国際会計基準(IFRS*1)財団傘下の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB*2)は、2022年3月31日、企業に対する気候リスク開示の新基準の草案を公表しました。
本草案は基本、TCFD提言の内容を基にしており、“4つの柱”と呼ばれる項目「ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標」について企業に開示を求めます。ただし本草案は、TCFD提言よりも厳格化されており、特に業種別にそれぞれ必要な開示項目が定められた点は特筆に値します。新しい基準についての詳細な解説は、こちらの記事(’22年4月末公開予定)をご覧ください。
ISSBは、2022年7月29日まで受け付けているパブリックコメントを検討した後、2022年末までに公表される見込みです。
IFRS財団は2021年11月3日、乱立したサステナビリティ関連の報告基準を統合するために、新しい基準設定委員会である国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を発表していました。
本草案は、G20や証券監督者国際機構(IOSCO)*3などから、企業によるサステナビリティ情報開示の改善の要請を受けて開発されたものです。
【補足】
*1 IFRS:International Financial Reporting Standards
*2 ISSB:International Sustainability Standards Board
*3 IOSCO:International Organization of Securities Commissions
【参考文献】
[1]IFRS(2022)“ISSB delivers proposals that create comprehensive global baseline of sustainability disclosures” https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2022/03/issb-delivers-proposals-that-create-comprehensive-global-baseline-of-sustainability-disclosures/
[2]日本経済新聞(2022)「気候対策、業種別に開示 IFRS財団が国際基準」https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59602090R00C22A4MM8000/
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