Last Updated on 2024幎8月30日 by Moe Yamazaki

【気候倉動関連甚語がたるわかり甚語集はこちら】

2022幎11月の有報開瀺必須化に䌎い、珟圚進行でTCFD察応を進めおいる担圓者様も倚いこずず存じたす。

今回の蚘事では、開瀺を目前に控え準備を進めおいる担圓者様に向けお、初幎床開瀺でどこたで察応すれば十分な開瀺であるず認識されるかに぀いお、蚘事執筆段階2023幎5月で匊瀟が考えるレベル感に぀いお解説したす。

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TCFDずは

TCFDずは、2015幎4月、気候関連の情報開瀺のガむダンス䜜成を目的に、G20の金融郚門である金融安定理事䌚によっお蚭立されたTask Force on Climate-related Financial Disclosures気候関連財務情報開瀺タスクフォヌスの略称です。このタスクフォヌスが2017幎6月に公衚した最終報告曞「TCFD提蚀」にお情報開瀺のガむダンスが公開されたこずから、「TCFD」ずいう略称がそのたた開瀺の枠組みの呌称ずしお参照されおいたす。提蚀は2021幎10月に改蚂され、文曞の䞭で開瀺の必芁性がさらに匷調されおいたす。
TCFDはSDGsに次いで投資家に重芁芖されおいるず蚀われおおり、珟圚日本のTCFD賛同機関数は1304機関にのがっおいたす。

各囜のTCFD賛同機関数
TCFDコン゜ヌシアム2023ホヌム-TCFD

TCFDに぀いお埩習したい方はこちら
⇒TCFDずはTCFDの賛同・開瀺プロセスを簡単におさらい

TCFDは4芁玠で構成される

TCFDは、気候倉動が自瀟ぞもたらす圱響に぀いおの䌁業の認識を、投資家等のステヌクホルダヌが適切に評䟡できるよう、11の開瀺芁求項目からなる4぀の開瀺事項「戊略」「リスク管理」「指暙ず目暙」「ガバナンス」に぀いお情報開瀺を求めおいたす。

「ガバナンス」では、気候関連のリスクず機䌚を適切に取り䞊げ察応する組織䜓制があるか、「戊略」では、気候関連のリスクず機䌚の事業、戊略、財務蚈画ぞの朜圚的な圱響があるかを認識し明瀺できおいるか、「リスク管理」では、気候関連のリスクに぀いお、どのように識別、評䟡、管理しおいるのか、そしお「指暙ず目暙」では、気候関連のリスクず機䌚を評䟡、及び管理する指暙を甚いお目暙を定めおいるかチェックされたす。

TCFDの4぀の開瀺掚奚項目
匊瀟ホワむトペヌパヌより抜粋

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TCFD察応の前提

TCFD開瀺党䜓を通しお求められおいるこず

こずTCFD察応においおは、珟圚たでに瀟内で察応が枈んでいるTCFD項目を開瀺をするこず、たた、察応が枈んでいない項目に぀いおは今埌取り組む意思があるこずを明瀺するこずが評䟡のポむントになりたす。

TCFD開瀺に泚目する投資家は、投資先が自瀟のリスクを把握し察応しおいるかを芋おいるこずが倚いず考えおいたす。たた、東蚌も「自瀟に必芁ず考えられる項目から順次開瀺を進めるこずで差し支えない」1ず認識しおいるように、TCFD察応は完璧な状態で開始しなければならないものではなく、察応を始めおから1〜2幎の間は䞍十分であっおも蚱容されるず考えおいたす。

そのため、党おの項目に察応しおから開瀺させようずするのではなく、途䞭であっおも、その旚を包み隠さず開瀺するこずがポむントです。同様に、開瀺事項に぀いお瀟内で怜蚎した結果ずしお顕著な圱響がないず刀明した堎合は、その旚も蚘茉するべきであるず考えおいたす。投資家や評䟡機関は、TCFD提蚀に沿っお瀟内で察応をした過皋を重芖しおいたす。
たた、察応が完了しおいるかに関わらず、開瀺を充実しおいく意思があるこずを提瀺するこずも倧事です。なぜなら投資家や評䟡機関は、開瀺されおいないず取組状況の刀断ができず、最䜎ランクの評䟡をせざるをえないためです。実際評䟡機関の倚くは、内容の質にずわず開瀺をしおいた堎合ある皋床の点数が加点されたす。

400瀟調査TCFD開瀺項目数
400瀟調査開瀺項目数 株匏䌚瀟日本取匕所グルヌプ2023

䞊蚘の調査結果のように、11項目党お開瀺しおいる䌁業も倚いですが、10項目以䞋の䌁業の方が合蚈するず倚いずいう圢になっおおりたす。

TCFDず他評䟡機関の関係性に぀いお

TCFDに察応するこずはCDPなど他評䟡機関からの評䟡向䞊に぀ながる可胜性を高めたす。詳しくはわかりやすく図で解説【TCFD/SBT/CDP/Re100/TNFDずは】をご芧ください。

プラむム䌁業の開瀺の及第点は

「ガバナンス」ず「リスク管理」に぀いお

「ガバナンス」ず「リスク管理」に関しおは、珟状どんな組織䜓が存圚し、どこで気候倉動に関する議題を扱っおいるかを開瀺するだけでも問題はないず考えおいたす。

本来求められおいる開瀺は容易ではない

「ガバナンス」においおは、取締圹䌚が気候倉動ず関係のある組織䜓ずのレポヌティングラむンを有しおいるか、「リスク管理」においおは、気候倉動に関する議題が適切に扱われおいるか、が評䟡を隔぀ポむントです。
たた、気候倉動を専門で扱う委員䌚もあるず曎なる高評䟡を芋蟌めたす。䞋図は䜏友化孊の開瀺をもずに匊瀟が䜜成した組織図ずなりたす。䜏友化孊では、サステナビリティ掚進委員䌚ずは別にカヌボンニュヌトラル察応チヌムも蚭眮されおおり、この点はGPIF幎⟊積✎⟊管理運✀独✎⟏政法⌈からも高く評䟡されおいたす。

TCFDのガバナンス・リスク管理にお求められる組織䜓制
「ガバナンス」「リスク管理」にお求められる組織䜓制
䜏友化孊4をもずに匊瀟䜜成 

 ã—かし、初幎床においおは瀟内で気候倉動察応に関する事項を適切に経営陣が執行しお取締圹䌚が監督する䜓制が取れおいるこずが重芁になりたすので、既存の組織䜓リスク管理委員䌚や経営䌚議等での察応から着実に始めるのが良いず考えられたす。

ガバナンス・リスク管理に぀いおはこちら
⇒ 気候倉動察応の組織䜓制ずは各郚眲の連携ず圹割を解説

ファンケルの開瀺䟋

以䞋は、ファンケルのリスク管理の開瀺䟋です。どこたで察応できおいお、どこたでできおいないのかを開瀺しおいるこずがポむントです。

TCFDのリスク管理䟋ファンケル
ファンケル5より 

ファンケルは、「​​リスクず機䌚は、SDGsを掚進する郚門が党瀟より抜出した内容を、経営ぞの圱響床、発生可胜性などをふたえお重芁性の識別を行い、」3ず珟状のリスク管理の状況・方法を明蚘しおいたす。その䞊で、「今埌は気候倉動圱響によっお圱響がおよぶ䞭長期の財務圱響などの定量的な分析に着手し、TCFDが掚奚する情報開瀺の圚り方に沿っお開瀺を進めたす。」3ず蚘茉し、将来的に開瀺の質向䞊に努める姿勢を明蚘しおいたす。このような開瀺方法によっお投資家からの高評䟡が期埅できたす。

理想的なガバナンス・リスク管理䜓制が敎備されおいない䌁業様においおは「珟状がどうなっおいお」「これからどう察応する予定があるのか」を開瀺するこずで、TCFD察応ずしおは䞀定皋床の評䟡を芋蟌むこずができたす。

「戊略」に぀いお

「戊略」に関する開瀺に぀いおは、自瀟のリスクず機䌚に぀いおの定性分析を開瀺するこずができれば初幎床ずしおは十分だず考えられたす。

財務的な圱響の開瀺を重芖するTCFDでは本来、定量的な開瀺が求められたす。ずりわけ「戊略」の項目では、䌁業は自瀟で掗い出したリスクず機䌚を定量的に分析し、財務圱響がどれほどあるかを開瀺するこずが芁求されたす。

しかしながらこの財務圱響分析のプロセスは煩雑であり、匊瀟の認識する限りではプラむム垂堎においおも簡易的な算定をしおいる䌁業も倚く存圚したす。

䞋蚘は、メンバヌズの戊略の蚘茉の䞀郚分です。こちらの開瀺では、リスクず機䌚を定性的に分析した䞊で、リスクに察しおの財務圱響を抂算しお蚘茉しおおりたす。

TCFDの機䌚䟋メンバヌズ
TCFDのリスク䟋メンバヌズ
メンバヌズ6より

初幎床は財務圱響を现かく算定をするこずが難しいため、このように抂算で蚘茉しおおくずいうこずができるず良いず思われたす。

本皿の執筆時2023幎6月においおは、リスクず機䌚の項目が自瀟ぞもたらす圱響に぀いお、コストや事業収益の増枛を評䟡する定性分析であっおも別段芋劣りするこずはないず考えたす。

なお、リスクず機䌚の詳现に぀いおは、「TCFD開瀺における『リスクず機䌚』ずは基本の考え方から開瀺䟋たで解説」をご芧ください。

「指暙ず目暙」に぀いお

「指暙ず目暙」に関しおは、党瀟的な範囲でスコヌプ1,2におけるGHG排出量を開瀺するこずが望たれたす。なお、初幎床に぀いおはその算定方法は掚定倀を含んだ荒い粒床でも別段問題はないず考えおいたす。

「指暙ず目暙」においおは党瀟的な範囲でスコヌプ1,2,3の開瀺するこずが理想的ではあるものの、「戊略」の財務圱響分析ず同様、スコヌプ3の算定プロセスは倧倉煩雑であるため未だここたで開瀺をしおいる䌁業様は倚くはありたせん。

決しお容易ではありたせんが、スコヌプ3の算定ができおいなくおもスコヌプ 1,2に関しお自瀟の排出量を算定枈みの䌁業様は、算定結果を開瀺するこずを掚奚したす。

以䞋がメンバヌズの䟋ずなっおおりたす。

TCFDの指暙ず目暙䟋メンバヌズ
メンバヌズ6より

たずめ

以䞊この蚘事では、TCFD開瀺を目前に控えおいる䌁業が、どこたでを開瀺すれば十分ず考えられるのかに぀いお解説したした。

TCFD提蚀ぞの察応は倚少の猶予が認められおいるため、倧䜓のプラむム䞊堎䌁業においおも未だ完璧なTCFD察応は倚くはありたせん。埓っお、自瀟の察応が十分でないずしおも、「珟圚たでに察応枈みの項目」ず、残りの項目に関しおは「これから察応しおいく意思」を蚘茉するこずができれば、盞堎から著しく離れた䜎評䟡を受けるこずはないでしょう。

#TCFD

 TCFD提蚀の基本を孊ぶ

「なぜ今TCFDが求められおいるのか」から、「どんなプロセスで察応しおいけば良いのか」
たでをご理解いただけたす。

参考文献

1TCFDコン゜ヌシアム2023ホヌム-TCFDずは https://tcfd-consortium.jp/about
2株匏䌚瀟日本取匕所グルヌプ2023TCFD提蚀に沿った情報開瀺の実態調査2022幎床https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0090/co3pgt0000006bsk-att/TCFDsurveyjp.pdf
3JPX2021「コヌポレヌトガバナンス・コヌドの補充原則③埌段の「TCFDたたはそれず同等の枠組みに基づく開瀺の質ず量の充実」の「実斜」にあたっおは、TCFD枠組みに基づく開瀺項目をすべお開瀺しなければいけたせんか。」https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge8349.html
4䜏友化孊20232022幎床統合報告曞https://www.sumitomo-chem.co.jp/ir/library/annual_report/files/docs/scr2022.pdf
5ファンケル2023「サステナビリティぞの察応ヌTCFD」https://www.fancl.jp/sustainable/environment/tcfd/index.html
6メンバヌズ2023「サステナビリティヌTCFD提蚀ぞの察応」https://www.members.co.jp/sustainability/tcfd/

リクロマの支揎に぀いお

匊瀟はISSB(TCFD)開瀺、Scope1,2,3算定・削枛、CDP回答、CFP算定、研修事業等を行っおいたす。
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Author

  • 2021幎9月入瀟。囜際経営孊修士。倧孊圚孊䞭より囜際人暩NGOにお「ビゞネスず人暩」や「気候倉動ず人暩」領域の掻動を経隓。卒業埌はむンフラ系研究財団ぞ客員研究員ずしお参画し、気候倉動適応策に関する研究ぞ埓事する。䌁業ず気候倉動問題の関わりに匷い関心を寄せ、リクロマ株匏䌚瀟ぞ参画。

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