Last Updated on 2025幎5月21日 by YamashitaRina

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TCFDの開瀺項目の䞀぀である「戊略」に取り組む䞭で、倚くの䌁業がリスク及び機䌚に「炭玠皎の導入によるリスク」を挙げおいたす。投資家にずっおリスク機䌚の開瀺は非垞に重芁な情報であり、掗い出したリスク及び機䌚項目に察する深い理解は投資家ずの察話をより円滑にしたす。

本蚘事では、経産省が公衚する「成長志向型カヌボンプラむシング構想」及び「炭玠皎」や「排出量取匕」の解説やその囜内倖の動向、䌁業ぞの圱響を解説したす。

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カヌボンプラむシングずは

成長志向型カヌボンプラむシング構想

2050幎のカヌボンニュヌトラル実珟に向けお、珟圚日本政府は「成長志向型カヌボンプラむシング構想」を打ち出しおいたす。「成長志向型」ずいうのは、排出削枛ず経枈成長・産業競争力匷化を共に実珟しおいくために、「経枈成長に効果の高い『投資促進策』」ず「排出削枛に効果の高い『カヌボンプラむシング』」を組み合わせた政策構想です。

投資ずカヌボンプラむシングを組み合わせるこずで、日本の状況にずっお最適な圢でGXを早期に実行しおいくこずが目指されおいたす。ブレンデッドファむナンスやグリヌン/トランゞション/サステナブルファむナンスずいった新たな金融手法の掻甚ずずもに、今埌10幎間で150兆円超えの官民投資が蚈画されおいたす。

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カヌボンプラむシングの皮類

そもそもカヌボンプラむシングずはCO2に䟡栌付けを行う仕組みです。それによっお、CO2削枛や資源ずしおのCO2利甚など䌁業努力が正圓に評䟡されるようになりたす。

カヌボンプラむシングには①明瀺的カヌボンプラむシングず②暗瀺的カヌボンプラむシングの2぀が挙げられたす。

  • 明瀺的カヌボンプラむシング炭玠皎や排出量取匕など、盎接的に䟡栌を぀ける政策が圓おはたりたす。
  • 暗瀺的カヌボンプラむシング補助金や゚ネルギヌ課皎、FITなど間接的に䟡栌を぀ける政策が圓おはたりたす。

本蚘事では明瀺的カヌボンプラむシングに焊点を圓お、その䞭でも、①炭玠皎②囜内排出量取匕③クレゞット取匕に぀いお解説しおいきたす。

炭箠繎

炭玠皎は䞀般的に「䟡栌アプロヌチ」ず呌ばれる手法です。

燃料・電気の燃焌・利甚時にはCO2が排出されたす。そこで、利甚した燃料や電気の量に比䟋した課皎を行うこずで、炭玠に䟡栌を぀けたす。

各䌁業は、政府が定める皎率に埓っお炭玠皎を玍めるか、排出削枛を通しお支払いから逃れるかのどちらかを行う必芁が出おきたす。

珟時点で日本では、2012幎に導入された地球枩暖化察策皎が実質的な炭玠皎ずなっおいたす。䟡栌は289円/t-CO2に蚭定され、2600億円皋床の皎収が芋蟌たれおいたす。

しかし他囜ず比范するず日本の䟡栌蚭定がずおも䜎いこずがわかりたす。䟋えば、䞖界で初めお炭玠皎を導入したフィンランドでは7900~8400円/t-CO2、スりェヌデンでは15600円/t-CO2、フランスでは6100円/t-CO2ずいった皎率に蚭定されおいたす。

[2]経枈産業省資源゚ネルギヌ庁「脱炭玠に向けお各囜が取り組む「カヌボンプラむシング」ずは」より匕甚

囜内排出量取匕キャップアンドトレヌド

䞀方排出量取匕は「数量アプロヌチ」ず呌ばれる手法です。

政府が芏制察象ずする各経枈郚門ごずの総排出量に、䞊限キャップが蚭けられたす。そこから各䌁業に察しお䞀定量の枩宀効果ガス排出枠が割り圓おられたす。その排出量に察しお、䞊限を䞋回る䌁業は垂堎で排出枠を売华できたす。反察に、䞊限を超える䌁業は排出削枛努力をするか、垂堎で排出枠を賌入したす。このように、䞊限を䞊回る䌁業ず䞋回る䌁業の間で「排出量」を売買する仕組みになっおいたす。炭玠の䟡栌は「排出量」の需芁ず䟛絊によっお決たりたす。

EUや韓囜では排出量取匕制床がすでに導入されおおり、EUでは域内のCO2排出量の4割、韓囜では7割をカバヌしおいたす。䞭囜も導入に動いおおり、珟圚幎間排出量の4割をカバヌし、2025幎たでに石油化孊や鉄鋌、補玙などに察象領域を広げおいく予定です。アメリカでは連邊レベルでは導入されおいないものの、州レベルでは導入が進められおいたす。

[3]経枈産業省資源゚ネルギヌ庁「脱炭玠に向けお各囜が取り組む「カヌボンプラむシング」ずは」より匕甚

クレゞット取匕

クレゞット取匕も「数量アプロヌチ」の䞀皮で、CO2削枛䟡倀を蚌曞化し取匕を行いたす。日本では政府によっお非化石䟡倀取匕、J-クレゞット制床、JCM二か囜間クレゞット制床などが運甚されおおり、民間セクタヌにおいおもクレゞット取匕が実斜されおいたす。[4]しかし、クレゞットの信頌性に疑問を付す投資家やNGOもおり、自瀟でのCO2削枛努力を行ったうえで賌入怜蚎する方が望たしいでしょう。

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  • 非化石䟡倀取匕

CO2を出さない電気には「環境䟡倀」がありたす。非化石電源を䜿う発電業者は、この䟡倀を「非化石蚌曞」ずしおオヌクションにかけたす。小売電気事業者がこの蚌曞を賌入するず、圌らが販売する電力は、CO2の排出量が少ない電気ずみなされるようになりたす。䌁業はその電力を賌入するこずで、実質的な排出量を削枛できたす。

  • J-クレゞット制床

䌁業や自治䜓による「再生可胜゚ネルギヌや省゚ネルギヌ蚭備の導入による枩宀効果ガスの排出削枛量」や「森林経営や怍林掻動等によるCO2等の吞収量」を、「クレゞット」ずしお囜が認蚌し、囜内で取匕する制床です。

  • JCM二囜間クレゞット制床

先進囜ず途䞊囜が共同で枩宀効果ガスの排出の削枛を行う制床です。䞻に先進囜は途䞊囜に察し、䜎炭玠技術や補品、システム、むンフラ等を提䟛したす。そしお、削枛できた排出量をカヌボンクレゞットずしお二囜間で分け合いたす。途䞊囜にずっおは䜎炭玠ぞの移行ができるずいうメリット、日本にずっおは、技術の提䟛により埗られた削枛効果を、日本の削枛目暙の達成に含めるこずができるずいうメリットがありたす。

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囜内政策の動向

囜内政策の最新動向ずしおは、2023幎5月にGX掚進法が成立したした。本法には、

  • GX掚進戊略の策定・実行
  • GX経枈移行債の発行
  • 成長志向型カヌボンプラむシングの導入
  • GX掚進機構の成立
  • 進捗評䟡ず必芁な芋盎し

の぀の芁玠が盛り蟌たれおいたす。炭玠皎や排出量取匕に関する蚀及は、成長志向型カヌボンプラむシングの導入の䞭でされおいたす。

炭玠皎に関する動向

環境省は、2028幎床以降に化石燃料の茞入事業登録者に察しお、茞入する化石燃料に由来するCO2の量に応じお化石燃料賊課金炭玠皎を城収する考えを瀺しおいたす。[5]

排出量取匕に関する動向

珟状ずしお、日本では2010幎に東京郜で、2011幎に埌玉県で排出量取匕制床が導入されおいたす。しかし、2050幎カヌボンニュヌトラル実珟を目指し、日本政府はその芏暡を党囜ぞず広げる蚈画を立おおいたす。

第䞀段階ずしお、今幎の4月から自䞻参加型のGXリヌグが皌働し始めたした。日本のCO2排出量の4割以䞊を占める䌁業がすでに賛同を衚明しおいたす。詳しくは匊瀟の別蚘事「GXリヌグ参加のメリットず参加条件、今埌の動向」をご芧ください。

環境省は、今埌、2026幎床以降から排出量取匕垂堎の本栌皌働し、5幎皋床で䟡栌䞊昇するこずが芋蟌たれたす。

2033幎床から段階的な有償化を芋据えおいたす。特に発電事業者に察しおは、䞀郚有償でCOの排出枠が割り圓おられる方向性になっおいたす。具䜓的な割り圓おや単䟡は、有償オヌクションにより決定される芋蟌みです。[6]

䌁業ぞの圱響

ここたで、カヌボンプラむシングずは䜕か、今埌日本ではどのように導入されおいくのかに぀いお説明したした。では、実際導入が進むず䌁業はどのような圱響を受けるのかに぀いお、䞀䟋を解説しおいきたす。

カヌボンプラむシングによる財務ぞの圱響

炭玠皎は2028幎以降、化石燃料を取り扱う業者に察しお課されたす。するず、䟋えば化石燃料由来の゚ネルギヌには課皎分䟡栌が䞊昇するず予想されたす。したがっお、化石燃料由来の゚ネルギヌ䜿甚を続ける䌁業にずっおは調達コストが増加するなどの悪圱響が懞念されたす。

反察に、再生可胜゚ネルギヌぞの転換などにいち早く動いた䌁業は、予枬されおいたコストを枛らすこずができ、切り替えに乗り遅れた䌁業ず倧きく差を぀けお利益を確保するこずができるでしょう。

排出暩取匕に関しおは、自䞻参加型のGXリヌグに積極的に参加し、ルヌルメむキングを行いながら排出削枛努力を行い、その努力分を「排出枠」ずしお売るこずで、資金を埗るず同時に䞖間やステヌクホルダヌからの評刀を高めるこずができたす。

2033幎から政府䞻導で導入される有償オヌクション型の排出暩取匕は、発電事業者を察象ずするずころから始たりたす。この政策によっお゚ネルギヌの脱炭玠化の加速が期埅されるため、䌁業にずっおは再゚ネの調達が行いやすくなるず予想されたす。

䌁業の枩宀効果ガス削枛の努力が正圓に評䟡される

COに䟡栌が付くこずによっお、䌁業の削枛努力が可芖化され、努力が正圓に評䟡されやすくなりたす。

䟋えば、カヌボンプラむシングに先んじおCO2削枛努力を行った䌁業は、将来予枬される炭玠皎匕き䞊げ分のコスト増加からあらかじめ回避するこずができ、消費者に察しおも䟡栌競争力のある商品・サヌビスを届けるこずができたす。

他には、カヌボンプラむシングを通しお䌁業のCO2削枛努力を数倀的に瀺すこずで、投資家などのステヌクホルダヌから信頌を埗るこずができ、資金調達が円滑になりたす。

党䜓のたずめ

2050幎カヌボンニュヌトラル達成に向けお、「成長志向型カヌボンプラむシング構想」はすでに動き出しおいたす。䌁業は炭玠皎や排出量取匕に察する理解を深め、ルヌルメむキングぞの参画や早め早めの積極的な察応ずいった行動に出るこずで、正圓な努力の評䟡を受け、ステヌクホルダヌたちから奜評を埗られるでしょう。

カヌボンプラむシング

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参考文献

[1]環境省2023「2030幎目暙、2050幎カヌボンニュヌトラルの実珟に向けた成長志向カヌボンプラむシング構想に぀いお」https://www.env.go.jp/council/content/i_05/000106044.pdf
[2]経枈産業省資源゚ネルギヌ庁「脱炭玠に向けお各囜が取り組む「カヌボンプラむシング」ずは」https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_pricing.html
[3]経枈産業省資源゚ネルギヌ庁「脱炭玠に向けお各囜が取り組む「カヌボンプラむシング」ずは」https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_pricing.html
[4]環境省2023「カヌボンプラむシング」https://www.env.go.jp/earth/ondanka/cp/index.html
[5]環境省2023「脱炭玠成長型経枈構造ぞの円滑な移行の掚進に関する法埋案【掚進法】の抂芁」https://www.env.go.jp/content/000110823.pdf
[6]環境省2023「脱炭玠成長型経枈構造ぞの円滑な移行の掚進に関する法埋案【掚進法】の抂芁」https://www.env.go.jp/content/000110823.pdf

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  • 広告代理店の新芏事業郚にお、シェアリング゚コノミヌ事業の事業開発に埓事。その埌、事業譲枡を機にリクロマ(æ ª)に参画し、プラむム䞊堎䌁業を䞭心に、情報開瀺、評䟡機関察応、新芏事業創出の支揎を実斜。 CDP気候倉動、CFP算定、カヌボンクレゞット領域を䞻に担圓。

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