Last Updated on 2024年11月21日 by AmakoNatsuto

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企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方の中には、

「CFP(カーボンフットプリント)の基本的な概念や意味が知りたい」
「CFPが注目されている理由について知りたい」
「CFPとLCA(ライフサイクルアセスメント)の違いについて知りたい」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事ではこのような悩みを解決していきます。

記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

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CFP(カーボンフットプリント)についてより詳しく知ることができる!
カーボンフットプリント(CFP)の算定方法・目的を解説
カーボンフットプリント(CFP)の開示事例を解説

CFP(カーボンフットプリント)とは

CFPの基本的な概念や意味について理解したいと思われているサステナ担当者の方は、CFPの定義や目的、注目されている理由、LCAとの違いについて理解する必要があります。

CFPの定義

CFPは、「Carbon Footprint of Products」を略した呼び名であり、商品およびサービスの原材料を調達する工程から、廃棄やリサイクルまでの製品全体のライフサイクルを通じ排出している温室効果ガス排出量を二酸化炭素(CO2)に換算し、商品およびサービス表示する仕組みになります。

CFP(カーボンフットプリント)の概要
出典[1]:経済産業省「カーボンフットプリントガイドライン

CFPの目的

消費者と事業者間で二酸化炭素排出量を減らすための取り組みに関連した気付きを共有し、数値で可視化した情報を活用して、サプライチェーンを構成している企業間で協力し、事業者がより二酸化炭素排出量を減らすのをサポートするのが目的です。

可視化した情報を活用し、より低炭素な生活に消費者が自ら移行していくことも目的の一つです。

二酸化炭素排出量を削減することで、環境保護と日本の産業発展に繋がり、結果的に2050年までにカーボンニュートラルを実現するという国の目標達成に貢献します。

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CFPが注目されている理由

CFPが注目されている理由は、主に以下4つです。

理由①:気候変動の深刻化

地球温暖化が進み続け、気候変動による影響が世界的に深刻化していることで、人々の生活・経済活動に大きな影響を及ぼしています。
このような背景からCO2排出量の削減は、環境問題に対する取り組みとして不可欠な要素です。

そのため、企業は脱炭素の製品およびサービスが使用される社会を構築することが求められ、そのための基盤に温室効果ガス排出量を可視化し、CO2削減を効率的に行う必要があるため、CFPが注目されています。

理由②:ESG・SDGs経営の重視

気候変動だけでなく、現代ではSDGsを意識した事業活動が企業に求められており、世界中で環境に配慮したESG・SDGs経営が重視されています。

そのため、企業は環境問題改善に注力することで、国際的な競争力が獲得できるため、排出量を削減し環境に優しいだけでなく、企業としても成長することができます。

理由③:排出削減に効果的な手段

CFPは、製品のライフサイクル全体でのGHG排出量を換算し、企業の排出削減を促進する上で有効な手段です。

CFPでは、商品およびサービスにおけるライフサイクル全体での温室効果ガス排出量を把握できることに加え、各段階での温室効果ガス排出量も知ることができます。

そのため、製品およびサービスを製造してから廃棄に至る一連の流れの中で、どの工程で温室効果ガスが多く排出されているのか把握できます。

多くの温室効果ガスを排出している工程から優先的に対策を取ることで、より効果的に温室効果ガス排出量の削減が可能です。

理由④:多様なステークホルダーからの要求

実際に多様なステークホルダーからのCFP要求があるのも事実です。

例えば、消費者からであれば脱炭素関連の製品マーケティングや企業ブランディングのため、金融市場では、企業におけるサプライチェーン排出量を把握するための開示要求などがあります。

また、サプライヤには、自社におけるサプライチェーンの把握など、多様なステークホルダーからのCFP要求があります。

企業がCFPに取り組む意義
出典[1]:経済産業省「カーボンフットプリントガイドライン

CFP(カーボンフットプリント)についてより詳しく知ることができる!
カーボンフットプリント(CFP)の算定方法・目的を解説
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CFPとLCAの違い

CFPとLCAの最も大きな違いは、環境負荷に対する評価対象が違うことです。

LCAは、製品およびサービスにおけるライフサイクル全体で与えている環境への負荷を定量的に評価します。気候変動だけでなく、LCAを通じその他の環境問題に対しても取り組むことが重要です。

CFPの算定および削減の過程では、その他の環境に及ぼす影響の評価に対し悪影響を及ぼさないよう配慮する必要があります。

また、LCAの場合、環境負荷評価を行う対象が、オゾン層破壊や生態系破壊など評価項目が複数ありますが、CFPの場合はGHG排出量のみ対象という違いがあります。

LCAについて詳しく知りたい方はこちら!
LCAとは?実践的な算定ステップから活用事例まで紹介

CFPの計算方法

CFPの計算方法には、直接GHG排出量を計測する⽅法と排出を伴う活動の活動量から計算する⽅法の2種類があります。

1つ目の直接GHG排出量を計測する⽅法では、生産者が直接計測し求めた1次データを活用するため、計算結果がより正確になります。
その一方でデータ収集の負担が大きいことがデメリットです。

2つ目の排出を伴う活動の活動量から計算する⽅法では、「活動量×排出係数」によりGHG排出量が求められ、求める方法は以下2パターンです。
ここで活動量とは、エネルギーやマテリアルの投入量であり、排出係数は単位活動量あたりのGHG排出量です。

【パターン1】
活動量に単位活動量ごとに決められているGHGの種類別の排出係数を乗じて排出量を計算し、それらをCO2相当量に換算し合算

【パターン2】
活動量にCO2相当に予め換算された排出係数を乗じてCO2換算排出量を計算

CFP導入のメリット

CFPを導入するメリットは、以下3つです。

メリット①:製品・サービスの改善

CFPを導入することで、製品やサービスをよりよいものに改善できる可能性があります。

CO2排出量を削減するため、環境に配慮した脱炭素経営を行おうとした際、まずは事業活動全体で生じているCO2排出量を把握しなければなりません。

企業が商品およびサービスを生産する過程で生じるCO2だけでなく、事業所で使用される電気などでもCO2が排出されます。

CFPを導入することで、そのような部分も含め全体での排出量が把握できるため、製品やサービスで生じるCO2排出量を削減し、環境負荷の少ないものに改善できます。

メリット②:競争力の強化

CO2排出量が少ない商品やサービスという理由から、顧客に商品を選んでもらえる確率が高くなり、売上と業績向上に繋がる可能性が高いです。

年々環境問題が深刻化していることもあり、環境問題に配慮した事業活動を行う企業を支持する消費者も増加しています。

CFPを導入することで、CFPマークを商品に表示できることで、環境問題に取り組んでいることがアピールでき、結果的に競争力が強化できます。

メリット③:国際的規制への対応

CFPを導入することで、脱炭素経営を行う上で必要不可欠であるCO2排出量を把握できます。

繰り返しになりますが、製品やサービスを生産する際のライフサイクル全体におけるCO2排出量の把握が可能です。

排出量が多い過程を知れることで、効果的にCO2排出量が削減でき、結果的に国際的規制にも対応できます。

CFPの課題

CFPの課題は、以下3つです。

課題①:高いコスト

CFPでは、高いコストが発生する問題点があります。

サプライチェーンにおけるそれぞれの工程でデータを集めたり、計算したりすることで、企業は開示コストを支払う必要があります。

また、徐々にCFPが浸透しつつあるものの、まだまだ認知している消費者も多くないため、高いコストを支払い導入しても、大きな成果に繋がらない可能性も少なくありません。

課題②:正確な測定の難しさ

CFPの算定基準であるISOなどの規格では、解釈が企業ごとで統一されていない問題があります。

企業次第で算出方法が違うなど、公平性が問題視されている現状です。

また、自社内に限らず製造や廃棄処理といった取引先を含んだサプライチェーンも管理する必要があるため、取引先とデータの共有が上手くできずに、正確な測定が難しい問題があります。

課題③:企業に対するインセンティブ

企業がどれだけ努力しCFPに取り組んだ場合でも、取り組みで生じたコス分すべてを商品の価格で上乗せして販売できるわけではありません。

CFPは普及途上でもあり、積極的に企業がCFPの導入に取り組むためには、インセンティブの向上が不可欠です。

このような問題を解決するためにも、温室効果ガス排出量の削減に成功した商品に対して公共事業の入札で加点評価したり、エコポイントを与えたりといった仕組みが重要になります。

CFPの導入事例

CFPの導入事例を2つ紹介します。

事例①:旭化成

旭化成株式会社のロゴ

旭化成では、NTTデータと協力しCFPを算出する基盤構築を行いました。[2]
電子部品や自動車などの材料である機能樹脂製品が対象です。
自動車部品メーカーなどに向けて、2022年5月からCFPデータの提供を開始しています。

事例②:明治ホールディングス

株式会社明治のロゴ

環境省が行っている「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参加し、明治ホールディングスの代表商品の「明治ミルクチョコレート」を対象に選定し、製品ライフサイクルにおける各工程でのCO2排出量を可視化しました。[3]

原材料の調達から廃棄に至るまでのそれぞれの工程で発生するCO2排出量を可視化しCFP算定と、国内でのCFP取り組み拡大させるだけでなく、消費者が積極的に脱炭素社会に貢献できる製品を選んでもらうことを目標にしています。

まとめ

CFPは、商品およびサービスの原材料を調達する工程から、廃棄やリサイクルまでの製品全体のライフサイクルを通じ排出している温室効果ガス排出量を二酸化炭素(CO2)に換算し、商品およびサービス表示する仕組みになります。

CFP(カーボンフットプリント)が注目されている理由には、気候変動の深刻化や、製品のライフサイクル全体でのGHG排出量を換算し、企業の排出削減を促進する上で有効なことがあります。

CFPの導入では、製品・サービスの改善ができたり、競争力が強化できたりすることがメリットです。

しかし、企業がCFPを導入することで上記のようなメリットが得られる反面、高いコストがかかったり、正確な測定が難しかったりする点には注意が必要です。

そのため、CFPの導入を検討している企業の脱炭素経営を積極的に進めるサステナ担当者の方は、CFPの概要や導入するメリット、注意点について十分理解しておくことが大切です。

#CFP #カーボンフットプリント

CFP製品カーボンフットプリント解説資料↓↓↓

参考文献

[1]経済産業省「カーボンフットプリントガイドライン
[2]旭化成株式会社「機能樹脂製品における製品別カーボンフットプリントデータの提供開始
[3]明治ホールディングス「明治ミルクチョコレート」のCO₂排出量の見える化へ向けた取り組みを開始

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  • 2021年9月入社。国際経営学修士。大学在学中より国際人権NGOにて「ビジネスと人権」や「気候変動と人権」領域の活動を経験。卒業後はインフラ系研究財団へ客員研究員として参画し、気候変動適応策に関する研究へ従事する。企業と気候変動問題の関わりに強い関心を寄せ、リクロマ株式会社へ参画。

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