Last Updated on 2024年11月26日 by HaidarAli
【気候変動関連用語がまるわかり!用語集はこちら】
企業がTCFDに取組む際には、気候変動によるリスクと機会を把握し、事業や戦略、および財務への潜在的な影響を評価するシナリオ分析を行います。シナリオ分析では、不確実性や複雑性が大きく、予測が困難な将来について定性的・定量的に評価し、財務影響の算出及び、事業におけるリスクの回避と機会の活用につなげます。今回は弊社が支援させていただいた、シナリオ分析の支援事例をご紹介します。
TCFD提言の基本を理解する
⇒TCFD開示入門編:WP
シナリオ分析の概要についての記事はこちら!
⇒シナリオ分析とは?実践方法をわかりやすく解説
支援企業様
今回は、飲料業界でユニークなポジジョンを獲得されている事業をお持ちのホールディングカンパニー様の事例をご紹介します。こちらの企業様は、TCFDの開示にあたって、気候変動による財務影響の算出を行いたいと考えておられましたが、他社様からのご提案に納得感を抱くことができていませんでした。そんな折に、他社様のご紹介で弊社を知り、シナリオ分析の支援をご依頼頂きました。
当初の課題
気候変動によるリスク機会を定性的・定量的に出すことが難しい
ご依頼頂いた企業様は、気候変動に関するリスクや機会の洗い出しはすでに自社で実施されていました。しかし、リスク機会を踏まえた財務影響の算出まで自社で完結することは難しいと感じていました。また、洗い出しを行ったリスク機会について、大きな影響を及ぼす可能性のあるものや、重要な機会となりうるものについて特定をしたい、と考えていました。
―シナリオ分析における財務影響算定について詳しく知りたいご担当者様は、こちらの記事をご参照ください:シナリオ分析における「財務影響算定」とは?具体的な手順を解説〈シナリオ分析解説シリーズ〉Part3 – リクロマ株式会社
グループ会社の足並みが揃わない
ご担当者様は、グループ会社を巻き込んでいきたいと考えていましたが、足並みが揃わないことに課題を感じていました。ホールディングスとしてシナリオ分析を行う際には、グループ会社と密に連携することは、より効果的な影響評価を行う上で欠かせません。グループ会社の数が多くなるほど連携は難しくなりますが、TCFDにおけるスコープ算定等においてもグループ会社の協力は必要なものとなるため、気候変動に対応する上で、協力できる体制づくりは重要なポイントとなります。
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提案内容と納品までのプロセス
具体的な提案内容
気候変動による財務影響評価
今回ご依頼頂いた企業様は、気候変動に関するリスクと機会の洗い出しまでは自社で実施されていました。そのため、洗い出して頂いたリスク機会の財務影響評価を、定性的・定量的に算出するサポートをさせて頂きました。
TCFD開示においては、リスクと機会の影響度を金額を用いて定量的に表現することが重要です。具体的なリスクの例としては、飲料に使用する原材料の調達に関して、気温上昇によって生じる生産環境の変化が価格の高騰に及ぼす影響等を、科学的根拠をもとにご提示させて頂きました。
また、リスクの財務影響評価のみならず、環境意識層の増加やそれに対応する売上増加見込みなど、気候変動による”機会”の財務影響評価も併せてご提示させて頂きました。このように、自社で数値として出すことが難しい気候変動による潜在的な財務的影響を、弊社にて算出致しました。
グループ会社との連携
また、ご担当者様は社内全体を巻き込んで気候変動に対応していきたいと考えていました。そのため、気候関連の専門用語に関して、全員が理解しやすいような形でのご説明や資料のご提供をさせていただきました。
完成までのプロセス
今回ご依頼頂いた企業様は、リスク機会の洗い出しをあらかじめ実施されていましたので、ご依頼を頂いてから最終的な分析結果を出すまで、およそ3ヶ月の期間で支援をさせて頂きました。リスク機会の洗い出しも含めますと、通常4ヶ月ほどとなります。今回の支援の大まかな流れは、以下の通りです。
キックオフMTG
キックオフMTGでは、以下の3点について企業様との認識を合わせました。
- 財務影響算定に必要な情報の確認
- シナリオの確認(1.5度シナリオか、2度シナリオか等)
- スケジュールの概要
ミーティングには、経営企画のご担当者様1名、財務のご担当者様2名、役員1名とグループ会社のご担当者様1名が、企業様からご参加頂いておりました。
その後のやり取り
キックオフMTG後、2週間程度で、必要なデータを特定し、企業様にデータの収集をお願いします。企業様とのやり取りは、Teamsを用いたオンラインでのミーティングを2週間に1回ほどの頻度で行い、分析内容や算定方法等について確認を行いました。今回ご依頼頂いた企業様は、納得感をもって進めていくことを強く希望されていたため、ミーティングでは常にご納得頂けるまで議論を行いました。
ミーティング以外での情報共有に関しましては、Teamsやメールにて行いました。データ収集に関してご質問を頂いた際には、弊社より迅速にご回答させて頂き、スムーズにデータの収集を行っていただけました。
シナリオ分析結果のご報告
シナリオ分析が終わりましたら、分析結果をミーティングにて共有させていただきます。ミーティングにて、企業様に内容をご確認頂いた後、最終的な分析結果をまとめさせていただきます。今回は、以下の形式にて納品させて頂きました。また、その結果を最終報告会にてご説明させて頂きました。
- TCFD戦略【財務影響評価結果】(エクセル)
- TCFD戦略【財務影響評価結果】説明資料(パワーポイント)
シナリオ分析による効果
今回ご依頼頂いた企業様は、あらかじめ気候変動に関するリスク機会の洗い出しを実施されていましたが、リスク機会の財務影響評価を自社で行うことは難しいと感じていました。また、納得感をもって進めることに重点を置かれており、丁寧に議論を行いながら財務影響評価を進めていけたことにご満足を頂けました。
また社内での理解を得られるよう、経営会議で役員に理解して頂くためのご説明資料も併せてご提供させて頂きました。後日ご担当者様からは、経営会議では一定の理解を得ることができた、とのご報告を頂きました。企業様のTCFDの開示や気候変動への取組みを行う上で、一助となりましたら幸いです。
まとめ
今回は、シナリオ分析の支援事例をご紹介致しました。弊社では、TCFD開示に関する総合的な支援のみならず、シナリオ分析のみといったスポットでの支援も承っております。また支援内容は、企業様の業態や状況等に合わせて柔軟に対応させていただきます。依頼をご検討されているご担当者様は、一度お気軽にお問い合わせください。
\ TCFD提言の基本を学ぶ!/
「なぜ今TCFDが求められているのか」から、「どんなプロセスで対応していけば良いのか」
までをご理解いただけます。
【関連記事】
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リクロマの支援について
弊社はISSB(TCFD)開示、Scope1,2,3算定・削減、CDP回答、CFP算定、研修事業等を行っています。
お客様に合わせた柔軟性の高いご支援形態で、直近2年間の総合満足度は94%以上となっております。
貴社ロードマップ作成からスポット対応まで、次年度内製化へ向けたサービス設計を駆使し、幅広くご提案差し上げております。
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