Last Updated on 2022年6月18日 by 西家 光一

ドイツ政府、ウクライナ情勢を受け、ロシアとの天然ガス新パイプライン建設を断念

ドイツのショルツ首相は22日、ロシアに対する制裁として、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」を無期限停止すると発表しました。これにより、イギリスとEUでガスの卸売価格が17%上昇しました。

ウクライナ情勢が緊迫する中で、ロシアに対する制裁として、ドイツのショルツ首相は「ノルドストリーム2」の稼働停止を発表しました。

「ノルドストリーム2」はウクライナの立場を弱め、ドイツのロシア依存に拍車をかける象徴であるとして、米国・ウクライナ・中東欧諸国などがけん制しているため、ドイツ政府は稼働の承認を遅らせている状況でした(ドイツの天然ガス消費量の6割以上がロシア産)。

従来のロシアと欧州を結ぶパイプラインはウクライナやベラルーシなどを経由するものでした。それに対し、「ノルドストリーム2」は、バルト海を経由してロシアからドイツに直送する天然ガスパイプラインで、2021年9月に敷設作業は完了しており、ドイツ政府の承認が下りれば稼働が可能な状況でした。

ドイツ政府は、天然ガスを他の化石燃料に比べてCO2排出量が少なく環境にやさしいものとみなし、天然ガスを再生可能エネルギー普及までのつなぎとして「不可欠」と位置付けてきましたが、「ノルドストリーム2」計画が完全に放棄されればドイツのエネルギー政策は大幅な修正を迫られるとみられます。

【参考文献】
日本経済新聞(2022)「ドイツ、ロシアとのガス管認可を停止 ウクライナ巡り」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR22C350S2A220C2000000/?n_cid=BMSR3P001_202202222109

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