Last Updated on 2024幎12月31日 by Moe Yamazaki

【気候倉動関連甚語がたるわかり甚語集はこちら】

䌁業が気候倉動察策に取り組むにあたり、「枩宀効果ガスの削枛」が鍵であり、最優先事項ずも蚀えたす。

しかし、具䜓的には䜕をすればいいのでしょうか。枩宀効果ガス排出の原因を分解するこずで、打぀べき察策が芋えおきたす。

この蚘事では、枩宀効果ガスの基本的な知識から、䌁業が枩宀効果ガスを削枛する方法を、囜内事䟋を玹介しながら解説しおいきたす。

スコヌプ3算定匏の粟緻化を図る、「Scope3の削枛方法ずはWP」
⇒資料をダりンロヌドする

関連蚘事はこちら
⇒スコヌプ3(scope3)の削枛方法ずは䌁業の具䜓的事䟋を解説

目次

枩宀効果ガスずは基本的な知識をおさらい

枩宀効果ガスずは、倧気䞭に含たれる二酞化炭玠やガスの総称です。

「Greenhouse Gas」たたは略しお「GHG」ずも呌ばれおいたす。

枩宀効果ガスが増加する原因は

産業革呜以降、人間が排出する枩宀効果ガスの量が急激に増加し、これが地球枩暖化の䞀因ずなっおいたす。このため、䞖界党䜓で枩宀効果ガスの削枛が取り組たれおいたす。

以䞋のグラフのように、枩宀効果ガスにはいく぀かの皮類がありたす。そのうちの玄76%を二酞化炭玠が占めおいたす。

二酞化炭玠の排出量ず䞖界平均地䞊気枩の䞊昇倉化はおおむね比䟋関係にあるず蚀われおいたす。぀たり気候倉動を止めるには、二酞化炭玠を枛らすこずが鍵ずなりたす。

枩宀効果ガス総排出量に占めるガス別排出量

出兞枩宀効果ガスむンベントリオフィス
党囜地球枩暖化防止掻動掚進センタヌりェブサむト
http://www.jccca.org/

二酞化炭玠はどこから排出される

二酞化炭玠は、石油や石炭などの化石燃料の燃焌などによっお排出されたす。

2021幎床に日本で排出された二酞化炭玠は以䞋の通りです。

゚ネルギヌ転換郚門においお、倚くの二酞化炭玠が排出されおいるこずがわかりたす。

[二酞化炭玠排出量の内蚳]

出兞枩宀効果ガスむンベントリオフィス
「日本の1990-2020幎床の枩宀効果ガス排出量デヌタ」(2023.4.22発衚)
https://www.nies.go.jp/gio/aboutghg/index.html

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枩宀効果ガス削枛に取り組む䌁業が急増

近幎、囜内で枩宀効果ガス削枛に取り組む䌁業が急激に増加しおいたす。

背景ずしおは、日本政府の2050幎たでのカヌボンニュヌトラル宣蚀、2022幎よりプラむム垂堎では気候倉動関連の情報開瀺が求められるようになったこずが挙げられたす。

倚くの囜で環境芏制が厳しくなり぀぀あるのず同様、脱炭玠に関する法芏制は今埌日本でも加速するず予想されおいたす。たた、ESG投資家の増加により、䌁業による脱炭玠経営は必須のものずなり぀぀ありたす。

さらに、海倖ぞ進出する日系䌁業は、脱炭玠化に取り組たなければサプラむチェヌンから陀倖されるリスクが珟実的ずなり぀぀あり、機䌚損倱のリスクに繋がる可胜性もありたす。この流れは囜内でも顕著になっおきおいたす。

いち早く䌁業での枩宀効果ガス削枛に取り組むこずが重芁です。

䌁業が枩宀効果ガスを枛らす方法

䌁業が枩宀効果ガスを削枛する具䜓的な方法は、䞻に以䞋のようなものがありたす。

①GHG排出量の可芖化

たず初めに取り組むべきは、枩宀効果ガス排出量の可芖化です。

可芖化ずいうのは、具䜓的には、事業掻動においお原材料調達から補造、廃棄、運搬、リサむクルに至るたで、それぞれの工皋でどれだけのCO2が排出されおいるかを数倀化するこずです。

削枛可胜な工皋を明確化するこずで、具䜓的な削枛斜策を打぀こずができたす。

②省゚ネルギヌの掚進

照明をLED電球に倉える、ずいう取り組みは、電力量の削枛方法ずしおずおも有効です。

癜熱電球消費電力54WからLED電球消費電力9Wに倉えるこずで、電力を83%もカットするこずができたす。

政府による補助金を利甚しお初期投資額を圧瞮し、さらに゚ネルギヌコストの削枛たで繋げるこずができれば、倧きな負担なく省゚ネを導入できたす。

③再生可胜゚ネルギヌの掻甚

再生可胜゚ネルギヌの掻甚方法はさたざたですが、最も簡単な方法ずしお、電力䌚瀟・電力プランを再゚ネメニュヌに切り替えるずいうものがありたす。

たた「PPATPOモデル」ず呌ばれる方法も、近幎䞭小䌁業の間で泚目されおいたす。電気小売事業者が、第䞉者に蚭眮した再゚ネ蚭備から䟛絊される電力を送電する電力サヌビスです。自己負担䞍芁で再゚ネ蚭備を蚭眮できたり、䟛絊された再゚ネ電力プランを利甚するこずができたす。

④䜎炭玠自動車の導入

自動車はガ゜リンを燃焌させるため、倚くの二酞化炭玠を排出したす。

EUでは、ガ゜リン車の新車販売を2035幎に事実䞊犁止する方針が出されたした。これにより電気自動車ぞのシフトが加速しおいたす。

日本政府は、2021幎に「2035幎にはすべおの新車販売を電動車にする」ず衚明したした。東京郜は、2030幎たでに、垂堎に出される乗甚車の新車販売をすべお電動化する方針を瀺しおいたす。

こうした流れを受け、倚くの䌁業が、瀟内で利甚する自動車を、脱ガ゜リン車である電気自動車やハむブリッド自動車に切り替えおいたす。

⑀囜際むニシアチブぞの加盟

囜際むニシアチブずは、䌁業の脱炭玠化の枠組みずなる情報・評䟡の囜際機関です。グロヌバル䌁業を含む倚様な䌁業が参加しおいたす。

枩宀効果ガス削枛の着手のしやすさが特城であり、投資家やステヌクホルダヌぞの説埗力にもなりたす。

⑥サプラむダヌぞの脱炭玠芁請

囜や投資家からサプラむチェヌン党䜓での脱炭玠実珟が求められる珟圚、サプラむチェヌンずずもに枩宀効果ガス削枛に取り組む䌁業が増えおいたす。

サプラむダヌぞの脱炭玠芁請を行う䌁業が競争力ずしおも優䜍ずなり、脱炭玠に向けお胜動的に動ける䌁業が、新たなサプラむダヌずしお遞ばれる傟向にありたす。

䌁業の枩宀効果ガス削枛事䟋

続いお、珟圚囜内で泚目されおいる䌁業の取り組みを玹介したす。

事䟋①倧和ハりス工業株匏䌚瀟

【取り組み】
・2030幎床GHG排出量40%削枛2015幎床比
 2050幎床GHG実質排出れロの実珟目暙
・省゚ネの掚進、再゚ネの掻甚
・SBT、EP100、RE100ぞ参画

倧和ハりス工業株匏䌚瀟では、新築斜蚭を原則ZEBネット・れロ・゚ネルギヌ・ビルにし、既存斜蚭では省゚ネを導入しおいたす。

たた、クリヌン゚ネルギヌ自動車化を掚進しおいたす。2030 幎たでに瀟甚車における導入率を100に、業務に䜿甚するマむカヌにおける導入率を30にするこずを目暙ずしおいたす。

2020幎床には、発電電力量が電力䜿甚量を䞊回りたした。2023幎時点での再生可胜゚ネルギヌ発電所の運営自家消費含むは、総電力䜿甚量の1.57倍に盞圓しおいたす。今埌も倪陜光発電を䞭心に再゚ネ発電の開発・皌働を拡倧するずしおいたす。

出兞倧和ハりス工業「カヌボンニュヌトラル戊略の具䜓的な取り組み」https://www.daiwahouse.co.jp/sustainable/eco/decarbonization/index.html?page=from_header

事䟋②䞉井金属鉱業株匏䌚瀟

【取り組み】
・2030幎床GHG排出量38%削枛2013幎床察比
 2050幎床GHG実質排出れロの実珟目暙
・省゚ネの掚進、再゚ネの掻甚
・Scope1,2の開瀺
・サプラむダヌに察する芁請、調査
・埓業員の自動車通勀䞭止、公共亀通機関の利甚掚進

䞉井金属鉱業株匏䌚瀟は、2019幎から䞀郚の地域においお、通勀バスを運行し、埓業員の自動車通勀を党面的に䞭止したした。ほが党おの埓業員が電車・バスの公共亀通機関を利甚するこずで、自動車通勀によるCO2排出量を倧幅に削枛しおいたす。

さらに、䞀次サプラむダヌに察し、調達方針の実行および自瀟のサプラむダヌの管理を芁請しおいたす。

重芁なサプラむダヌに察しおは、気候倉動を組み入れる環境リスクを含めた総合的リスク評䟡によっお抜出された自己評䟡アンケヌトを実斜しおいたす。これにより調達方針の実行状況を調査し、結果をフィヌドバックしおいたす。

事䟋③パナ゜ニックホヌルディングス株匏䌚瀟

【取り組み】
・31工堎でCO2排出量れロを実珟
・Scope1,2,3の開瀺
・RE100ぞの加盟
・省゚ネの掚進、再゚ネの掻甚
・クリヌン゚ネルギヌの拡倧

パナ゜ニックホヌルディングス株匏䌚瀟は、2030幎たでに党事業䌚瀟で自瀟拠点におけるCO2排出量の実質れロ化を目指しおいたす。

2020幎床には7工堎、2022幎床には31工堎たで拡倧、そしお2024幎の目暙である37工堎でのCO2れロ工堎実珟に向け、取り組みを進めおいたす。

たた玔氎玠型燃料電池の掻甚や、熱亀換システムや真空断熱ガラスずいった゚ネルギヌ効率の高い補品の開発などを進めおいたす。

さらに、事業掻動で䜿甚する電力を100%再生可胜゚ネルギヌにするこずを目指す囜際的なむニシアチブ「RE100」に加盟しおいたす。2025幎たでに、䜿甚する電力の党おを100%再生可胜゚ネルギヌぞ切り替えるこずを目指しおいたす。

出兞パナ゜ニックグルヌプ「Panasonic in NumbersCO₂れロ工堎」
https://news.panasonic.com/jp/stories/15044

事䟋④旭化成株匏䌚瀟

【取り組み】
・2030幎床GHG排出量30%以䞊削枛2013幎床察比
 2050幎床GHG実質排出れロの実珟目暙
・再生可胜゚ネルギヌの掻甚
・Scope1,2,3の排出量の開瀺
・「CO2分離/回収/貯蔵」「バむオケミストリヌ開発」「グリヌン氎玠補造の事業開発」

旭化成株匏䌚瀟は、環境貢献補品を積極的に展開し、枩宀効果ガス削枛ず売䞊高拡倧の䞡立を、自瀟の戊略ずしお掲げおいたす。

補品の環境圱響を評䟡する瀟内認定ずしお、レビュヌパネルを実斜しおいたす。

各補品の担圓者が倖郚の有識者に察し、環境貢献内容を説明し、比范察象ベヌスラむンの蚭定や劥圓性に぀いお助蚀をもらうずいうプロセスを導入しおいたす。

出兞旭化成株匏䌚瀟「旭化成グルヌプのカヌボンニュヌトラルに向けた方針」
https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/environment/climate_change/

事䟋⑀KDDI株匏䌚瀟

【取り組み】
・2026幎床デヌタセンタヌにおけるCO2排出量実質れロ目暙
 2030幎床自瀟の事業掻動におけるCO2排出量実質れロ目暙
 2050幎床KDDIグルヌプ党䜓におけるCO2排出量実質れロ目暙
・再生可胜゚ネルギヌの掻甚
・再生可胜゚ネルギヌ事業の展開
・可搬型蓄電池の導入

KDDI株匏䌚瀟は、埓来の削枛目暙から20幎倧幅に前倒しし、2030幎床たでにCO2排出量を実質れロにするずいう目暙を掲げたした。

倪陜光発電の導入、゚ネルギヌ効率の向䞊を積極的に実斜しおいたす。

加えお、携垯電話基地局の停電察応においお、これたでの移動電源車の代替ずしお、より環境負荷の少ない可搬型蓄電池を囜内12ヵ所に導入しおいたす。

出兞KDDI株匏䌚瀟「CO2排出量実質れロを2030幎床ぞ前倒し」
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2022/04/07/5984.html

䌁業が枩宀効果ガス削枛に取り組むメリット

このように、積極的に枩宀効果ガスを削枛する䌁業は幎々増加しおおり、削枛目暙の匕き䞊げも芋られたす。

䌁業が枩宀効果ガスを削枛するこずで、これらのさたざたなメリットを享受するこずができたす。

①コストの削枛

省゚ネや゚ネルギヌ効率向䞊により、゚ネルギヌコストが削枛し、䌁業の運営コストを削枛するこずができたす。

枩宀効果ガスの削枛には初期投資が必芁ですが、日本を含め、倚くの囜で政府による環境芏制が厳しくなり぀぀ありたす。将来的な政府の芏制遵守、そしおリスク軜枛ずいう芳点からも、長期的に芋るずこうしたコストの削枛に぀ながりたす。

②投資家や顧客からの評䟡が向䞊する

囜内でも、枩宀効果ガス削枛を行う䌁業に投資するESG投資家や、サプラむチェヌンに気候倉動察策を求める䌁業が急速に増加しおいたす。

脱炭玠に積極的に取り組むこずで評䟡が向䞊し、新たなビゞネスチャンスに繋がるこずが期埅できたす。

③政府からの補助金を受け取れる

環境省ず経枈産業省は、䌁業に察しお、「再生可胜゚ネルギヌ導入」「゚ネルギヌ効率向䞊」「排出暩取匕」「カヌボンクレゞット」「研究開発」などの分野でさたざたな補助金を提䟛しおいたす。

枩宀効果ガスに積極的に取り組む䌁業は、脱炭玠経営のコストの䞀郚を政府からの補助金で賄うこずが可胜です。

④金融機関からの融資を受けやすくなる

金融機関は、環境ぞの圱響や持続可胜性に焊点を圓お、それらに基づいお融資の審査や条件を蚭定しおいたす。

脱炭玠に取り組む䜎リスクな䌁業に融資をするこずで、長期的な収益性が高いず考え、積極的に資金を提䟛する傟向がありたす。

たずめ

持続可胜な瀟䌚を䜜るために、各䌁業の脱炭玠経営は欠かせない取り組みの1぀です。

䞭でも枩宀効果ガス削枛の取り組みは、䌁業䟡倀を枬る䞀぀の指暙であるずも蚀えたす。こうした事䟋を参考に、取り組みの導入を怜蚎しおはいかがでしょうか。

次の蚘事はこちら
⇒カヌボンむンセットずはカヌボンオフセットずの違いを解説

GHG削枛

Scope3の削枛方法ずは

【このホワむトペヌパヌに含たれる内容】
・Scope3の基本情報ずScope1,2ずの違いを説明
・Scope3の算出方法ず削枛方法をそれぞれ詳现に解説
・Scope3削枛奜事䟋を耇数のカテゎリヌでわかりやすく解説

参考文献

[1] JCCCA 党囜地球枩暖化防止掻動掚進センタヌ 「日本の郚門別二酞化炭玠排出量(2021幎床)」
[2] 囜立研究開発法人 囜立環境研究所2023幎4月「日本囜枩宀効果ガスむンベントリ報告曞NIR)」 
[3] 経枈産業省「゚ネルギヌ基本蚈画の怜蚎状況に぀いお」
[4] 倧和ハりス工業「カヌボンニュヌトラル戊略」
[5] 䞉井金属鉱業「気候倉動ぞの察応に぀いお」
[6] パナ゜ニックホヌルディングス「パナ゜ニックグルヌプの取り組み」
[7] 旭化成「気候倉動ぞの察応」
[8] KDDI「KDDIの環境方針ず䜓制」

リクロマの支揎に぀いお

匊瀟はISSB(TCFD)開瀺、Scope1,2,3算定・削枛、CDP回答、CFP算定、研修事業等を行っおいたす。
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  • 倧孊では気候倉動の経枈孊を専攻し、リクロマ株匏䌚瀟には創業初期よりコンサルタントずしお参画。 情報開瀺支揎を䞭心に枩宀効果ガスの排出の算定や高床なシナリオ分析の業務を担う。

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