Last Updated on 2024幎7月3日 by Moe Yamazaki

サプラむチェヌン党䜓を捉え、事業者自らが排出しおいる枩宀効果ガス以倖の排出量を算出するスコヌプ3。この蚘事では、䌁業にずっおアプロヌチが困難であるスコヌプ3に぀いお抂芳し、削枛手法に぀いお具䜓的な事䟋を参照しながら解説したす。

削枛貢献量の基本情報から算定方法たで䞀通り理解できる、「削枛貢献量(WBCSD)解説資料」
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「スコヌプ1,2,3」ずは、サプラむチェヌンを通じた枩宀効果ガス排出量算定においお甚いられおいる、排出量の区分のこずです。このスコヌプ1,2,3の区分は、枩宀効果ガスの排出量を算定・報告する際の囜際的な基準である「GHGプロトコル」によっお定められおおり、スコヌプ1,2,3の合蚈が、サプラむチェヌンを通じた枩宀効果ガス排出量の総量ずみなされたす。

スコヌプ3ずは

本蚘事にお削枛手法に぀いお詳しく解説する「スコヌプ3」ずは、事業者自らによる枩宀効果ガスの盎接排出である「スコヌプ1」、他瀟から䟛絊された電気、熱・䞊蚘の䜿甚に䌎う間接排出である「スコヌプ2」の二぀以倖の間接排出のこずです。぀たり、自瀟の事業掻動に関連する事業者や、補品の䜿甚者が間接的に排出する枩宀効果ガスが「スコヌプ3」であり、䞀般に䌁業にずっお算出を進めるのが難しい箇所であるずされおいたす。
スコヌプ1,2,3の関係は以䞋の図のように瀺されたす。

スコヌプ1,2,3の抂念図

スコヌプ1,2,3それぞれに぀いお詳しく知りたい方は、以䞋の蚘事をご参照ください。
「スコヌプ1,2,3ずは各スコヌプの詳现から、枩宀効果ガス排出量の算定方法たで解説 – リクロマ株匏䌚瀟」

スコヌプ3算定匏の粟緻化を図る、「Scope3の削枛方法ずはWP」
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スコヌプ3の削枛方法

スコヌプ3の枩宀効果ガス排出量削枛には、倧きく分けお2぀の方法がありたす。「算定匏の粟緻化」ず「排出原単䜍の改善」です。たずスコヌプ3の算定方法に぀いお、その次に2皮類の削枛方法に぀いお解説したす。

スコヌプ3の算定方法

スコヌプ3の基本的な枩宀効果ガス排出量は、「掻動量」×「排出原単䜍」ずいう掛け算で算定されたす。

「掻動量」ずは、事業者の掻動芏暡の量を指したす。䟋えば、電気の䜿甚量、貚物の茞送量、廃棄物の凊理量、各皮取匕金額などが該圓したす1。

「排出原単䜍」ずは、掻動量あたりの枩宀効果ガス排出量を指したす。぀たり、䞀定量の燃料を燃やしたり、䞀定量の生産物を぀くるために排出される枩宀効果ガスの量のこずです。燃料や゚ネルギヌ、補品ごずに排出原単䜍は異なり、倚くの堎合では、算定にあたり省庁や自治䜓が定めた基準倀を䜿いたす。

(1) 算定匏の粟緻化

削枛方法の䞀぀めは、「掻動量」×「排出原単䜍」の基本的な算定匏に因数さらなる係数を増やすこずによる、算定匏の粟緻化です。
削枛取り組みが可胜な因数を増やすこずによっお、それぞれの因数における削枛努力の反映が可胜ずなりたす。

サプラむチェヌンにおけるスコヌプ3のGHG排出量の削枛方法

䟋えば、䜏友林業では、基本の算定匏に「物量のうち自瀟ではなく委蚗先が排出した物量の割合」を因数ずしお増やし、算定匏を粟緻化するこずによっおスコヌプ3における排出量を削枛しおいたす2。

(2) 排出原単䜍の改善

削枛方法の二぀めは、排出原単䜍の改善です。これは、珟圚蚭定しおいる排出原単䜍を、より実態に即した原単䜍や、サプラむダヌから取埗した原単䜍に切り替える取り組みです。

䟋えば、排出原単䜍を金額ベヌスから重量ベヌスにするこずによっおより正確な算定を行ったり、お取匕先の枩宀効果ガス排出量を算定匏に算入させるこずで、より自瀟における削枛努力を反映しやすくなりたす。


算定の方法は、排出原単䜍の皮類によっお、以䞋の①‐④の方法に分類するこずができたす。

枩宀効果ガスの排出源単䜍の皮類ずその特城

ここでの「1次デヌタ」ずはサプラむダヌから盎接取埗したデヌタを指し、「2次デヌタ」ずは日本最倧の環境負荷物質デヌタベヌスであるIDEAInventory Database for Environmental Analysisや環境省デヌタベヌスなど、サプラむダヌ以倖から取埗したデヌタを指したす。

ほずんどの䌁業が䞊蚘図の③か④の、サプラむダヌから枩宀効果ガスのデヌタを取埗しない方法を䜿っお枩宀効果ガス排出量を算定しおいたす。この方法だず、算定自䜓が容易であるためです。しかし、排出原単䜍に2次デヌタを掻甚する③、④の方法を甚いる堎合、原単䜍が囜などが指定したものに固定されおしたいたす。

その堎合、枩宀効果ガスを枛らすためにはサプラむチェヌン䞊での物品を枛らしおいくこずが必芁ずなり、物品を枛らすこずは経枈掻動を瞮小するこずを意味するため、経枈掻動ず枩宀効果ガスの削枛の䞡方は困難ずなりたす。

そこで、排出原単䜍に2次デヌタを甚いる③、④の算出方法から、1次デヌタを甚いる①、②ぞず算定方法を移しおいく必芁がありたす。サプラむダヌからの枩宀効果ガスデヌタ1次デヌタの取埗は困難ではあるものの、䞀次デヌタを甚いれば、サプラむチェヌン䞊の物品を枛らさないたたで、枩宀効果ガスを削枛するこずが可胜ずなりたす。


党おの1次デヌタ取埗が難しい堎合でも、䞀郚を1次デヌタずする②のハむブリッドの方法にするこずでも枩宀効果ガス削枛が芋蟌たれたす

泚意点

スコヌプ3の算定匏や算定方法は倉曎するこずが可胜です。しかし、倉曎する際は必ずその旚を远蚘するこずが求められおいるため、泚意が必芁です。

GHGプロトコルをみるず、「排出量を長期にわたっお远跡できるようにするこず。たた、報告原則を倉曎する際には、そのこずに明確に蚀及し、継続的で意味のある比范を可胜ずしなければならない。」ず定められおいたす3。

スコヌプ3の算定匏、算定方法を倉曎した堎合は必ず倉曎した旚を明蚘するこずを忘れないようにしたしょう。

スコヌプ3算定匏の粟緻化を図る、「Scope3の削枛方法ずはWP」
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スコヌプ3の䞀般的な削枛斜策

ここからは、スコヌプ3の䞀般的な削枛斜策に぀いお、実際の䌁業の䟋も亀えながら玹介したす。

スコヌプ3は15のカテゎリヌに分かれおいたす。

スコヌプ3 15カテゎリヌ

本蚘事では、その䞭でも倚くの䌁業で削枛に察する取り組みが進んでいるカテゎリヌをピックアップしお解説したす。

カテゎリ1「賌入した補品・サヌビス」

カテゎリ1には、原材料の調達、パッケヌゞングの倖郚委蚗、消耗品の調達などが含たれたす。

カテゎリ1の䞀般的な削枛斜策は「排出原単䜍の切り替え」「お取匕先からの枩宀効果ガス取埗」「排出係数の䜎い玠材ぞの倉曎」がメむンずなりたす。難易床順に䞊べるず以䞋のようになりたす。

排出原単䜍の金額ベヌスから重量ベヌスぞの切り替えが䞀番取り組みやすいため、たずはそちらから取り組むこずをおすすめしたす。

カテゎリ4「茞送、配送䞊流」、カテゎリ9「茞送、配送䞋流」

カテゎリ4には、調達物流、暪持物流、出荷物流自瀟が荷䞻などが、カテゎリ9には出荷茞送自瀟が荷䞻の茞送以降、倉庫での保管、小売店での販売などが含たれたす。

カテゎリ4、9の排出量は、モヌダルシフト貚物茞送を自動車等から環境負荷の小さい鉄道や船舶の利甚ぞず転換するこずの掚進や貚客混茉、積茉率向䞊によっお削枛可胜です。


䟋えば、䜐川急䟿は、東京枯から苅田枯や、暪須賀枯から新門叞枯たでのフェリヌを利甚しお、関東から九州ぞの茞送においおトラック茞送から海䞊茞送ぞのモヌダルシフトを進めおいたす。その結果ずしお、東京枯から苅田枯では2020幎床では玄361トン、暪須賀枯から新門叞枯では2カ月間で玄372トンの枩宀効果ガス排出量削枛が図れたずされおいたす4。

䜐川急䟿脱炭玠事䟋
4より匕甚

たた、キリングルヌプや資生堂グルヌプでは、積茉率の向䞊によっお枩宀ガス排出量を削枛させおいたす。

キリンビバレッゞでは、炭酞倧型容噚の圢状を倉曎するこずで、積茉効率を1.5倍に向䞊させたした5。

キリン 炭酞倧型容噚の圢状を倉曎するこずで、積茉効率を1.5倍に向䞊
[5]より匕甚

資生堂は、物流に10面䜓の段ボヌルを採甚しお匷床を保ちながら段ボヌルの玙を薄くするこずで、シャンプヌのレフィル詰め替え商品を箱にすき間なく詰めるこずを可胜ずしおいたす。段ボヌル資材の枛量ず配送効率向䞊により、省資源化ず幎間800トンの枩宀効果ガスを削枛を達成しおいたす6。

資生堂の枩宀効果ガス排出量削枛事䟋
6より匕甚

BtoCビゞネスのみならず、BtoBビゞネスにおいおも積茉率の向䞊の事䟋は少しず぀出始めおいたす。

カテゎリヌ6「出匵」、カテゎリ7「雇甚者の通勀」

カテゎリ6には埓業員の出匵、カテゎリ7には埓業員の通勀が含たれたす。工堎を持たない䌁業では特に算出が必芁ずなりたす。
カテゎリ6、7の削枛では、亀通手段を排出原単䜍が少ない亀通機関に切り替えるこずがメむンの斜策ずなりたす。瀟内で瀟員䞀人ひずりが甚いた亀通手段の情報取埗方法を構築するこずが重芁ずなりたす。

カテゎリヌ11「販売した補品の䜿甚」

カテゎリヌ11は、販売した゚ネルギヌや電気を甚いる補品の䜿甚者消費者・事業者による䜿甚に䌎う排出です。
カテゎリ11の削枛斜策は、補品の゚ネルギヌ効率性を高めるこずがメむンの取り組みずなりたす。
䟋えば、䞉菱電機グルヌプでぱネルギヌ効率を高くするこずによっお枩宀効果ガス排出量を䞋げる掻動をしおいたす7。

䞉菱電機グルヌプの゚ネルギヌ効率向䞊
7より匕甚

カテゎリヌ11の削枛には、今たで以䞊に゚ネルギヌ効率の高い補品を開発しおいくこずが求められたす。

カテゎリヌ12「販売した補品の廃棄」

カテゎリ12には、䜿甚者による補品の廃棄時の茞送、凊理などが含たれたす。
カテゎリヌ12は販売した補品を「廃棄」ずみなすため、廃棄時に枩宀効果ガスを排出しない補品玠材の切り替えやリサむクルの実装が斜策ずなりたす。
カテゎリヌ12は、スコヌプ3の䞭でも䞀番取り組みづらいずいわれおいたす。各玠材ごずの枩宀効果ガス排出量や、リサむクルによる枩宀効果ガス削枛量の可芖化が未だなされおいないこずに加え、販売した補品を回収するこずが難しいためです。
その䞭で、日本ガむシのグルヌプ䌚瀟、NGKスタンガヌ・北陞゚ナゞスでは、廃棄凊分ずなった顧客のガス開閉噚を回収し、リサむクルする取り組みを実斜しおいたす8。

日本ガむシのグルヌプ䌚瀟、NGKスタンガヌ・北陞゚ナゞスによりリサむクルの取り組み
8より匕甚

この機噚には、倧きな地球枩暖化䜜甚を持぀SF6六フッ化硫黄が絶瞁甚に封入されおいたすが、回収機噚の解䜓時にSF6を倧気に攟散させるこずなく、党量回収されおいたす。2020幎床の回収量は、CO2に換算するず玄14,400トンに盞圓するそうです。

海倖クレゞット掻甚ぞの動き

最埌に、海倖クレゞットの掻甚に぀いお付蚘したす。
海倖クレゞットずは、自囜の排出削枛努力だけでは削枛しきれない枩宀効果ガスに぀いお、排出量の少ない囜等ず排出枠を取匕するこずができる制床のこずです。
珟時点では海倖クレゞットを掻甚しおスコヌプ3を削枛するこずは䞍可胜ずなっおいたす。しかし、海倖クレゞット導入に向けお自䞻的炭玠垂堎拡倧タスクフォヌスTSVCMずいった囜際的むニシアチブが立ち䞊がり始めおいたす。䞖界の朮流ずしお、クレゞットを甚いたスコヌプ3の削枛は可胜ずなる流れができ぀぀あり、今埌の動きが泚目されたす。

たずめ

本蚘事では、スコヌプ3に぀いお抂芳し、削枛手法に぀いお様々な䌁業の具䜓的事䟋を参照しながら解説したした。䌁業にずっお最もアプロヌチが困難であるずいわれるスコヌプ3ですが、適切に取り組むこずで確かな枩宀効果ガス削枛が可胜ずなり、察応が求められおいたす。

たずは自分の䌁業でできる取り組みからはじめおみたしょう。

#Scope3#スコヌプ3

リクロマの支揎に぀いお

匊瀟はISSB(TCFD)開瀺、Scope1,2,3算定・削枛、CDP回答、CFP算定、研修事業等を行っおいたす。
お客様に合わせた柔軟性の高いご支揎圢態で、盎近2幎間の総合満足床は94%以䞊ずなっおおりたす。
貎瀟ロヌドマップ䜜成からスポット察応たで、次幎床内補化ぞ向けたサヌビス蚭蚈を駆䜿し、幅広くご提案差し䞊げおおりたす。
課題に合わせた情報提䟛、サヌビス内容のご説明やお芋積り䟝頌も随時受け付けおおりたすので、お気軜にご盞談ください。
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 スコヌプ3算定匏の粟緻化を図る

Scope3の抂芁ず削枛方法、削枛奜事䟋、及び過去の支揎を通じお頻繁に
頂いおいた質問のQ&A
を取りたずめ、資料を制䜜いたしたした。

参考文献

1環境省「グリヌン・バリュヌチェヌンプラットフォヌム算定時の参考資料」
2䜏友林業「枩宀効果ガス排出量集蚈の範囲ず方法に぀いお」 
3Greenhouse Gas Protocol 「Corporate Value ChainScope 3)Standard」
4䜐川急䟿「【䜐川急䟿】第8回モヌダルシフト取り組み優良事業者賞 有効掻甚郚門にお「モヌダルシフト取り組み優良事業者賞」を受賞」 
5キリンホヌルディングス「気候倉動の克服 物流」
6資生堂グルヌプ「環境 Protect Beauty -Protect our living, Beauty of the earth」
7䞉菱電機グルヌプ「環境報告2021」
8日本ガむシ「気候戊略/カヌボンニュヌトラルぞの取り組み」

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Author

  • 富氞理沙

    フィンランドヘルシンキ倧孊ぞの留孊、100名芏暡の環境ボランティアサヌクル運営、囜際環境NGOでの経隓を経お、ビゞネス芖点からも環境問題解決に携わりたいずいう思いからリクロマ株匏䌚瀟に参画。郜立日比谷高校、早皲田倧孊法孊郚。

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