Last Updated on 2026年10月26日 by Moe Yamazaki

「労働と人権」では、安全衛生や労働条件など7つの項目について、方針、取り組み、結果の報告の3つの面が見られます。[1] そのため関係部門には、項目ごとに方針の文書、取り組みの記録、数値の報告があるかを尋ねると、依頼の理由を説明しやすくなります。

「労働と人権」で見られる7つの項目

EcoVadisの評価方法論によると、「労働と人権」のテーマには7つの項目があります。[1] 従業員の扱いに関するものとして、従業員の安全衛生、労働条件、社会的対話、キャリアマネジメントと教育の4つがあります。人権に関するものとしては、児童労働・強制労働・人身売買、差別とハラスメント、外部の利害関係者の人権の3つがあります。[1](この2つのまとまりは説明のための整理であり、公式の区分名ではありません。)

ただし、7つの項目がすべての企業に適用されるわけではありません。ヘルプセンターでは、どの項目が適用されるかは業種などによって決まると説明されています。[3] 人事部門だけでなく、安全衛生、労務、調達や地域対応の部門にも確認が必要になり得るため、まず自社の質問票でどの項目が対象になっているかを確かめましょう。

また、評価方法論では、ILO条約や国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が考慮されています。[1] 国内の法令を守っていることに加えて、国際的な枠組みに沿った方針や取り組みがあるかも見られると考えておくとよいでしょう。

関係部門に尋ねる3つのこと

評価方法論によると、EcoVadisでは、方針を定め、取り組みを実施し、結果を報告する仕組みが評価されます。[1] 関係部門から「何を出せばよいのか」と問われたときは、文書の名前ではなく、方針、取り組みの記録、数値の3つがあるかを尋ねると、依頼の意図が伝わりやすくなります。

数値については、対象となる範囲にも注意が必要です。評価方法論では、数値の報告は評価範囲の一定の割合をカバーしている必要があるとされ、従業員1,000人以上の企業では取り組みの展開範囲も見られます。[1] 一部の拠点だけの数値や記録では足りない場合があるため、部門に、数値がどの拠点を対象にしているかも確かめておきましょう。

文書には有効期間もあります。ヘルプセンターによると、方針や取り組みの文書は8年、数値の報告は2年の有効期間が設けられています。[2] 古い規程や数年前の実績しか手元にない場合は、更新されたものがあるかを部門に確かめる必要があります。

外部からの情報も評価に含まれる

評価方法論によると、提出した資料のほかに、NGO、労働組合、行政などの外部の情報も、360°ウォッチという評価指標で考慮されます。[1] 労働や人権に関して社外から指摘を受けたことがあれば、関係部門にその後の対応状況を確認しておきましょう。

なお、生活賃金については、別の記事「生活賃金ベンチマーキングのやり方:連合リビングウェイジを使う方法と、IDHが認定した手法のベンチマークを使う方法」で扱っています。

コンサルタントの視点

当社の支援経験では、資料を依頼した段階で、関係部門から次のような質問が出ることがよくあります。全社の施策でないと回答に使えないのか。一部の事業所だけで本格的に運用している安全衛生の管理を、回答に使ってよいのか。女性比率などの人事データの計算は、どこまで厳密にすべきか。こうした確認は回答作業の早い段階で必要になるため、依頼と同時に相談の窓口を決めておくと進めやすくなります。

次に読む記事

取引先の評価結果を人権デュー・ディリジェンスに使う立場からは「人権DDでEcoVadisの評価結果を使う際の確認事項」、証拠書類の集め方は「EcoVadisの証拠書類:既存の資料で何を確認すればよいか」で扱っています。「EcoVadis『倫理』テーマで確認すること」もあわせてご覧ください。自社に適用される項目ごとに、どの部門に何を確認すればよいか整理したい場合は、リクロマにご相談ください。

よくある質問

「労働と人権」で人事部以外に確認が必要な部門はありますか?

はい。適用される項目には安全衛生などが含まれるため、労務や調達などの部門も関わり得ます。適用される項目は業種などによって変わるため、自社の質問票で確かめてください。[3]

就業規則があれば方針として足りますか?

就業規則だけで足りるとは限りません。方針に加えて、取り組みの記録や数値の報告も評価の対象になるため、それぞれがそろっているかを確かめる必要があります。[1]

数年前の研修記録や事故件数の資料は使えますか?

文書の種類によって使える期間が異なります。方針や取り組みの文書は8年、数値の報告は2年の有効期間があるため、期間を過ぎた資料は更新が必要かを確かめてください。[2]

「労働と人権」の結果は取引先の人権DDに使われますか?

評価結果を使う側の確認事項は、「人権DDでEcoVadisの評価結果を使う際の確認事項」で扱っています。

参考文献

[1] EcoVadis「EcoVadis Sustainability Rating: Methodology disclosure document for the public, rating users and rated items」2026年9月版。
[2] EcoVadisヘルプセンター「証明書類について」
[3] EcoVadisヘルプセンター「質問票を理解する」

EcoVadis対応の支援

EcoVadis 回答支援

【このサービスに含まれる内容】
・質問票の内容や必要な資料についての説明(ヒアリング研修)
・提出資料の精査と、質問票への記入・添付
・結果の公開後に、次年度に向けた改善案を提案

EcoVadis 回答支援

リクロマの支援について

弊社はISSB(TCFD)開示、Scope1,2,3算定・削減、CDP回答、CFP算定、研修事業等を行っています。
お客様に合わせた柔軟性の高いご支援形態で、直近2年間の総合満足度は94%以上となっております。
貴社ロードマップ作成からスポット対応まで、次年度内製化へ向けたサービス設計を駆使し、幅広くご提案差し上げております。
課題に合わせた情報提供、サービス内容のご説明やお見積り依頼も随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
⇒お問合せフォーム

Author

  • 大学では気候変動の経済学を専攻し、リクロマ株式会社には創業初期よりコンサルタントとして参画。
    情報開示支援を中心に温室効果ガスの排出の算定や高度なシナリオ分析の業務を担う。

    View all posts