Last Updated on 2022年9月21日 by 西家 光一
三菱重工業は、2022年9月に同社初のトランジションボンド(発行額100億円、5年債)を発行しました。資金は、水素の製造・発電までの技術を実証可能な「高砂水素パーク」の整備や、CO₂の回収・利用・貯蔵の技術であるCCUSの開発などに充てられます。
同社はエネルギー転換を成長の原動力にすべく、火力発電から水素製造・発電、CO₂の回収へと大幅な事業構造の移行を行っています。今回のトランジションボンドに関する発表は、20年(250億円)、21年(150億円)に発行したグリーンボンドが、3~4倍の需要を集めたことにより、投資家のESG債への関心の高さを実感したことをきっかけに、その以降戦略を従来の社債投資家以外にも知ってもらう機会として着手されました。
他方で、脱炭素社会の実現には、クリーンエネルギーを用いた発電や製鉄など多くのCO₂を排出する産業の排出抑制が不可欠であるといわれています。政府の見通しでは、2050年のネットゼロを目指すうえで、今後十年で官民合わせて150兆円の投資が必要となると発表しています。この目標の達成には、さらなる投資の後押しが必要であるといえるでしょう。
【参考】
三菱重工(2022年9月2日)「三菱重工、初のトランジションボンド発行条件決定のお知らせ 2040年Net Zeroを達成し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献」