Last Updated on 2024年11月20日 by HaidarAli

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企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方の中には

「コアカーボン原則について詳しく知りたい。」
「ICVCM(ボランタリーカーボン市場整合性協議会)について知りたい。」
「カーボンコア10原則と追加属性について知りたい。」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
当記事ではこのような悩みを解決していきます。
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

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コアカーボン原則とは

コアカーボン原則(Core Carbon Principles, CCPs)とは、カーボンオフセット市場における信頼性と透明性を確保するための基準やガイドラインのことを指します。これらの原則は、カーボンオフセットプロジェクトが効果的かつ信頼できるものであることを保証するために設けられています。

参考文献:電力中央研究所「カーボンクレジットの活用に関する動向と課題

コアカーボン原則が注目される理由

世界では、2100年を迎えるまでに地球の気温が2.6℃上がることが懸念されており、パリ協定により制定された「産業革命以前と比較し、世界における平均気温の上昇を1.5℃に抑える」という国際目標の実現に際して、現在排出している温室効果ガスを少しでも早く減らすことが必要です。

スピーディーに対応するためには、これまでのカーボンクレジットと比べ、より高いレベルのカーボンクレジット要件が求められ、信頼性のより高いコアカーボン原則に投資することにより、温室効果ガス排出量をさらに削減できる効果が期待できます。

また、コアカーボン原則が作成された理由には、「グリーンウォッシュ」が世界で大きな問題となっていることもあります。
グリーンウォッシュは、地球環境対策を実施しているように見えるものの、実際には実態が伴っていない、見せかけの環境対策です。

近年、世界中で積極的に環境対策に取り組むことが求められている中で、グリーンウォッシュ問題も増えています。
グリーンウォッシュは、商品やサービスを利用する人に不信感を与えてしまうだけでなく、環境対策も遅れてしまうため、利用者は見せかけではなく本物の環境対策か見極めることが大切です。

参考文献:INTEGRITYCOUNCIL「コアカーボン原則

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ICVCM(ボランタリーカーボン市場整合性協議会)とは

ICVCMは、the Integrity Council for the Voluntary Carbon Market(ボランタリーカーボン市場整合性評議会)という組織の略称です。

2020年秋に自主的炭素市場を効果的かつ効率的に拡大することを目的にTSVCM(Taskforce on Scaling Voluntary Carbon Markets:自主的炭素市場の拡大に関するタスクフォース)が設立され、そこから2021年秋にTSVCMが創設した民間団体です。

ICVCMでは、以下3つの使命が掲げられています。

  • コア・カーボン原則に準拠した炭素クレジットプログラムの評価・ラベリング
  • VCMの実務者、政府、規制当局、先住民、地域コミュニティなど、市場関係者の管理、監督
  • 自主炭素市場を成長させるためのロードマップ策定、ベストプラクティスの提供

参考文献:INTEGRITYCOUNCIL「ICVCM

カーボンコア10原則

ICVCMでは、カーボンクレジットの安定と品質向上を目的に掲げ、カーボンクレジットにおける認証基準を表した10の原則を公表しています。

大きく分けてガバナンス・排出インパクト・持続可能な開発の3つであり、この大枠を基に評価フレームワークが定められています。

カーボンコア10原則は、以下画像の通りです。

参考文献:電力中央研究所「カーボンクレジットの活用に関する動向と課題

カーボンクレジットの認証基準

カーボンクレジットの認証基準について解説します。

ガバナンス

ガバナンス要素は、「堅牢な独立した第三者による検証と検証」「トラッキング」「透明性」「効果的なガバナンス」の4つです。

カーボンクレジットにおける取り組みでは、透明性やクレジット品質の保持、継続的改善、説明責任において効果的に管理し、そのクレジット情報を誰でも見れるようにしています。

また、クレジットや緩和活動を特定、追跡、記録を明確にした運用が理想であり、これらを管理する上で、第三者の検証を通じた適正管理が求められます。

参考文献:INTEGRITYCOUNCIL「コアカーボン原則

排出インパクト

温室効果ガスの排出量が及ぼす影響は、主に「永続性」「追加性」「二重カウントの禁止」「排出削減量・排出量の定量化」の4つです。

温室効果ガスの排出削減量および除去量に関しては、指定された方法により定量化し、二重カウントしないことが原則となっています。

また、カーボンクレジット収入を生む前提で、温室効果ガスの排出量削減と除去効果が追加で生まれるのが理想であり、温室効果ガスの排出量を削減するための取り組みで、何かしらのリスクが発生した際には、そのリスクに対応し、長期的に排出量を削減するための取り組みを進める必要があります。

参考文献:INTEGRITYCOUNCIL「コアカーボン原則

持続可能な開発

サステナビリティ要素は、「持続可能な開発の利益と保障措置」「ネットゼロ移行への貢献」の2つです。

このサステナビリティ要素の2点は、コアカーボン原則以前の基準には含まれていなかった要件となっています。

緩和活動(コアカーボン原則に準拠したプログラムの運用にまつわる取り組み)の目的は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること、持続可能な開発に対しプラスの効果を生み、社会と環境を保護し続けることです。

参考文献:INTEGRITYCOUNCIL「コアカーボン原則

カーボンコア10原則の追加属性

コアカーボン原則では、前述した10原則に加え、以下3つの追加属性が定められています。

  • パリ協定6条に沿いホスト国認証の有無
  • 適応するためにかかる費用(気候適応対策で収益もしくは発行量における一部を国などに寄付する)
  • 定量化したSDGs関連のインパクト(Goal13を除くSDGsに貢献)

現段階においては自主的な情報提供に位置付けられています。

参考文献:住友商事株式会社「炭素クレジットを取り巻く世界の情勢~食と農林水産業から生まれるクレジットの可能性をさぐる~

ICVCMによる評価フレームワークとその特徴

コアカーボン原則および評価フレームワークを定めるにあたり、2023年に実施されたパブリックコメントでは、5,000件以上のパブリックコメントが集まりました。その結果、コメント後の検討で議論が紛糾したこともあり、大幅に遅れて発表されました。

ここからも分かるように、コアカーボン原則および評価フレームワーク内容に関して、課題も多く残っており、当事者全員にとって満足できる形とはいえません。

例えば、評価基準をプログラムレベルで設定する方法に関して、基準設定により、クレジットを発行する団体のクオリティ問題が残っていると考えている専門家もいますが、その一方で基準が過剰に厳しいことで、発行機関の多くが認証を受けられず、その結果、クレジット供給量が大きく減ってしまっている可能性があるという意見もあります。

また、カテゴリレベルにおける評価フレームワークでは、化石燃料などの開発に関してはカテゴリ対象外になるなど、対象のカテゴリが限られ、基準が世界で標準化された場合、ブルーカーボンなどの新分野における温室効果ガス排出量の削減が、カーボン・クレジット市場の対象外となる可能性も高いです。

さらに、認証を受けたカーボン・クレジットに関しては、そのグレードに関係なく、カーボン・クレジットで一律に扱われるため、実効性および高い効果があるものと、効果の少ないものが同じものとして扱われてしまうといった問題点があります。

このような課題に関しては、ICVCMも認識し、市場発展や科学技術進歩を考慮しながら、コアカーボン原則・評価フレームワークの改善を予定し、改善したコアカーボン原則を2025年に公表するとしています。

まとめ

コアカーボン原則とは、カーボンクレジットの創出にあたり、質の高いカーボンクレジット要件のことです。コアカーボン原則が注目される理由には、パリ協定により制定された温室効果ガス排出量削減目標が関係しています。コアカーボン原則に投資することにより、温室効果ガス排出量をさらに削減できる効果が期待されているからです。

カーボンクレジットの認証基準について理解するためには、ガバナンス・排出インパクト・持続可能な開発について理解することが大切です。
また、ICVCMによる評価フレームワークとその特徴についても抑えておく必要があります。

企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方は、コアカーボン原則の概要や注目される理由、認証基準について十分理解しておくことが大切です。

#クレジット

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参考文献

[1] 電力中央研究所「カーボンクレジットの活用に関する動向と課題
[2] INTEGRITYCOUNCIL「コアカーボン原則
[3]住友商事株式会社「炭素クレジットを取り巻く世界の情勢~食と農林水産業から生まれるクレジットの可能性をさぐる~

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Author

  • 2021年9月入社。国際経営学修士。大学在学中より国際人権NGOにて「ビジネスと人権」や「気候変動と人権」領域の活動を経験。卒業後はインフラ系研究財団へ客員研究員として参画し、気候変動適応策に関する研究へ従事する。企業と気候変動問題の関わりに強い関心を寄せ、リクロマ株式会社へ参画。

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