シンガポール “ESGウォッシュ”規制に向け新指針 欧米でも規制の動き活発化

シンガポールの金融当局であるMASは7月28日、「個人投資家向けのESGファンドの開示・報告ガイドライン」を策定し、2023年1月より義務を施行する方針を公表しました[1]。

同ガイドラインにより、ファンドによる“ESGウォッシュ”(ESG課題に対して実態と乖離した配慮を見せかける行為)の規制、および個人投資家のESGファンドへの理解を促す狙いです。ESGファンドは具体的に、投資戦略および投資先の選定基準、またその戦略に伴うリスクや制限などの開示が義務付けられます。

MASは2020年12月に金融機関向けの気候開示ガイドラインを策定しており[2]、2022年5月には銀行・保険会社・アセットマネージャーにおけるガイドラインの遵守状況について報告していました[3]。

なお金融庁においては、今年4月公表の資料[5]にて、ESG関連ファンドが「ESG要素を考慮している」旨の記載をしている場合に、ESG専門の部署や人材を確保することでESG投信の運用プロセスを強化するとともに、顧客の適切な投資判断を促進する目的で運用プロセスの明確な説明や開示を行うべきであるとしています(ESG関連の投資信託の数が数年で倍増 金融庁調査)。

今年5月には、ドイツ銀行がESGウォッシュを巡る疑いを受けて同資産運用部門のCEOが退任を迫られる事態に発展しました。アメリカの金融当局 SECにおいても規制案が承認される[4]など、ESGウォッシュは重要課題として受け止められ、情報開示の基準統一の動きは広がりを見せています。

【参考】
[1]Monetary Authority of Singapore(2022)“CFC 02/2022 Disclosure and Reporting Guidelines for Retail ESG Funds
[2]Monetary Authority of Singapore(2022)“Regulatory and Supervisory Approach
[3]Monetary Authority of Singapore(2022)“Information Papers on Environmental Risk Management
[4]日本経済新聞(2022年5月26日)「米SEC、ESG投資で統一基準 開示強化を提案
[5]金融庁(2022年4月)「ESG関連公募投資信託を巡る状況

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執筆者プロフィール

  • 大学在学中より、国際NGOにて気候変動や“ビジネスと人権”などESG領域の活動を経験。大学卒業後はインフラ系研究財団にて気候変動適応策に関する研究へ従事する。企業と気候変動問題の関わりに強い関心を寄せ、リクロマ株式会社へ参画。