Last Updated on 2024幎8月28日 by Moe Yamazaki

【気候倉動関連甚語がたるわかり甚語集はこちら】

本コラムでは、2023幎のWBCSDによるガむダンスによっお泚目されおいるScope4に぀いお、経緯や重芁性を解説しおいきたす。

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Scope4ずは

Scope4ずは、䌁業の事業掻動によるGHGの削枛貢献量を指したす。䌁業が新たに開発・販売した補品が、埓来の補品よりもGHG排出が少ないものであれば、その差分が削枛貢献量ずなりたす。

これたでのスコヌプScope1,2,3は、以䞋の画像のように、排出量を分類するこずが目的でした。それにより、䌁業がどれだけGHGを排出し、䞖界党䜓でのGHG排出量の割合を占めおいるか、ずいった点が明確化されおきたした。

Scope1,2,3に぀いおは、こちらのコラムをご参考ください。

しかし、䌁業が䞖界党䜓でのGHG排出量の削枛に貢献しおきたか、はあたり蚈枬されおいたせん。その点、Scope4は、排出削枛ぞの貢献に泚目する点が特城です。

※GHG 枩宀効果ガスのこず。Greenhouse Gasの略。

匊瀟䜜成

GHG排出量算定の具䜓的プロセスを知る、「Scope123の算定方法ずは」
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Scope4の経緯

Scope1,2,3の経緯

Scope1,2,3は、GHGプロトコルにお定矩づけられたした[1]。

GHGプロトコルは、囜連地球サミット埌に囜際NGOや倚囜籍䌁業によっお立ち䞊げられた䞖界経枈人䌚議WBCSDにより、2001幎に公衚された、GHG排出の算定・報告に関する囜際基準です。TCFDなどの情報開瀺枠組みに掻甚されるなど、䞖界的に信頌された基準ずなっおいたす。珟圚では、各䌁業の排出量算定や情報開瀺の参考にされおいたす。

たた、GHGプロトコルでの定矩が非垞に的確であったこずから、各囜の法制床に取り入れられおいたす。日本でも、2019幎に経枈産業省がGHGプロトコルに関するガむダンスを発衚し、その埌改定するなど、GHGプロトコルを前提ずしお情報開瀺の環境が敎えられおいたす[2]。

Scope4の議論

埓来の分類であるScope1,2,3は、䌁業によるGHG排出量に目を向けおきたした。しかし、事業が拡倧するに぀れ、GHG排出量は、事業拡倧しおいない堎合に比べお増えるこずになりたす。そのため、排出量の数倀のみに目を向けるず、事業が䞊手くいっおいる䌁業の状況を正確に把握できなくなっおしたいたす。

これでは、䌁業の気候倉動察策に察する適切な評䟡ずは蚀えたせん。そこで、䌁業の提䟛する䜎排出な補品・サヌビスによっお、本来であれば発生しおいた排出量ず実際の排出量の差を評䟡する指暙が泚目されたした。それが、Scope4ず呌ばれるものです。

2023幎3月、翌月のG7サミットに向けお、䞖界経枈人䌚議WBCSDが削枛貢献量の定矩・蚈枬・報告など、䌁業が情報開瀺等に甚いるために必芁な基準を定めた “GUIDANCE ON AVOIDED EMISSIONS” を発衚したした[3]。

たた、2023幎4月に札幌で開かれたG7気候・゚ネルギヌ・環境倧臣䌚合コミュニケの成果文曞においおも、バリュヌチェヌン党䜓でのGHG排出ネット・れロのため、「ある事業者による他の事業者の排出削枛ぞの貢献、すなわち、『削枛貢献量』を認識するこずも䟡倀がある」ずいう蚘述がされたした[4]。

[3]より、匊瀟䜜成

Scope4の必芁性は、2023幎以前から認識されおいたものの、いく぀かの問題点が指摘されおいたした。WBCSDのガむダンスにより芏範が瀺されたものの、以䞋のような点に泚意が必芁です。

  • 䌁業が生産した補品・サヌビスによる削枛貢献量を図るため、他のステヌクホルダヌによる削枛量ずダブル・カりントになっおしたうこず
  • 実際の排出量ずの比范察象ずなる基準の蚭定が困難であり、恣意的になりうるこず
  • 党䜓の排出量ずいう絶察的な評䟡ではなく、䞀定の基準ず比べた削枛貢献量ずいう盞察的な評䟡になるため、党䜓ずしおの排出削枛効果が曖昧になるこず

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Scope4削枛貢献量に関する基本原則

WBCSDのガむダンスでは、Scope4に関連しお、䌁業が意思決定においお守るべき原則Core Principlesが以䞋のように定められおいたす。たた、こういった原則に則るこずで、䞊述の批刀を回避するこずができるでしょう。

翻蚳ツヌルを甚いお、筆者蚳。

  • 䌁業の戊略が、䞖界党䜓での目暙パリ協定などや最新の気候科孊に沿ったものであるこず。
  • バリュヌチェヌン党䜓でのGHG排出量削枛を優先するこず。䌁業は、自らの補品・サヌビスによっお解決策を提䟛する堎合であっおも、Scope1,2,3の排出量を最新の気候科孊に沿っお削枛するこずなく、削枛貢献量ずしお䞻匵しおはいけない。
  • Scope1,2,3ずScope4を分けお報告するこず。GHG排出むンベントリの盞殺に削枛貢献量を䜿甚しおはならない。削枛貢献量は、オフセット請求やカヌボンクレゞットからも分離しなければばならない。
  • 解決策の長期的な実行可胜性を重芖するこず。炭玠集玄型の資産を固定化させず、1.5℃目暙などず矛盟しおはいけない。
  • GHGプロトコルの䌚蚈原則に基づき、GHG排出量の報告を向䞊させるこず。

䌁業にずっおのScope4の重芁性

削枛ぞの貢献を最倧化する解決策の優先床向䞊

近幎の脱炭玠化の朮流では、䌁業内にサステナビリティ郚門を蚭眮するこずで、䌁業内やバリュヌチェヌン内の脱炭玠化が重芖されおきたした。しかし、気候倉動察策ずしお本質的に求められおいるのは、䌁業に限らない瀟䌚党䜓の脱炭玠化です。

そこでは、補品やサヌビスずいう圢で、脱炭玠化のための解決策を提䟛するこずが䌁業のミッションずなりたす。そのため、Scope4の芳点を持ちながら、䌁業での意思決定を行うこずが重芁です。具䜓的には、垂堎戊略の構築、ポヌトフォリオの遞択、連携䌁業の遞択などで、Scope4の芳点を持぀べきだず蚀えたす。

むノベヌションやビゞネスモデル改革のキッカケ

瀟䌚党䜓での排出削枛ぞの貢献を瀺すScope4を認識するこずで、䌁業による技術開発や新たな仕組み䜜りが加速する可胜性がありたす。排出削枛ぞの貢献の重芁性が瀟員の間で認識されるこずのむンパクトには、非垞に倧きなものがあるでしょう。

瀟䌚における削枛ぞの貢献の可芖化

これたでは、Scope1,2,3により、䌁業による排出削枛ぞの貢献よりも、気候倉動の原因ずしおの偎面が匷調されおきたした。

䌁業は、倧量のGHGを排出するこずで、気候倉動の原因ずなっおいる偎面がある䞀方、瀟䌚の実働郚ずしお、解決策を提䟛する圹割を担っおいたす。

そういった偎面をアピヌルするこずで、自瀟のカヌボンニュヌトラルぞの取り組みを具䜓的に䌝えるこずができたす。

サステナビリティ報告の差別化

サステナビリティに関する情報開瀺においおは、圢匏的か぀受動的な印象を䞎える報告曞が少なくありたせん。

しかし、自瀟事業の䞀環ずしお、カヌボンニュヌトラルぞの解決策を胜動的に提䟛するずいうメッセヌゞを瀺すこずで、自瀟の持続性やESGぞの察応を広報できたす。

たずめ

Scope4ずは、䌁業の䜎排出な補品・サヌビスの提䟛による瀟䌚党䜓でのGHG排出削枛ぞの貢献量を指したす。これたでのスコヌプずは異なり、䌁業によるGHG排出削枛ぞの貢献を匷調する点が特城です。

䌁業は、自瀟による削枛貢献量を積極的に広報するこずで、䌁業䟡倀を高めるこずができたす。瀟䌚党䜓での排出削枛ぞの貢献を、自瀟の圹割ずしお認識するこずで、むノベヌションや新たなビゞネスモデルの開拓に぀なげるこずができるでしょう。

削枛貢献量

参考文献

[1]Greenhouse Gas Protocol “About Us”最終閲芧2024幎4月25日
<https://ghgprotocol.org/about-us>
[2]経枈産業省2019「囜際的な気候倉動むニシアティブぞの察応に関するガむダンス 日本䌁業によるスコヌプ 2 ガむダンスぞの察応」
<https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/international_initiative/pdf/003_03_00.pdf>
[3]WBCSD(2023) “GUIDANCE ON AVOIDED EMISSIONS”
<https://www.wbcsd.org/contentwbc/download/15909/229494/1>
[4]環境省2023「気候・゚ネルギヌ・環境倧臣䌚合コミュニケ【日本語蚳暫定仮蚳】 <https://www.env.go.jp/content/000163420.pdf>

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Author

  • 冚氞培平

    倧孊生。気候倉動に぀いお公平性の芳点から問題意識を持ち、孊生団䜓で掻動。䞭倮省庁ぞのアドボカシヌなどを行う。民䞻的意思決定や気候倉動政策の圚り方ぞ関心を持぀。倧孊では公共政策孊を専攻する。

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