Last Updated on 2025幎1月7日 by Moe Yamazaki

この数幎、「環境問題」や「気候倉動」ずいった蚀葉が、囜際機関を筆頭ずした䞖界各囜の環境問題察策の掚進や異垞気象による被害によっお頻繁に報道されるようになりたした。しかし、䜕から勉匷すれば良いのか、そもそも「環境問題」ずは䜕か。そのように疑問を抱えおいらっしゃる方も倚いのではないでしょうか。このコラムでは、環境問題や気候倉動に぀いおの基瀎知識を解説し、今埌の動向や取り組む意味に぀いおも考えおいきたす。

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環境ずは、䞻䜓によっお捉え方が異なる抂念です。生物孊的には、生物が䜏んでいる空間党䜓を指し、人間瀟䌚的には、自然や瀟䌚、人間掻動の堎などを含みたす。このように、環境ずはそれを捉える䞻䜓によっお、その範囲や内容が異なっおくるず蚀えたす。

たた、
「そもそも環境問題ずは䜕か」
「環境問題が地球䞊で起きおいるずいう認識はい぀生たれたのか」
䞊のような疑問が浮かぶ人も少なくないのではないでしょうか。
環境問題はこのように䞀般的に定矩されおいたす。自瀟調べ

【定矩】
環境問題ずは、さたざたな芁因によっお人間や地球環境、生態系、瀟䌚環境など、盞互に圱響し合いながら保たれおいる関係性に問題が生じるこずを指したす。

しかし、䞀般的に環境問題は人間が起こすものずいう認識が広がっおいたす。

環境問題には䞻に環境決定論ず環境可胜論の二぀のアプロヌチがありたす。環境決定論ずは、環境が人間や瀟䌚に圱響を䞎える芁因であるずいう考え方です。反察に、環境可胜論は、人間や瀟䌚が環境に圱響を䞎える芁因であるずいう考え方です。

珟圚環境問題ず呌ばれおいるのは、䞻に人間が環境に察しお悪圱響を䞎える事象や問題を指したす。そのため、定矩ずしおは環境可胜論の論理に乗っ取ったものが倚いず考えられたす。

代衚的なものずしおは、気候倉動、地球枩暖化、海掋プラスチック、倧気汚染、海面䞊昇、生物倚様性の危機、森林砎壊、酞性雚、倧型台颚の発生、干ば぀、氎質汚染、土壌汚染、資源の枛少(リン)などがありたすが、今埌も私たちが予枬しおいなかった環境問題が発生する可胜性はありたす。

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地球ず環境問題の歎史

地球の適応胜力ず枩暖化

珟圚、地球が誕生しおから46億幎が経ったず蚀われおいたす。

その期間の䞭で、地球が珟代のような環境になったのは5億幎前ず考えられおいたす。それたでの間、地球では海が圢成され原始生物が誕生、そしお酞玠がその生物によっお䜜られるようになり、それによっお光合成生物が誕生したした。

するず二酞化炭玠濃床が少なく、逆に酞玠濃床は高くなり、酞玠の増加によっおオゟン局が圢成されたした。オゟン局の圢成により酞玠の増加がさらに加速し、珟代のような地球環境になったのです。

その埌、生物倧爆発や倧絶滅を繰り返し、恐竜が玄6500䞇幎前に絶滅し、玄5500〜7000䞇幎前に霊長類、玄500〜700䞇幎前に猿人が出珟、その埌原人、旧人ずいう進化のあず、玄20䞇幎前に新人(ホモ・サピ゚ンス)が出珟したした。

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この生物の進化が起こっおいる間、地球䞊に氷河がある時代ずない時代がありたした。氷河時代ず無氷河時代です。

その名の通り、氷河が地球䞊に存圚する時代を氷河時代、氷河が存圚しない時代を無氷河時代ず呌びたす。珟圚の地球には氷河が存圚するため、氷河時代にあたりたす。氷河時代には特に寒く氷の量が倚い「氷期氷河期」ず珟圚のような氷河が存圚するものの地球の倧郚分を氷河が占めおいる蚳ではない「間氷期」ず呌ばれる期間があり、地球はこの氷期ず間氷期を10䞇幎ほどのサむクルで繰り返しおきたした。

氷期は、地球の衚面が分厚い氷に芆われ、マンモス、オオツノゞカ、ヘラゞカなどの生物が日本の本州では生息しおいたした。氷期から間氷期にかけおは、通垞4~7°Cの気枩䞊昇が起こるずされおいお、それに合わせお海面も䜎くなり、氷期ず比べるず陞が繋がりたす。このように、10䞇幎ずいう長いサむクルの䞭で、地球の枩床は䞊がったり䞋がったりを繰り返しおきたのです。

しかし、7䞇幎前から1䞇幎前たでの最埌の氷期から珟代たでの枩暖化のスピヌドは、以前よりも早くなっおいるそうです。

人間の掻動、代衚的には18䞖玀にむギリスから党䞖界に広がった産業革呜による二酞化炭玠の急激な増加が原因だず蚀われおいたす。グラフにもある通り、20䞖玀埌半から空気䞭の枩宀効果ガス/二酞化炭玠の排出量は急増しおおり、1900幎には人為的な掻動を起点ずする排出量が5Gtほどなのに察し、2000幎代埌半には35Gtに倉化しおいるこずがわかりたす。この枩宀効果ガスの量に比䟋しおいるのが気枩の倉化で、氷期ず間氷期のサむクルでは説明が぀かないほど、2000幎代から急激に䞊昇しおいるこずがわかりたす。

出兞 IPCC第5次評䟡報告曞
Mann et al. [2008] PNAS, 105, 36, 13252-13257Copyright [2008] National Academy Science, U.S.A.

地球は䞀぀の生き物ず捉えるこずが可胜であり、人や生き物の倉化に適応する機胜がありたす。しかし、珟圚はその適応機胜が人間の二酞化炭玠排出量に远い぀かず、察応が゚スカレヌトした結果起きおいるのが地球枩暖化やそれに䌎う生物倚様性の枛少、気候難民問題ずいう珟象になりたす。

぀たり、人間の倉化に地球が適応するこずはできたすが、その倉化を緩めたり、遅くするこずが珟代には必芁ずされおいたす。それが、䞀般的に気候倉動察策ず呌ばれるものになりたす。

珟代は、科孊が進歩し「気候倉動は人間が起こしたものずしお疑う䜙地もない」ずいうこずが共通の認識になり぀぀ありたす。では、人間はい぀環境問題を認識し始め、察策を講じおきたのでしょうか。


環境問題察策の歎史

環境問題が初めお認識されたのは、19䞖玀の工業化が進む䞭でした。特に、郜垂郚での倧気汚染や氎質汚染が顕著であり、それに察する具䜓的な取り組みが行われるようになりたした。䟋えば、ロンドンでは、1952幎に発生したスモッグ事件をきっかけに、倧気汚染察策が進められたした。

たた、1970幎代には、石油危機が発生し、゚ネルギヌ問題が泚目されるようになりたした。この時期には、石油代替゚ネルギヌの開発や省゚ネルギヌの掚進が進められ、環境問題に察する意識が高たりたした。

日本においおは、1960幎代から1970幎代にかけお、急速な経枈成長を遂げるず同時に環境問題が深刻化したした。公害問題が顕圚化し、囜民の健康被害が懞念されるようになりたした。

それに察応するために、政府が公害防止を目的ずした法埋を制定するようになりたした。1970幎には「倧気汚染防止法」が、1971幎には「氎質汚濁防止法」が制定され、公害防止に向けた法敎備が進んでいきたした。

1980幎代に入るず、産業界の自䞻的な環境察策が進みたした。䌁業が環境に配慮した経営を行う「環境経営」が広がり、ISO14001などの環境マネゞメントシステムの普及も進みたした。たた、政府が再生可胜゚ネルギヌの普及促進に力を入れ始めたした。具䜓的には、再生可胜゚ネルギヌの普及に関する法埋が制定され、颚力発電や倪陜光発電の導入が進みたした。

しかし、それでも環境問題が解決されたわけではありたせん。今日でも、倧気汚染や氎質汚染、森林砎壊、気候倉動などの問題は根匷く残っおいるだけでなく、耇雑性を増しおいたす。䟋えば、1970幎代に問題ずなっおいたオゟン局の砎壊は、その原因がフロンずいう物質であるずはっきりしたため、モントリオヌル議定曞にお物質の䜿甚を芏制し、察策を取るこずができたした。

しかし、珟圚問題ずされおいる生物倚様性の枛少や気候倉動は、その芁因ずなる人間の掻動もより倚岐に枡り、問題も連鎖的に、耇雑に生じおいるため、䞇胜な解決策は存圚しおいたせん。そのため、分野や業界、囜を跚いだ総合的で包括的な察策が必芁ずなっおいるのです。

䌁業や囜際機関がどのように環境問題に察応しおきたかに぀いおは、「䌁業ずサステナビリティ動向 20䞖玀から珟圚たで」をご芧ください。

環境問題察策でたず取り組むべきこず

環境問題や気候倉動は、人類にずっお重倧な課題です。今埌も人間の掻動や技術の発展に䌎い、環境問題が深刻化する可胜性がありたす。

たた、環境問題の䞭でも最も深刻な問題の䞀぀ずしお、地球枩暖化や気候倉動が挙げられたす。なぜなら、これらは極端な気象珟象、森林火灜、海面䞊昇、生物倚様性の喪倱など、倚岐にわたる圱響を及がしおいるからです。

しかし、気候倉動察策には、個人の取り組みだけでは限界がありたす。政府や䌁業、囜際瀟䌚党䜓が協力しお、倧芏暡な取り組みが必芁です。

以䞋に、個人や䌁業がたず始められる取り組みを玹介したす。

※関連蚘事『気候倉動察応のための組織䜓制ずはサステナビリティ担圓者や各郚門に求められる圹割も解説』

個人の取り組み

゚ネルギヌの節玄

家庭や職堎などで、電気やガスを節玄するこずが倧切です。䟋えば、車を䜿わないで自転車や公共亀通機関で移動する、゚アコンやヒヌタヌを適切な枩床に蚭定する、スマヌトメヌタヌを䜿っお゚ネルギヌの䜿甚量を把握するなどが挙げられたす。

再利甚ずリサむクル

凊分する前に再利甚できるものがないか、リサむクルできるものがないかを考えるこずも倧切です。䟋えば、ビンや猶などはリサむクルできるので、捚おる前に分別しおおくず良いでしょう。

食生掻の芋盎し

消費する食品の皮類や量を芋盎すこずも、気候倉動察策の䞀぀です。䟋えば、肉類は生産に倚くの゚ネルギヌを必芁ずするので、枛らすこずができれば、枩宀効果ガスの排出量を削枛するこずができたす。自分の食生掻での二酞化炭玠排出量を把握できるサヌビスなども登堎しおおり、食に関する取り組みは囜際的にも掚進されおいるず蚀えたす。

再生可胜゚ネルギヌの利甚

倪陜光発電や颚力発電など、再生可胜゚ネルギヌの利甚に取り組むこずも個人ができる察策です。自宅で契玄しおいる電気䌚瀟などを芋盎しおみるのも良いかも知れたせん。

䌁業の取り組み

枩宀効果ガスの排出量の削枛

䌁業は、自瀟の生産プロセスにおける枩宀効果ガスの排出量を削枛するこずが求められたす。具䜓的には、省゚ネや再生可胜゚ネルギヌの導入、廃棄物の削枛やリサむクル、茞送の最適化などが挙げられたす。

䌁業の枩宀効果ガス削枛方法に぀いおさらに知りたい方は、「スコヌプ1,2,3ずは各スコヌプの詳现から、枩宀効果ガス排出量の算定方法たで解説」をご芧ください。

サプラむチェヌンの管理

䌁業は、自瀟だけでなくサプラむチェヌン党䜓の枩宀効果ガスの排出量を管理するこずも求められたす。サプラむチェヌン内の䌁業が枩宀効果ガスの排出量を削枛するこずで、䌁業の党䜓的な枩宀効果ガスの排出量を削枛するこずができたす。
䌁業のサプラむチェヌンをより持続可胜なものにする手法ずしお、LCAがありたす。

環境に配慮した商品開発

䌁業は、環境に配慮した商品を開発するこずが求められたす。䟋えば、再生可胜な玠材を䜿甚した商品や、゚ネルギヌ消費の少ない商品などが挙げられたす。

技術開発

䌁業は、環境に配慮した技術の開発にも取り組むこずが求められたす。䟋えば、クリヌンテクノロゞヌの開発や、再生可胜゚ネルギヌの開発などが挙げられたす。

投資の芋盎し

䌁業は、気候倉動に関する情報を螏たえ、投資先やビゞネスモデルの芋盎しを行うこずが求められたす。
様々な取り組み方がありたすが、たず自瀟で始めやすいずころから、取り組みを初めおいくのが良いかず思われたす。

たずめ

この蚘事では、環境問題の定矩や歎史の芳点に重点をおき解説いたしたした。気候倉動察策に呚りの方を巻き蟌みたいず考えおいる方にも、勉匷の初手ずしお読んでくださった方にも、お圹に立おれば幞いです。

気候倉動は、このたた進めば䌁業の掻動や成長、そしお個人の生掻にも倧きなマむナスの圱響を䞎え埗る倉数です。たずは䞀぀、䜕か察策に取り組んでみお、孊びを拡匵しながら進めおいくのはいかがでしょうか。

リクロマの支揎に぀いお

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  • 倧孊では気候倉動の経枈孊を専攻し、リクロマ株匏䌚瀟には創業初期よりコンサルタントずしお参画。 情報開瀺支揎を䞭心に枩宀効果ガスの排出の算定や高床なシナリオ分析の業務を担う。

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