Last Updated on 2026年10月26日 by Moe Yamazaki
人権デューデリジェンス(人権DD)で取引先の状況を厳密に把握することが目的なら、EcoVadisの総合スコアやメダルの有無だけでは判断できません。「労働と人権」の評価内容と対象組織を確かめ、自社が知りたいことに関する情報が得られるかを確認しましょう。評価結果を活用するうえで、押さえておきたい点を紹介します。
総合スコアから人権への対応をどこまで把握できるか
EcoVadisの評価結果は取引先のサステナビリティへの取り組みを知るための情報になります。ただし、人権DDで利用するときは、総合スコアが何を表しているかを理解する必要があります。
公開方法論では、環境、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達の4テーマが評価対象とされ、総合スコアは各テーマの重要度を反映した加重平均です。人権への対応を知りたい場合は、「労働と人権」の評価内容を個別に確認しましょう。[1]
メダルは4テーマを総合した評価に基づく相対的な位置を示します。そのため、メダルの有無から、個別の人権上の懸念について確認が済んでいるとは判断できません。[2]
例えば、特定の工場の労働時間を確かめたい場合、テーマスコアだけで実際の状況まで分かるとは限りません。自社が知りたいことに関する説明が、閲覧できる情報に含まれているかを確かめることが要点です。
取引拠点は評価対象に含まれているか
次に確認したいのは、評価対象の組織と、自社が取引している会社や供給拠点との関係です。グループ内にメダルを保有する会社があっても、その結果が適用される範囲には注意が必要です。
EcoVadisの公式ヘルプセンターには、メダルやバッジは評価対象の組織のみに適用されると記載されています。親会社や関連会社の評価結果が、そのまま実際の取引先にも適用されると推定することは避けましょう。[2]
また、供給拠点が評価対象に含まれていても、その拠点の個別の状況まで確認できるかは、得られた情報によります。グループ全体の方針を確認できることと、工場での実施状況が分かることには違いがあります。
会社や拠点の名前が似ているという理由で判断せず、手元の評価結果がどの組織を対象としているかを確かめてください。対象範囲が分からなければ、その点が取引先への確認事項になります。
追加確認が必要かは、残る不明点から考える
人権DDで追加の情報を求めるかどうかは、目的に照らして何が分かり、何が分かっていないかを踏まえて考えます。関連する評価結果は確認の優先度を検討する際の判断材料になります。
「労働と人権」の評価が低い場合も、スコアだけで特定の拠点に人権上の問題があると断定することは避けてください。評価が高い場合にも、懸念している事項の情報が得られているかを確かめる必要があります。
このとき、情報がないことを取り組みが実施されていないことと混同しないようにしましょう。グループの人権方針は確認できても、対象工場への適用が不明であれば、そこに確認すべき点が残ります。
利用できる情報の範囲も確認が必要です。取引先の回答全文や設問別スコアを閲覧できることを前提にせず、実際に得られる情報に応じて、追加確認の要否を検討してください。
コンサルタントの視点
追加確認を検討する際は、調達部門と人権対応を担う部門が何を知りたいのかを共有することが有用です。調達部門は取引先全体の取り組みを把握したい一方、人権対応を担う部門は特定の工場の情報を必要としている場合があります。
確認したい対象や目的が異なれば、同じスコアカードを見ても、情報が足りているかどうかの判断は分かれます。取引先に資料を求める前に、自社内で認識を合わせておきましょう。
サプライヤー評価全体の進め方は「サプライヤーのサステナビリティ評価を始める前に決めること:EcoVadisを使う場合の論点も含めて」、継続的な運用は「EcoVadis バイヤー企業向け:サプライヤー管理プラットフォームの運用ガイド」で扱います。取引先の評価結果を人権DDでどう活用するか、追加確認の要否をどう考えるかでお困りの際は、リクロマにご相談いただけます。
よくある質問
EcoVadisの総合スコアが高ければ、人権DDで追加の確認は不要ですか?
いいえ、取引先の人権対応を厳密に把握することが目的なら、総合スコアやメダルの有無だけでは判断できません。「労働と人権」の評価内容から、自社が懸念する事項について何が分かるかを確かめ、追加確認の要否を検討してください。
「労働と人権」のスコアが低い取引先には、人権上の問題があるのでしょうか?
スコアが低いという理由だけで、特定の拠点に人権上の問題があるとは断定できません。評価内容と手元の情報を確認し、不明な点が残る場合は取引先への確認事項として検討しましょう。
親会社のEcoVadisメダルは、取引先である子会社にも適用されますか?
親会社のメダルは、評価対象でない子会社には適用されません。メダルは評価対象の組織のみに適用されるため、自社の取引先や供給拠点が対象に含まれるかを確かめてください。[2]
評価結果に工場の情報がなければ、人権への取り組みも実施されていないのでしょうか?
いいえ、情報がないことから、取り組みが実施されていないとは判断できません。人権方針の対象工場への適用など、自社が確かめたい事項について何が不明なのかを整理しましょう。
参考文献
[1] EcoVadis「EcoVadis Sustainability Rating: Methodology disclosure document for the public, rating users and rated items」2026年9月版。
[2] EcoVadisヘルプセンター「EcoVadisメダルとEcoVadisバッジについて」
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・提出資料の精査と、質問票への記入・添付
・結果の公開後に、次年度に向けた改善案を提案

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