Last Updated on 2022年10月7日 by 西家 光一
金融を専門とする英シンクタンクのCarbon Trackerは、10月6日に公表した報告書にて、GHG排出が特に多い世界の134社のうちの98%が気候リスクの財務影響を開示していないことを指摘しました。
同報告書は、対象企業の2021年度の財務諸表にて気候リスクの影響が考慮されていないことを問題としました。これにより投資家が実態を把握できず、金融市場の効率的な機能や資本の適切な配分が妨げられると指摘しています。
また、同報告書は、多くの企業が2050年のネットゼロに整合した目標を設定しているにもかかわらず、対象企業の気候開示がいずれも2050年のネットゼロに整合していない点も指摘しました。
134社の内訳は、Climate Action 100+のエンゲージメント対象企業のうち、化石燃料、鉱業、製造業、自動車セクターの企業です。Climate Action 100+とは投資家主導のイニシアチブで、温室効果ガス排出量の多い大企業などに対して、2050年までのカーボンニュートラルの実現を要求するようなエンゲージメントを図っています。
【参考】
Carbon Tracker (2022) “Still Flying Blind: The Absence of Climate Risk in Financial Reporting”