Last Updated on 2024年4月9日 by Yuma Yasui
気候変動によるリスクの上昇により、企業にとって「TCFD」をはじめとする枠組みに沿った情報開示を進めていく必要性が高まっています。しかし、多くのイニチアチブや用語を目にし、その違いや関係性の複雑さに混乱する方も多いでしょう。本記事では、TCFDとその周辺用語(CDP、SBT、RE100、TNFD、IFRS、LCA、CFP)との関係性についてわかりやすく図でまとめ、解説いたします。
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TCFD提言はガバナンス、リスク管理、戦略、指標と目標の4要素で構成されます。
「指標と目標」における「指標」の例はScope1,2,3算定やCFPが挙げられます。指標は企業が設定した取組や目標に向けての進捗を確認できるものです。また、「目標」の例にはSBTの設定やRE100への加盟が挙げられます。
CDPは企業が開示したTCFD全体を4段階で評価します。重要なキーワードの意味と関係性を図でまとめました。
そもそもイニシアチブとはなにか
気候変動対応を進めていく中で目にする「イニシアチブ」とは、国際機関が推奨する、気候変動における企業のリスク・対策・戦略などの情報開示や目標設定などの「義務ではないが率先して行う取り組み」です。
企業はそれぞれのイニシアチブが定める基準やフレームワークに沿った開示や目標設定を行います。例えば最もメジャーな開示対応は「TCFD」という機関が定めている枠組み(TCFD提言)に沿った情報開示です。イニシアチブごとに企業が対応するポイントが変わるため、それぞれの目的をとらえる必要があります。
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各イニシアチブが求める内容とその違いとは?
主要イニシアチブを事業ごとに分類すると、4つの項目に分けることができます。
ここでは、「目的・内容・誰に」を以下の定義で使用します。
【目的】機関の目的/行動
【内容】企業が開示する内容
【誰に】誰に向けた情報開示か
気候変動がもたらすリスク/機会の開示[TCFD/TNFD/IIRC/SASB]
TCFD(TCFD提言:フレームワーク)
【目的】気候変動に関するリスクと機会の財務影響開示を企業に促す
【内容】ガバナンス/戦略/リスク管理/指標と目標から成る11項目
【誰に】投資家、金融機関
TCFD賛同について興味がある方はぜひ「TCFD賛同のメリットとは?開示との違いや、賛同の手続きをわかりやすく解説」をご覧ください。
※TCFD開示の進行状況を監督しレポーティングを出すという名目で金融安定理事会(FSB)が特設のHPを作り各国、各社の進行状況を報告書という形で報告していましたが、2023年10月に金融安定理事会(FSB)はIFRS財団に進行状況の監督を引き継ぐこととなりました。
※日本国内のTCFD開示進行状況の可視化やナレッジのシェアを行うTCFDコンソーシアムは2024年1月時点で運営をしています。
TNFD(TNFDフレームワーク)
【目的】自然環境/生物多様性に関するリスクと影響の情報開示を企業に促す
【内容】自然関連の「ガバナンス/戦略/リスク管理/指標と目標」から成る12項目(v0.3)
【誰に】投資家
IFRS財団(IFRSサステナビリティ開示基準)
【目的】
債務者の企業価値評価に影響を与える重要なサステナビリティ関連財務情報の開示を企業に要求すること
【内容】サステナビリティ関連の項目
【対象】投資者や融資者などの債務者
開示内容の評価 [CDP]
CDP
【目的】・環境に与える影響に関する情報開示を企業に促す
・企業への質問書送付と回答内容をもとにスコア付け
・投資家へスコアを提供
【内容】気候変動/フォレスト/水セキュリティに関する質問書の回答
【対象】投資者
【最新】2025年までに3つの質問書(気候変動/フォレスト/水セキュリティ)が1つに統合される予定
目標設定 [SBTi,RE100]
SBTi
【目的】
企業に対して温室効果ガス削減目標(SBT)を設定することを支援し、適合していると認められる企業に対してSBT認定を与える
【内容】削減目標設定
【対象】投資家投資家
RE100
【目的】
事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにし、温室効果ガスの削減を目指す国際的なイニシアチブ
【内容】賛同企業が加入する
【対象】投資家
環境負担の評価 [LCA,CFP]
LCA
【目的】
製品やサービスのライフサイクル(原料採掘~廃棄・リサイクル)の環境への影響を定量的に評価する
【対象】消費者、企業自身(製品やサービス環境視点での改善)
LCAの算定をご検討されている方は、「LCAとは?実践的な算定ステップから活用事例まで紹介」をぜひご覧ください。
CFP
【目的】
LCA手法をベースとしライフサイクルで排出される温室効果ガスのみの環境への影響を評価する
【対象】サプライヤー、消費者
まとめ
今回は気候変動に関する情報開示における用語を解説しました。それぞれの用語の違いを明確に理解し、目的を捉えながら開示を進めていただければと思います。
サステナビリティ担当者様にも、開示を検討/進行中の方にも、お役に立てれば幸いです。
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「なぜ今TCFDが求められているのか」から、「どんなプロセスで対応していけば良いのか」
までをご理解いただけます。
参考文献
[1] 金融安定理事会、TCFD
https://www.fsb-tcfd.org/about/
[2] TCFDコンソーシアム
#TCFD #TNFD #IIRC #SASB #CDP #SBTi #RE100 #LCA #CFP
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