目次
  • 要旨
  • お断り
  • 背景
  • TCFD提言に沿った情報開示は最も難しい
  • ESG取り組みの課題
  • 参考URL
要旨

2021年12月10日に日経ESGは、東証再編の対象となる948社(全対象は3715社)の再編に関する意向やESGの取り組みの課題を聞いた緊急調査結果を公表しました。2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードに対応するにあたって、TCFD提言への対応が最も難航していることが明らかになりました。さらに、情報開示の知識やナレッジが当該企業に不足していることが大きなネックとなっていることが分かりました。

お断り

株式会社日本取引所グループ
東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所を管理・運用する会社

背景

2022年4月には、東京証券取引所の市場再編が行われます。この際、実質最上位となる「プライム市場」に上場するには、TCFD提言に沿った開示が求められます。3月期決算を行う企業は、2022年6月の株主総会後に提出するコーポレート・ガバナンス報告書から開示が必要となっています。

以下改訂コーポレートガバナンス・コードの該当部分

上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。

特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。

                (JPX(2021) 改訂コーポレートガバナンス・コード 3-1③)
TCFD提言に沿った情報開示は最も難しい

TCFD等に基づく気候変動にかかわるリスクと収益機会の開示の達成難易度についての質問に対して、41.9%の企業が「難しい」と答え、25.7%が「やや難しい」と答えています。他の質問項目には、「管理職における多様性の確保の目標と状況の開示」や「報酬委員会・指名委員会の設置」などが挙げられていますが、「難しい」と答えた企業数はすべて15%を下回りました。(詳しくは日経ESG『緊急調査 プライム希望8割超』をご参照ください。)

以上のことから、TCFDの提言に沿った情報開示は東証再編において大きな課題となっていることがわかります。

ESG取り組みの課題

ESGの取り組みを行うにあたり、課題に関する調査も行っています。

半数以上の企業が情報開示に関する知識やノウハウがないことを課題と感じています。また、40%近くの企業が開示基準が乱立している点を課題と感じています。(詳しくは日経ESG『緊急調査 プライム希望8割超』をご参照ください。)

以上のことから、TCFD等専門性の高いESG情報開示を行う際には、有識者の協力が不可欠となりそうです。

参考URL

日経ESG(2021/12/10)『緊急調査 プライム希望8割超』https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00003/120800027/

株式会社日本取引所グループ(2021/6/11)『コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)』https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000005ln9r-att/nlsgeu000005lne9.pdf

記:江波 太

リクロマ株式会社<br>
リクロマ株式会社

当社は「気候変動時代に求められる情報を提供することで社会に貢献する」を企業理念に掲げています。

カーボンニュートラルやネットゼロ、TCFDと言った気候変動に関わる課題を抱える法人に対し、「社内勉強会」「コンサルティング」「気候変動の実働面のオペレーション支援/代行」を提供しています。

  • 有報における気候開示が義務化へ 現在の議論を整理
    2022年3月、金融庁は、2023年度より有価証券報告書における気候変動開示を義務化する方向で検討していることを発表しました。この記事では、有価証券報告書におけるTCFD開示の動向を、2022年3月24日の第7回 金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの事務局説明資料と議事録をもとに当社が解釈した内容をお伝えします。
  • CDSB
    SASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ 会計基準審議会スタンダード)とは、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素に関する開示基準を設定している非営利団体です。
  • NZAO
    SASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ 会計基準審議会スタンダード)とは、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素に関する開示基準を設定している非営利団体です。
  • アジアに進出する日系企業の6割が脱炭素への取り組み
    脱炭素への取り組みが、アジア・オセアニア地域に進出する日系企業で広がっています。 独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO:Japan External Trade Organization。以下、JETRO。)が20 […]
  • ESG関連の投資信託の数が数年で倍増 金融庁調査
    ESG関連の投資信託(以下、ESG投信)の新規設定本数が、過去数年で倍増していることがわかりました。 2022年4月公表の金融庁の資料によると、ESG投信の新規設定本数は、2017年時点では6本だった一方、2020年に4 […]