うなど、サプライヤーの理解促進とパートナーシップ強化に取り組んでいます。
さらに、透明性の確保としてSAQ調査を分析・評価し各取引先ごとにフィードバックを行う取り組みや、CSR調達方針に基づいて、社内やグループ会社の調達責任者を対象とした環境や人権に関するe-ラーニングを実施するなど、サプライヤーとの相互関係を持続的に発展させるような連携強化の取り組みが特徴的です。取引先を含む通報相談窓口の設置など負の影響からの救済メカニズムも整備しています。
東レ株式会社
日本の化学企業である東レ株式会社は、2022年3月にCSR調達方針を改定し、サプライチェーンマネジメントを一層強化しています。
東レグループは、経済協力開発機構(OECD)の「責任ある企業行動のためのOECDデュー・デリジェンス・ガイダンス」に定められたプロセスに則り対応を行なっています。上述したナブテスコ社同様、サプライヤーとの継続的なコミュニケーションを通じてPDCAサイクルを回すことで、CSR調達を持続的なものとしています。

透明性の確保としてSAQ調査を分析・評価し各取引先ごとにフィードバックを行い、実態調査が必要と判断した取引先には個別訪問するなど改善のための対策を協議し、推進状況を定期的に確認しています。さらに、CSR調達アンケートの回答結果はウェブサイトで公開しています。
このように、ステークホルダーとの対話を行い、サプライチェーン上の各企業が協力して人権尊重や環境保全に取り組むことが求められる中で、上記各社の事例は実効的なCSR調達推進の例として参考になります。
まとめ
CSR調達は、震災や戦争などの不測の事態、資源調達の不正リスクといった多様なリスクに備える取り組みです。形式的な調査に終始するのではなく、自社特有のリスクを可視化し、サプライヤーとの対話を通じてサプライチェーンを入れ替え・強化していくことが肝要です。終わりのない取り組みとして継続することが、企業の稼ぐ力を支える基盤となります。
#サプライヤーエンゲージメント#CSR調達
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【このホワイトペーパーに含まれる内容】
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・Scope3の算出方法と削減方法をそれぞれ詳細に解説
・Scope3削減好事例を複数のカテゴリーでわかりやすく解説

参考文献
[1] ナブテスコ HP 「サプライチェーンでのCSRの取り組み | 公平・公正・公明な調達活動 | サステナビリティ – ナブテスコ株式会社」(閲覧日:2026年1月29日)
[2] 東レ HP 「東レグループのCSR調達活動 | サプライチェーンにおけるCSRの推進 | CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告) | サステナビリティ | TORAY」(閲覧日:2026年1月29日)
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