Last Updated on 2022年7月26日 by 西家 光一
金融庁は、2022年度内にESG投資の信頼性確保に向けた監督方針の策定を検討する旨を公表しました。6月7日に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画のフォローアップ文書や、同10日のサステナブルファイナンス有識者会議に提示した報告書案にて明らかになりました。背景には、環境配慮を謳いながらも実態が伴わないESGウォッシュに対処する狙いがあります。
金融庁は、国内の運用会社で急増しているESG投信の取り扱いについて、資産運用会社のうち3割で専門部署がないことなどに触れ、ESGウォッシュへの問題意識を既に明確にしていました。
今回政府が閣議決定した「新しい資本主義」実行計画のフォローアップ文書[2]やサステナブルファイナンス有識者会議[3]に提示した報告書に運用会社の監督指針改正を盛り込むことで、運用プロセスの明確化や開示の充実、顧客への丁寧な説明に繋がるとしています。
今年5月にはドイツ銀行がESGウォッシュを巡る疑いを受け、同資産運用部門のCEOの退任が公表される事態になっており、ESGウォッシュは世界的な課題として受け止められています。
【参考】
[1]Bloomberg(2022)「金融庁、ESG投資で監督指針を策定へ-「新資本主義」関連文書」https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-07/RD282UDWX2Q401
[2]金融庁(2022)「フォローアップ」https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/fu2022.pdf
[3]金融庁(2022)「金融庁サステナブルファイナンス有識者会議報告書持続可能な(案) 社会を支える金融システムの構築に向けて」https://www.fsa.go.jp/singi/sustainable_finance/siryou/20220610/03.pdf
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