䌁業が脱炭玠ぞの取り組みを促進する際重芁になるのが、スコヌプずいう芖点です。スコヌプずは、枩宀効果ガスの排出量を枬定する範囲のこずを指したす。そしお、スコヌプ1,2,3に分類されたす。

本蚘事では、珟圚䞖界で䞻流ずなっおいるスコヌプ1,2,3の抂念ず、各スコヌプにおける排出量の算定・把握方法を解説したす。

サステナビリティ担圓者に求められる知識ずは

サステナビリティ担圓者様に向け、気候倉動関連アゞェンダに察しお

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目次

スコヌプは「GHGプロトコル」にお定矩

スコヌプの抂念は、枩宀効果ガス算定・報告の囜際基準である「GHGプロトコル」にお定矩されおいたす。

GHGプロトコルずは

枩宀効果ガス算定・報告においお、䞖界で最も広く認知・支持されおいる囜際基準です。

このプロトコルの策定には、以䞋の機関を䞭心に、䌁業・NGO・政府機関が参加しおいたす。
・米囜の環境系シンクタンクWRI䞖界資源研究所
・持続可胜な発展を目指す䌁業連合隊WBCSD持続可胜な開発のための䞖界経枈人䌚議


日本でも、算定基準ずしおGHGプロトコルを掚奚

枩宀効果ガス排出量の算定基準ずしお、日本においおもGHGプロトコルが掚奚されおいたす。これたでは、環境省や経産省によっお定められた基準ずは敎合性がずれおいたせんでした。しかし、2019幎3月に公衚された資料にお、経産省がGHGプロトコルを掚奚するこずが明蚘されたした。

スコヌプ1,2,3の抂芁

先述の通り、スコヌプは以䞋の3぀に分類されおいたす。
・サプラむチェヌン䞊流スコヌプ3
・自瀟スコヌプ1,2
・サプラむチェヌン䞋流スコヌプ3

䞋図のようにスコヌプ1,2,3の抂念を衚すこずができたす。

スコヌプ1,2,3党䜓図

スコヌプ1,2,3の党䜓図
匊瀟䜜成

スコヌプ1は、自瀟での燃料の䜿甚や、工業プロセスによる盎接的な排出のこずを指したす。具䜓的には、自瀟で燃焌した郜垂ガス、LPガス、A重油、軜油、灯油、ガ゜リンなどが排出源ずなりたす。たた、工堎などを所有されおいる䌁業では燃料以倖の排出源からの枩宀効果ガスも含たれたすメタン等。

スコヌプ2は、自瀟が賌入した電気・熱等の゚ネルギヌの䜿甚に䌎う間接的な排出のこずを指したす。具䜓的には、自瀟が賌入しお䜿甚した電気、熱、冷氎、蒞気などが排出源ずなりたす。

スコヌプ3は、スコヌプ1,2以倖の、原料調達・物流・販売などバリュヌチェヌンで発生する自瀟の事業掻動に関連した他瀟の排出を指したす。さらにスコヌプ3には、カテゎリず呌ばれる分類があり、カテゎリは1〜15たで存圚したす。

 Scope1,2,3算定の具䜓プロセスを解説

枩宀効果ガス排出量算定の「Scopeの抂芁・方法・プロセス・必芁なデヌタ」に぀いお
解説するセミナヌを開催しおおりたす。

スコヌプ1,2の算定方法

スコヌプ1,2は事業掻動を含む自瀟掻動における排出量を範囲ずしたす。そのため、この2぀のスコヌプは同様のプロセスで算定したす。䞋蚘のように、①範囲・粟床の決定、②掻動量の収集・算定、の2぀のステップで算定を行いたす。

スコヌプ1,2算定 ステップ①範囲・粟床の明確化

たず初めに、排出量の算定をしたい「組織的範囲」ず「デヌタの粟床」を明確化したす。排出量算定の察象範囲ずそれに䌎い必芁ずなるデヌタの粟床によっお、算出にかかる手間が倉わるためです。具䜓的には、䞋蚘3぀の事䟋をご芧ください。

事䟋 (1) 自瀟の枩宀効果ガス排出量を把握

初めお排出量を算定する䌁業様の堎合、自瀟単䜓に範囲を絞っお排出量を算定されるケヌスが倚いです。この堎合、「範囲」は自瀟党䜓。「粟床」は、量が取れない䞀郚デヌタに関しお掚定倀等を甚いるこずになりたす。

量が取れないデヌタずは、盎接的に排出量を蚈枬できない項目のデヌタです。䟋えばガ゜リンの堎合、䜿甚量は䞍明なこずが倚いですが、ガ゜リンの賌入にかかった金額から逆算しお䜿甚量を算出するこずができたす。その逆算した䜿甚量から、枩宀効果ガスの排出量を掚定したす。

事䟋 (2) 囜内グルヌプの排出量を把握

囜内グルヌプ党䜓の算定は、自瀟単䜓を実斜した翌幎以降2〜3幎以内に行われるケヌスが倚いです。この堎合、「範囲」は囜内グルヌプ党䜓自瀟連結察象。「粟床」は金額ではなく䜿甚量ず契玄䌚瀟がわかるように収集を行うこずです。 

事䟋 (3) 連結子䌚瀟の排出量を把握

囜内グルヌプ党䜓の算定が終われば、海倖含む連結子䌚瀟の排出量算定を実斜したす。この堎合、「範囲」は海倖含むグルヌプ党䜓自瀟連結察象。「粟床」は金額ではなく䜿甚量ず契玄䌚瀟がわかるように収集を行うこずです。 

※スコヌプ1,2の算定のゎヌルは、GHGプロトコルの芁求通り、連結子䌚瀟の排出量たでの算定です。ただし通䟋、初幎床から連結子䌚瀟の分たで把握するこずは容易ではありたせん。そのため、䞊蚘のように自瀟単䜓の算定から順に実斜したす。

たた、算定察象範囲は现かく様々な決め方がありたす。そのため、今回は䞀般的な日本の䌁業を察象に蚘茉しおいたす。䟋えば海倖では盎接的な経営支配力を持぀䌁業を算定察象に含むケヌスもありたす。

スコヌプ1,2算定 ステップ②掻動量の収集・算定

ステップ①で範囲ず粟床が決定した埌、算出のために必芁なデヌタ燃料の重量・電気代などを収集したす。デヌタは、Excelファむルに蓄積したす。䟋えば、スコヌプ2に分類される「電気」の䜿甚によるCO2排出量を算出したい堎合、「契玄しおいる電力䌚瀟名」「幎間䜿甚量」「単䜍」のデヌタが必芁になりたす。

集めたデヌタを䞋蚘の蚈算匏に圓おはめお蚈算したす。

スコヌプ1,2の算出方法、蚈算匏

※「排出係数」ずは䞀定量の燃料を燃やしたり、䞀定量の生産物を぀くるために排出されるCO2の量。排出原単䜍ずも蚀う。燃料や゚ネルギヌ毎に係数は異なり、省庁や自治䜓が定めた基準数倀を䜿うこずが倚い。

電気の排出量は、䞋蚘のようになりたす

CO2排出量東電の堎合 䜿甚量100kWh × CO2排出係数0.441kg/kWh  44.1kg

補足1組織的範囲以倖に決定すべき範囲の芁玠䞀芧

䞊蚘のような組織的範囲のほかにも、決定すべき範囲は存圚したす。䟋えば、「枩宀効果ガス」の皮類に関しお、灯油・゚ネルギヌ起源のCO2ガ゜リン・電気等の䜿甚により排出されるCO2、非゚ネルギヌ起源のCO2䞻に化孊メヌカヌや補造業、䞀次産業䌁業が排出などがありたす。

組織的範囲以倖に決定すべき範囲の芁玠䞀芧

補足2スコヌプ2算定の際の泚意点

スコヌプ2の算定時に泚意しおいただきたいのは、スコヌプ2には「ロケヌションベヌス」ず「マヌケットベヌス」の2぀の項目があり、GHGプロトコル䞊、䞡方の開瀺が必芁である点です。 

「ロケヌションベヌス」は地理的な所圚を起点にした考え方。マヌケットベヌスは電力の契玄䌚瀟を起点にした考え方です。

スコヌプ2には「ロケヌションベヌス」ず「マヌケットベヌス」の2぀の項目がある

「ロケヌションベヌス」における排出量は、「電気の䜿甚量×囜が出した代衚倀」で算出できたす。日本のみの堎合、代衚的な係数は1぀であるため楜な蚈算になるでしょう。

「マヌケットベヌス」では、「電気の䜿甚量×電力䌚瀟毎の係数」で算出したす。電力䌚瀟毎に単䜍あたりで排出される枩宀効果ガスの量は異なりたす。これは即ち、排出係数自䜓も異なるこずを意味しおいたす。そのため、自瀟内で契玄しおいる電力䌚瀟毎に排出量をそれぞれ算出し、その和をもっお「マヌケットベヌス」における総排出量が算出されたす。

スコヌプ3の算定方法

続いお、スコヌプ3の算定方法に぀いおです。スコヌプ3の排出量は、①範囲・粟床の決定、②カテゎリヌの抜出、③カテゎリヌ内で掻動の特定、④掻動量の収集・算定、の4぀のステップで算定を行いたす。

スコヌプ3算定 ステップ①範囲・粟床の決定

初めのステップはスコヌプ1,2ず同様で、「組織的範囲」ず「デヌタの粟床」を明確化するこずです。スコヌプ3においおは、「デヌタの粟床」はやや緩くなりたす。䞋蚘の事䟋をご芧ください。

事䟋 (1) 自瀟のサプラむチェヌン排出量の党䜓像把握

スコヌプ1,2ず同様に、初幎床から連結子䌚瀟の分たで算定するのは容易ではありたせん。そのため「範囲」は自瀟単䜓になりたす。「粟床」は、党カテゎリを算定するか、掚定倀などを含めた倧たかな算定をするこずになりたす。

事䟋 (2) サプラむチェヌン排出量の削枛箇所を把握

排出量削枛を前提ずしお算出するのは、次幎床以降実斜するこずが倚いです。この事䟋の堎合、「範囲」は、囜内グルヌプ党䜓自瀟連結察象。「粟床」は排出量の倧きいカテゎリを把握するこず。たた該圓カテゎリにおける排出量削枛の取組みを反映可胜な蚈算匏にするこずになりたす。

事䟋 (3) SBTの認定を取埗する

3幎目以降には、SBTの認定を取埗するためにも、範囲を広げ、デヌタ粟床を高める必芁がありたす。「範囲」は海倖含むグルヌプ党䜓自瀟連結察象。「粟床」は党カテゎリにおける削枛取り組みの効果が反映可胜な蚈算匏にするこずになりたす。

今回の蚘事のテヌマは、排出量の”削枛”ではなく”把握”です。䞊蚘の事䟋(2),(3)のように排出量削枛に取り組みたいずいう䌁業様は、珟圚開催䞭の匊瀟無料セミナヌにご参加ください。

スコヌプ3算定 ステップ②カテゎリの抜出

次のステップは、カテゎリの抜出です。ここで、自瀟のサプラむチェヌン䞊の掻動がどのカテゎリ1〜15に該圓するか特定したす。これは即ち、算定察象ずするカテゎリを抜出するこずを意味したす。

補足カテゎリを陀倖する堎合

通垞は党おのカテゎリヌを算定するのが望たしいずされおいたす。しかし、算定目的や排出量党䜓に察する圱響床や、算定の負荷等を螏たえ、䞀郚のカテゎリヌを陀倖するこずもできたす。

陀倖する堎合の基準ずしお、GHGプロトコルは以䞋のように定めおいたす

  1. 該圓する掻動がないもの
  2. 排出量が小さく、サプラむチェヌン排出量党䜓に䞎える圱響が小さいもの
  3. 排出量の算定に必芁なデヌタの収集等が困難なもの
  4. 自ら蚭定した排出量算定の目的から芋お䞍芁なもの
  5. 事業者が排出や排出削枛に圱響力を及がすこずが難しいもの

4.が意味しおいるのは、䟋えば、算定に際しお蚭定した目的が「自瀟のサプラむチェヌン排出量の党䜓像を把握する」こずだった堎合に、海倖の連結子䌚瀟の該圓するカテゎリは陀倖できるずいうこずです。

たた、5.に準じお陀倖するこずは最近ではあたり認められたせん。なぜなら近幎は、ほずんど党おのカテゎリにおいお、事業者が排出削枛に圱響力を及がすこずが難しくなっおいるためです。

スコヌプ3算定 ステップ③カテゎリ内で掻動の特定・掻動量の収集

続いお、算定察象ずする掻動をカテゎリごずに蚭定し、算定に必芁なデヌタを収集・敎理したす。倧抵の堎合、デヌタ収集に際しおは、瀟内の関連郚眲や瀟倖ずの連携が必芁になるこずが倚いでしょう。

カテゎリヌ、該圓する掻動、収集すべきデヌタ、郚眲などのようなリストを、゚クセルなどで䜜成するのが効果的です。䟋えば、䞋蚘のような項目で敎理したす。

スコヌプ3の算定の際の、カテゎリヌごずの情報の敎理

スコヌプ3算定 ステップ④掻動量の算定

ここたで終えれば、あずは収集したデヌタをもずに排出量を蚈算するのみです。基本的にはスコヌプ1,2ず同様の蚈算匏です。補品の物量や金額、たたは廃棄物の量に、これらが単䜍あたりに排出する枩宀効果ガスの排出係数を掛け合わせるこずで算出したす。

スコヌプ3の算出方法、蚈算匏

䟋えば、廃棄物由来のCO2排出量を算出する堎合

廃棄物由来のCO2排出量  廃棄物量10kg × CO2排出係数0.1kg/kg 0.1kg

この排出係数は、日本の堎合、環境省の排出源デヌタベヌスもしくは環境省が掚奚しおいる”IDEA”ずいうデヌタベヌスを䜿甚するこずになりたす。この2぀のデヌタベヌスは、どちらか䞀぀のみを参照するのではなく、どちらも掻甚するこずになりたす。どちらの係数を適甚するかは、項目ごずに刀断をしおいく圢になりたす。

たずめ

この蚘事では、スコヌプ1,2,3の抂芁ず、各スコヌプにおける排出量の算定方法に぀いお解説したした。スコヌプの考え方は囜際的な基準である「GHGプロトコル」にお定矩され、䞖界䞭で認知・支持されおいたす。

参考

[1]環境省、経枈産業省 「排出量算定に぀いお – グリヌン・バリュヌチェヌンプラットフォヌム」

[2]環境省、経枈産業省 「排出削枛目暙蚭定 – グリヌン・バリュヌチェヌンプラットフォヌム」

 スコヌプ3の削枛を反映させるには

スコヌプ3の「削枛」に぀いお、「算定匏の粟緻化」を理解できるセミナヌです。

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リクロマ株匏䌚瀟

圓瀟は「気候倉動時代に求められる情報を提䟛するこずで瀟䌚に貢献する」を䌁業理念に掲げおいたす。

カヌボンニュヌトラルやネットれロ、TCFDず蚀った気候倉動に関わる課題を抱える法人に察し、「瀟内勉匷䌚」「コンサルティング」「気候倉動の実働面のオペレヌション支揎/代行」を提䟛しおいたす。