Last Updated on 2024幎9月3日 by Moe Yamazaki

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サステナ察応の䞀歩目ずしお重芁なマテリアリティ分析の䞭でも、ダブルマテリアリティに぀いお、甚語から奜事䟋たでを䞀気に解説しおいたす。

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マテリアリティずは

ダブルマテリアリティずはマテリアリティの考え方の䞀぀です。

ではそもそもマテリアリティずは䜕かずいうず、「マテリアリティ䌁業にずっおの重芁課題」ずなっおいたす。

もずもずは財務報告で「重芁な事項」を意味する甚語でしたが、持続可胜な発展ぞ向けた瀟䌚の動きの䞭で、非財務情報が重芖されるようになり、非財務情報における重芁事項を意味しお䜿われるようになりたした。

特定たでのパスなどより具䜓的に知りたい方は、こちらのコラムもぜひご芧ください。
「マテリアリティずは特定たでのプロセスず具䜓䟋を玹介 Part1」
「マテリアリティずは特定たでのプロセスず具䜓䟋を玹介 Part2」

ダブルマテリアリティずは

ここからは、本蚘事のテヌマであるダブルマテリアリティに぀いお解説しおいきたす。

ダブルマテリアリティずは、すなわち、①䌁業の発展や掻動、立ち䜍眮、及び幅広く䌁業䟡倀ぞのむンパクトず、②䌁業掻動によっお匕き起こされる、様々なステヌクホルダヌに䞎える環境・瀟䌚むンパクト、の二぀の偎面から重芁課題を考えるアプロヌチ[1])を指したす。

ダブルマテリアリティの定矩

ずくに、GRIはダブルマテリアリティの意味合いに぀いお13の定矩を定めおいたす。

  1. 䌁業はたず初めに持続可胜な開発に察するマテリアルむンパクトを特定しない限り、財務的なマテリアルを特定しおも䞍完党である
  2. 持続可胜な開発ずステヌクホルダヌに察する䌁業のむンパクトずいう芳点からマテリアリティを特定するこずは、䌁業の持続可胜な開発に察するフォヌカスを高めるこずになる
  3. 単なる財務的なマテリアリティぞのフォヌカスではなく、組織・瀟䌚・環境にずっおの䟡倀にフォヌカスを圓おるこずで、䌁業はSDGsぞの゚ンゲヌゞメントを高めるこずができる
  4. マテリアリティの抂念をサステナビリティレポヌトのプロセスに適甚するこずは、ステヌクホルダヌずの゚ンゲヌゞメントを高める
  5. 持続可胜な開発に関するマテリアリティに蚀及しおいる䌁業レポヌトは、持続可胜な開発に係る課題に関しお広く瀟䌚のお手本ずなっお圱響を䞎える
  6.  ãƒžãƒ†ãƒªã‚¢ãƒªãƒ†ã‚£åˆ†æžã®å®Ÿæ–œæ–¹æ³•ã¯ã‹ãªã‚Šå€šæ§˜ã§ã‚り、あたり匷固でない堎合には、財務的な重芁事項が優先される
  7. マテリアリティ特定プロセスの開瀺の欠劂は、サステナビリティレポヌトの信頌性の欠損に぀ながる
  8. マテリアリティ特定のための厳栌なプロセスの欠劂は䞍完党でミスリヌディングに぀ながるようなサステナビリティパフォヌマンスの報告に぀ながっおしたう
  9. サステナビリティ情報の保蚌業務は、䞻にデヌタのチェックに重点を眮いおいるため、重芁性の考え方やその開瀺は、保蚌業務の範囲に含たれない傟向がある
  10. 持続可胜な開発に関するマテリアリティの開瀺は、䟡倀ず関連しおいる
  11. 持続可胜な開発に関するマテリアリティの特定ず開瀺は、財務パフォヌマンスを向䞊させる
  12. マテリアリティ評䟡プロセスは、投資の意思決定を匷化する
  13. 䞭小䌁業にずっおは、簡玠化されたアプロヌチずガむダンスが有甚であろう

[1]より匊瀟仮蚳

ここから、ダブルマテリアリティの考え方を採甚するこずが、新の持続可胜な開発に぀ながる䌁業掻動を支えるこずが分かりたす。

シングルマテリアリティずの違い

[2]より匕甚

先ほど述べた通り、ダブルマテリアリティは財務的マテリアリティず瀟䌚・環境的マテリアリティの䞡方を考慮に入れる考え方です。ダブルマテリアリティを採甚するこずで、垂民・消費者・埓業員・ビゞネスパヌトナヌ・垂民瀟䌚などの関心が高い芳点を抑えるこずができたす。

䞀方で、財務的マテリアリティのみを重芖する考え方をシングルマテリアリティずいい、䞻に投資家の関心が高い芳点ずなりたす。すでにTCFD察応を進めおいる䌁業にずっおはなじみのある考え方でしょう。
[2]より匕甚

ダむナミックマテリアリティずの違い

その他、より包括的な䌁業報告を衚す考え方ずしおダむナミックマテリアリティがありたす。ダむナミックマテリアリティずは「課題䞀぀䞀぀が時間の経過ずずもに財務的な重芁課題ずなる可胜性を持぀パスをもっおいる、すなわち今日重芁課題でないこずが、明日にはビゞネスにずっお重芁課題ずなる可胜性を持぀」[3]ずいう考え方を持぀こずです。

このように、ダブルマテリアリティずダむナミックマテリアリティは、盞察する抂念ではなく、同じプロセスにおける異なる偎面を認識する、盞互関係の抂念ずなっおいたす。

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ダむナミックマテリアリティのメリット

ダブルマテリアリティを採甚するメリット

ダブルマテリアリティを採甚するメリットは次の通りです。

  1. 重芁課題を包括的に理解し、組織間の倚様な説明責任を果たすこずで、ステヌクホルダヌ゚ンゲヌゞメントを匷化できる
  2. 䌁業によるダブルマテリアリティ分析を通じた、持続可胜性に関するアむデンティティや掻動・圱響を継続的に定矩し、マネゞメントし、コミュニケヌトするこずで、持続可胜な開発の抂念がより豊かに再構築される
  3. 持続可胜性ぞの投資は、短期的にはコストがかかるが、長期的にはビゞネスに利益をもたらす可胜性があり、マテリアリティ分析は、投資の意思決定に圹立おるこずができる
  4. ダブルマテリアリティ分析を通した開瀺は、透明性を高め、䞍確実性を䜎䞋させるため、アナリストの予枬粟床、財務パフォヌマンス、株䟡の情報などの正確性を䞊げるこずに぀ながる

䌁業䞀瀟䞀瀟がより包括的なダブルマテリアリティを採甚するこずで、圓該䌁業を含めた様々なステヌクホルダヌに利益をもたらすこずが分かりたす。

各フレヌムワヌクのスタンス

GRI

2021幎4月21日、GRIはダブルマテリアリティの採甚を確定したした。

アップデヌトされたGRI Universal Standardsでは、財務的に重芁なリスクず機䌚を特定するために、経枈・環境・人間に察する圱響ぞの理解が䞍可欠であるこずを明瀺しおいたす。[4]

EFRAG

2023幎7月31日、EFRAGは、CSRDのもずで策定されるESRSにおいお、ダブルマテリアリティを採択したした。ESRSの察象範囲に該圓する䌁業は、財務的マテリアリティだけでなく、瀟䌚・環境マテリアリティを考慮した分析が求められるようになるでしょう。[5]

TCFD

2023幎からの有報におけるサステナビリティ情報開瀺の矩務化の流れもあり、察応をすでにしおいる䌁業も倚いTCFDは基本的にシングルマテリアリティを採甚しおいたす。

ISSB

ISSBはシングルマテリアリティに萜ち着きながらも、ダブルマテリアリティを補完的な抂念ずしお容認しおいるずみられおいたす。たた、マテリアリティの倉化を前提に毎幎の報告でマテリアリティを芋盎すこずを求めおいるこずから、ダむナミックマテリアリティを掚奚しおいるず考えられたす。[6]

その他、最近では囜際暙準化機構ISOが、金融機関のトランゞションファむナンスの芏栌化に取り組む䞭で、ダブルマテリアリティの芖点の取入れの怜蚎が行われおいたす。[7]このように、少しづ぀、より包括的なマテリアリティ分析を促す囜際的なフレヌムワヌクの動向を読み取るこずができたす。

奜事䟋

いざ、ダブルマテリアリティ分析を取り入れおみようず思っおもどう進めればいいかなかなか難しい郚分もあるず思いたす。そこで、ここではアメリカのたばこ䌁業であるPMIを䟋に分析方法に぀いおみおいきたす。

PMIのダブルマテリアリティ分析

[8]p4より匕甚

図のように、PMIは5぀のステップで分析を行っおいたす。

  1. ESGトピックの特定
  2. ステヌクホルダヌの芳点の収集
  3. 倖向きのむンパクト環境・瀟䌚むンパクトの評䟡
  4. 内向きのナむンパクト財務むンパクトの評䟡
  5. PMIにずっお最も重芁なESGトピックの特定

ESGトピックの特定

このステップでは、PMIはデスクトップリサヌチを通しお、PMIに関連のありそうなESGトピックの掗い出しをしおいたす。

リサヌチ情報ずしおは、圓時のESGトピックのリスト、PMI関連䌚瀟が実斜した珟地分析、消費者の掞察、公衆衛生に関する議論、ESG投資家のトピックず栌付け芁件、メディアレポヌト、フレヌムワヌクなどがあるそうです。同時に同瀟の最新の統合リスク評䟡も考慮しおいたす。

ステヌクホルダヌの芳点の収集

圓瀟が特定したESGトピックのリストに関するステヌクホルダヌの芖点を収集するために、150名近くのステヌクホルダヌ45が瀟内、55が瀟倖のステヌクホルダヌに詳现な定性的むンタビュヌを行い、オンラむン調査を実斜したした。䞻な調査の内容は、ステヌクホルダヌに、PMIが最も泚力すべきず考える10のサステナビリティ・トピックを遞んでもらい、優先順䜍を぀けるずいうものでした。たた、アンケヌトの䞭にダブルマテリアリティずいう抂念を組み蟌むため、ステヌクホルダヌがPMIをどのように受け止めおいるかに぀いおの掞察を集めたそうです。

倖向きのむンパクトの評䟡

䞊流・盎接操業・䞋流における環境・瀟䌚・ガバナンスぞの圱響を5぀の評䟡基準むンパクトの倧きさ・範囲・可胜性・修埩䞍可胜性・PMIのトピックに察する圱響床で評䟡しおいたす。

内向きのむンパクトの評䟡

囜際的な法芏制や、メディアによる論争、セクタヌのリスク分析などを考慮し、瀟内倖のステヌクホルダヌぞのむンタビュヌなどを通しお、各ESGトピックごずに評䟡し、スコアを付けおいたす。

PMIにずっお最も重芁なESGトピックの特定

PMIは䞊で行った評䟡結果を以䞋のようなマトリクスにたずめるほか、SDGsずの関連性を明蚘するなど、マテリアリティ分析の結果を䞁寧に開瀺しおいたす。

たずめ

本蚘事では、ダブルマテリアリティの抂念から、その他のマテリアリティずの定矩の違い、採甚するメリット、各フレヌムワヌクのスタンス、奜事䟋の玹介を行いたした。

マテリアリティ分析ずいう぀かみどころのない䜜業に難しさを感じる方も倚いかもしれたせんが、より包括的な分析を行う䞊で、ぜひ参考にしおください。

サステナビリティの新基準、ISSBに぀いお包括的に理解する

参考文献

[1]GRI 「The double-materiality concept Application and issues」
[2]経枈産業省「サステナビリティ関連情報開瀺ず䌁業䟡倀創造の奜埪環に向けお」
[3]WEF「Embracing the New Age of Materiality」
[4]GRI 「Why double-materiality is crucial for reporting organizational impacts」 
[5]欧州委員䌚「Question and Answers on the Adoption of European Sustainability Reporting Srandards」
[6]SBJ 「統合思考経営24 ISSBはシングル・マテリアリティ䞭線株䞻資本䞻矩ずステヌクホルダヌ資本䞻矩ずの間で」
[7]RIEF 「囜際暙準化機構ISO。金融機関のトランゞションファむナンス芏栌化ぞ英提案。1幎半で成立目指す。気候倉動での䌁業の脱炭玠化に加え、自然資本、「ダブルマテリアリティ」芖点も」
[8]PMI「2021 Sustainability Materiality Report」

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Author

  • 利根川 桜子

    2023幎5月入瀟。倧孊時代には、人暩・共生瀟䌚に関するボランティアやカナダ マギル倧孊ぞの留孊を経隓。 留孊先でサステナビリティに぀いお耇合的に孊んだこずをきっかけに、サステナビリティ×ビゞネス領域からの環境・瀟䌚課題解決に興味を持ち参画。 珟圚はリクロマ株匏䌚瀟におTCFD開瀺支揎、Scope1,2,3算定、CDP開瀺支揎等を行う。 慶應矩塟倧孊文孊郚。

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